なお今プロジェクトに参画する5社のうちアナドール・グループは、いすゞ自動車と伊藤忠商事による「アナドールいすゞ」ブランドで輸送用貨物自動車の製造を共同運営しており、かつ韓国メーカー起亜の販売代理店と法人レンタカー会社も保有している。
また同国内で貨物車両を製造するBMCは、既に防衛産業用車両については75カ国への輸出実績を持っている。その他、参画企業では繊維、エネルギー、エレクトロニクス、通信分野など、国内のリーディングカンパニーが揃っている。
ちなみに同国内に於ける自動車販売全体の約6割が乗用車。その内訳は、日本の小型車にあたるBセグメント、またはCセグメントにあたる1.3~1.6L車が売れ筋。
残り4割は商用車となっている。メーカー別の勢力図では、ルノーが大きなシェアを占有し、これにヒュンダイ、フィアット、トヨタ、フォード、ホンダ、オペルと続いている。
このうち国内生産に関してはルノー、フィアットの2ブランドが牽引する。一方、商用車ではフォードも強く、フィアット、フォルクスワーゲン、ルノー、ヒュンダイに等で占められている。乗用車市場における輸入車の比率は7割に迫る勢いだ。
自動車全体の輸出入数値に関しては、年間で延べ200万台を国外へ輸出。約75万台を海外から輸入している。
同国の自動車販売業者協会(ODD)によると、2016年のトルコの国内自動車販売は、乗用車と軽商用車を合わせた総販売台数で前年比1.6%増の98万3,720台。生産・輸出共に過去最高値を記録している。
但し2016年11月の増税と通貨トルコ・リラ安の影響により2017年の販売台数実績は現段階では不透明だ。併せて独自の国産自動車の開発・生産となると、決して大きくはない国内市場だけで事業を充足する規模にはならず、高級車または普及車かで戦略の照準を定め、国外に市場を開拓する必要性が生じるだろう。
一方で、経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は、国内人口が比較的若い人口構成比であること。そして直近または隣接するインドネシアやロシアなど他の新興国に比べ、比較的政情が安定しているところが強みとなっている。