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独フォルクスワーゲンAG( VW・AG )は2月5日、自社のウォルフスブルグ本社工場内で労使ミーティングを開き、自社のコアブランド群( Volkswagen、Volkswagen Commercial Vehicles、SKODA、SEAT、CUPRA )が目指すべき未来戦略の全貌を明らかにした上で、今春一般公開予定のエントリーEVモデル( 販売価格2万ユーロ )のデザインスタディを初披露した。
これに併せてVWのトーマス・シェーファー ブランドCEOは、「昨年12月に、皆さんとの労使交渉が妥結して以降、我々は経営目標を達成させるべく史上最大規模のブランド再生計画を推し進めています。
その最終目標は、これからもウォルフスブルグの地が自動車技術の集積地であり続けること。また今後も世界に互して最も魅力的な製品を提供するマザー拠点であり続けることです。
なお高品質でありながらも値頃感と収益性を併せ持った新型エントリーEVについては、欧州域内だけで生産され、全てが欧州域内向けに供給されます。従って、その車両生産と流通規模は、まさしくUEFAチャンピオンズリーグに例えられる世界最高峰の環境となるでしょう」と述べた。
写真左から、ダニエラ・カヴァッロ氏、トーマス・シェーファー氏、ウーヴェ・シュワルツ氏(ヴォルフスブルク工場長)が2月5日にヴォルフスブルクで行われた工場会議で講演した。
またVW・AGでグループ従業員協議会・会長を務めるダニエラ・カヴァッロ氏は、「新たなエントリーEVは、欧州ユーザーのために欧州で生産される真の意味でのフォルクスワーゲンになります。従って最終消費者となる当地の自動車ユーザーに先駆け、ヴォルフスブルグ工場のスタッフに最初のデザインスタディーを披露するのは理に適っています。
もはや市場はEV時代になっている昨今、消費者が求め易いエントリーモデルの開発は、我々の未来を託せる経営基盤のひとつとなります。ID.2all( アイディ.2オール )の量産型と共に、この新型EVは、新たな段階へと進化を遂げたモジュラー エレクトリック ドライブ( MEB )プラットフォームをベースにしたVWグループのコアブランド傘下の小型EVファミリーに属します。
まず最初のニューモデルは、ID.2allコンセンプトの量産バージョンとなり同モデルはVW初の小型EVとして2026年にディーラーに導入され、そのベース価格は25,000ユーロ未満に設定されます。
そんな当社は、欧州のBEV分野で既に優位なポジショニングを確立しており、ID.( アイディ. )モデルファミリーは、2019年に域内で発売されて以降、世界中で合計135万台以上の車両が販売されました。そのうちの約50万台はID.3( アイディ.3 )です。その結果、昨年VWブランドは38万3,100台のEVを販売しています」と自社ならではの優位性について畳み掛けた。
フォルクスワーゲンブランドのCEO、トーマス・シェーファー氏。
更に先のトーマス シェーファーCEOは、「ウォルフスブルク工場には、未来への明るい展望が開けています。というのはGolf(ゴルフ)の生産拠点のメキシコへの移転が合意されたことで、最先端車両生産のための新たなスペースが確保されているからです。
その新たなラインには、新しいSSP( スケーラブルシステムズプラットフォーム )をベースにした電動Golfの後継モデルと量産EVのT-Roc( Tロック )が流され、その結果、ウォルフスブルグ工場は、当社の新しいコンパクトEVの主力生産拠点になります。
ちなみにSSPは統一されたシステムアーキテクチャーに基づくEV専用のプラットフォームであり、完全にデジタル化された拡張性の高い環境となります」とウォルフスブルク工場の先進性についても詳しく説明した。
これに換わって先のダニエラ・カヴァッロ会長は、「グループの中核拠点としてウォルフスブルグ工場は最重要拠点になりますが、私たちは断固たる決意で、この最先端工場での仕事に取り組むつもりです。
フォルクスワーゲンAGの総会およびグループ労働協議会の議長のダニエラ・カヴァッロ氏。
例えば技術開発部門は、グループ全体で使用するSSPプラットフォームを使用して先駆的な車両生産のための工程開発に取り組みます。同作業は現在の内燃エンジン搭載車のために取り組んだ過去の事例と同じく、私たちの将来の成功にとって重要なものです。
またウォルフスブルク工場では、現在も年間50万台を超えるGolfとT-Rocが生産されています。これらのモデルは、将来の電気自動車の主力モデルとなります。このようにして、この本社工場は、非常に魅力的な車両セグメントを生産し50年以上の歴史を誇るウォルフスブルグのGolfシリーズ生産の伝統を継承することになります。
今後数年間、成功のために必要な準備に継続的に取り組むことが非常に重要です。取締役会は開発や生産の複雑性、作業手順、相乗効果の面で新たな方針を策定・実現する必要があります。従業員協議会と経営陣は、これらに関して緊密に協力します。
私たちはZukunft Volkswagen(未来のフォルクスワーゲン)協定により、昨年12月末に従業員代表と持続可能なモビリティの分野に於ける経済的安定・雇用・技術的リーダーシップを組み合わせた将来のビジョンに合意しました。
ここで合意された目標はVW・AG の中核であるフォルクスワーゲン乗用車ブランドが2030年までに世界首位の技術力持つ量産車メーカーになることです。経営陣と労働側は、今後四半期ごとに共同進捗会議を開催して協力関係の維持に務めていきます」と結んでいる。