横浜ゴムは7月1日、中国に乗用車用タイヤの新工場を建設すると発表した。生産能力は年産900万本でスタートし、将来的な拡大も想定。投資額は19億6,000万元(約367億円)で、2026年第2四半期から生産開始を予定していると云う。
新工場の建設は、中国現地政府の都市再開発を目的とした移転要請に応じたもので、現地のタイヤ生産子会社である〝杭州優科豪馬輪胎〟の既存工場を移転し、同じ杭州市銭塘新区内で実施。また同案件は、中国の浙江省・杭州市・銭塘新区政府が関わる重要な外資投資プロジェクトとなるため、新会社「杭州銭塘優科豪馬輪胎」を設立した上で進めると云う。
<杭州銭塘優科豪馬輪胎有限公司の概要>
– 本社・工場所在地:浙江省杭州市銭塘新区
– 設立:2024年6月
– 出資比率:横浜ゴム100%
– 事業内容:乗用車用タイヤの生産
– 生産開始(予定):2026年第2四半期
– 生産能力:900万本/年(既存工場 600万本/年)
なお、新工場は、2024年度から2026年度までの新中期経営計画〝Yokohama Transformation 2026 (ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーロク/以下、YX2026)〟のタイヤ消費財の成長戦略に掲げた「1年工場」の第一弾として建設されるが、その立ち上げに於いて、横浜ゴムは、今まで培ってきたノウハウだけでなく、現地で実績のある協力企業のノウハウも取り入れることで低コスト・高効率生産を実現し、市場競争力の高い工場を1年で立ち上げることに挑戦する。
また、今回の移転を機に、中国市場に於ける今後のさらなる需要増を確実に取り込むため、生産能力を300万本増強。特に新車装着向けはEVなど新エネルギー車への納入を拡大し、市販向けはグローバルフラッグシップタイヤブランド「ADVAN(アドバン)」やSUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」などの高付加価値品比率を上げるために、ハイインチタイヤの生産能力を強化する。
さらに、同社では、この新工場建設に先立ち、杭州市政府の支援の下、同市内に所在する有力な新エネルギー車生産販売会社である〝LEAPMOTOR社〟などとの戦略提携に調印。新エネルギー車への納入拡大を目指して、自動車メーカーとのさらなる関係強化を図っていくとしている。
横浜ゴムでは、〝YX2026〟のタイヤ消費財の成長戦略に於いて、「1年工場」への挑戦のほか、高付加価値品比率の最大化を掲げ、その主力である「ADVAN」「GEOLANDAR」「ウィンタータイヤ」、そして18インチ以上のタイヤの拡販に取り組むと共に、各地域の市場動向に沿った開発・供給・販売体制などを強化する「商品・地域事業戦略」を推進している。