ボルボ・トラックス(ABボルボ傘下)のFH Electric Series(FHエレクトリック・シリーズ)が、2024年のインターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤー(IToY賞/International Truck of the Year)に選出された。( 坂上 賢治 )
今年のIToY賞は、欧州域内(ノルウェーとスイスを含む欧州連合)のコマーシャルビークル24誌の正審査員並びにジャーナリスト。更に中国、インド、南アフリカ、オーストラリア、ブラジル、日本、イラン、ニュージーランド8誌の準会員と100万人のトラック運転者による投票と選考の末に選ばれたもの。
審査では、電動ドライブトレインを備えたメルセデス・ベンツのeActros 300/400や、スカニ45S電動トラック (BEV)などと競った末、84票のスコアを積み上げて、FHエレクトリック・シリーズが栄冠を獲得した。
同賞典は、過去12か月間に市場に発売され、道路輸送の効率化に最も大きく貢献したトラックに対してIToY賞の規定に基づき毎年贈られる。その判断基準は、技術革新、快適性、安全性、運転性、エネルギー効率、環境フットプリント、総所有コスト (TCO) など、幾つかの基準に基づいて審議される。
今回、受賞対象者となったボルボ・トラックのロジャー・アルム社長は、フランスのリヨンで隔年開催される運送&都市交通の見本市「ソルトランス」のプレスデーで同賞を授与された。
受賞を受けてロジャー・アルム社長は、「当社のボルボ FHエレクトリックが、この格式ある賞を頂いたことを非常に誇りに思います。
またこの栄冠獲得に貢献下さった全ての人に心から感謝したいと思います。それは、ボルボ・グループ内の素晴らしいチームワークだけでなく、大切なお客様、パートナー、サプライヤーとの緊密な協力に基づいているものです。
そうした意味で、ボルボ FH エレクトリックは、様々な観点からトラック輸送の新時代を代表しており、この受賞はゼロエミッション輸送への移行が今ここで起こっていることも明確に示しています」と受賞の挨拶に代えてコメントした。
今回、IToY賞の選考委員会では、FHエレクトリック・シリーズの〝高効率パワートレインのパフォーマンス〟、〝シームレスな加速〟、〝静粛性〟、〝振動のないドライブフィーリング〟が賞賛された。また併せて、〝豊富な車軸構成と接続形態〟、〝4種のキャブバージョン〟〝輸送目的に合致した2から6個までのバッテリーモジュール〟が最終選考での決め手になったという。
ちなみにIToY賞の起源は、1977年に英Truck Magazine編集長のパット・ケネット氏によって創設された。それ以降の足跡のなかで、量産44トン級のBEVトラックが同賞を獲得するのは今回が初のこと。加えて今年のITOY賞の最終候補リスト5台の車両のうち4台は、テールパイプからの炭素排出量がゼロのBEVモデルとなった。
これは現段階でEU内に、BEVの貨物運送に適切なエコシステムが未整備であるにも関わらずの選考結果であり、それゆえに欧州域内に於いても、輸送産業界で化石燃料から自然由来エネルギーへ移行速度が早まっていることを示すものだと多くの関係者のなかで囁かれた。
最後にIToY賞を取り仕切るジャンネンリコ・グリフィーニ会長も、今年の選考過程を踏まえ、「FHエレクトリックの導入により、ボルボ・トラックスは幅広い輸送業務に適した最先端のBEVシリーズを提供したことが証明された。今日の厳しいビジネス環境に於いて、今後もエネルギー転換は流れの勢いは増していくだろう」と総括した。