矢野経済研究所は6月12日、燃料電池システム及び関連部材の世界市場を調査し、水素・燃料電池関連の各国政策や、用途別市場、関連部材、メーカー各社の動きなど、燃料電池市場の動向を明らかにした。
世界150カ国以上がカーボンニュートラル達成の目標期限を定め、脱炭素に向けた取り組みが進むなかで、脱炭素燃料としての水素の重要度が急上昇している。
特に、カーボンフリーなグリーン水素は、各国が大規模生産に向けた政策を展開している。こうした動きにより、水素を使って電力を生み出す燃料電池にも再び注目が集まっており、燃料電池システム世界市場も本格化に向けて着実に伸張している。
これを用途別にみると、モビリティの商用車用途と業務・産業用途の燃料電池システムが今後の市場を牽引していく見通しだ。
そのモビリティ用燃料電池の世界市場状況は、矢野経済研究所によると2022年のモビリティ用燃料電池システムの世界出荷台数が前年比11%増の19,600台と推計している。
そのなかで乗用車向けと商用車向けを合算したモビリティ用燃料電池システムは2020年以降成長を続けている。
しかし、出荷台数の大半を占めている乗用車向けは、特定OEM(自動車メーカー)の販売状況に大きく依存しており、2022年の乗用車向け出荷台数は微減となった。
一方、商用車向けの燃料電池システムは中国を中心に拡大し続けており、2025年頃には乗用車向け出荷台数を超える見込みとしている。
そんなカーボンニュートラルの実現に向けた将来展望は、様々な選択肢から世界各地のさまざまな条件に適した適材適所の手段を採用していくことが重要であるとした。
選択肢の1つとしては燃料電池は有望視されており、水素インフラ整備と技術開発の進んだ2030年頃から一気に普及が進み、燃料電池システム及び部材の市場が本格化する見通しとなっている。
調査要綱
1.調査期間: 2022年9月~2023年5月
2.調査対象: 燃料電池システム及び部材の事業会社、大学など各種研究機関
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.マーケットレポート発刊日: 2023年05月31日