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2025年2月20日【ESG】

横浜ゴム、ゴム摩耗予測に係る世界初の理論モデルを共同構築

坂上 賢治

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Bo Nils Johan Persson博士

 

ゴム研究の第一人者B. N. J. Persson博士と凹凸路面でのゴム摩耗予測で米学術誌に掲載

 

横浜ゴムは先の2024年12月、ゴムの摩擦・接触に関する研究の第一人者のBo Nils Johan Persson(ボ・ニルス・ヨハン・ペルソン)博士との共同研究により、凹凸路面上のゴム摩耗率と摩耗粉粒子のサイズ分布を予測する理論モデルを世界で初めて構築した。

 

なお同研究は2025年2月21日付、物理学術誌「The Journal of Chemical Physics」(米国物理協会)に於いて、掲載論文の中で最も注目に値する研究が選ばれる表紙論文に選ばれた。

 

Persson博士は、ゴム摩擦を含む接触、摩擦、摩耗、潤滑に関する研究の世界的権威であり、ペーター・グリューンベルク研究所(ドイツ)や蘭州化学物理研究所(中国)に所属している他、ゴム業界をはじめ、様々な課題を抱える企業を支援するコンサルタント会社「マルチスケールコンサルティング」(ドイツ)を運営している。

 

Persson博士が唱えた接触力学とゴム摩擦に関する独自アプローチは、多くの査読付き学術誌に掲載された他、他の科学者によって検証され、様々な課題解決に有効であることが証明されている。

 

凹凸路面上を滑るゴムの摩耗プロセス

 

横浜ゴムは、長年のゴム研究における実績と高い技術開発力が認められ、マルチスケールコンサルティングと契約し、Persson博士と共にゴムと路面の摩擦・摩耗に関する研究を進めてきた。

 

そして、このたび世界で初めて、理論化が難しかった凹凸路面上のマルチスケール(ナノ~センチレベル)におけるゴム摩耗挙動の理論モデルを構築。ドライおよびウェット滑走下でのゴムの摩耗挙動を様々な接触圧と速度で計測した結果、理論モデルが予測する摩耗率(単位滑走距離あたりの質量損失)と摩耗粉粒子のサイズ分布が実験結果と合致し、本理論がそれらの予測に使用できることを確認した。

 

横浜ゴムでは、今後もPersson博士およびマルチスケールコンサルティングとの研究を進め、高次元の耐摩耗性能を実現したタイヤ開発を追求すると共に、EVなど高重量な電動車の増加に伴い、ますます重要性を増すタイヤ摩耗による環境課題の解決に貢献していきたいと話している。

 

掲載論文
題名:Rubber wear: Experiment and theory
著者名:B. N. J. Persson, R. Xu, and N. Miyashita
掲載誌:The Journal of Chemical Physics
掲載日:2025年2月18日
掲載URL:https://pubs.aip.org/aip/jcp/article/162/7/074704/3336120/Rubber-wear-Experiment-and-theory
DOI:10.1063/5.0248199

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。