NEXT MOBILITY

MENU

2024年10月18日【事業資源】

ヴァレオとトタルエナジーズ、次世代EV技術で連携

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

石油、バイオ燃料、天然ガス、グリーンガス、電力など世界規模でエネルギーを生産・販売するトタルエナジーズと自動車サプライヤーのヴァレオは10月18日(パリモーターショー発)、EVバッテリーの性能を最適化しながら車両のカーボンフットプリントを削減する革新的なソリューションの開発を含めたパートナーシップを強化することを発表した。

 

 

なお同パートナーシップには以下の2つの主な目的がある

 

(1)EVバッテリー用の革新的な冷却ソリューションの開発
トタルエナジーズとヴァレオは2022年から、バッテリーを最適な温度に保って自律性を向上させてカーボンフットプリントを削減。火災のリスクから保護する液浸冷却ソリューション(誘電性液体)の共同開発に取り組んでいる。現在、超急速充電に於けるシステムのパフォーマンスを確認するための実証実験を進めている段階にある。

 

(2)次世代EVを改善し、最適化するための単一の流体
第2の目的は、次世代車両に新しい液浸流体技術を活かしていく取り組みがある。その最終目的は、より自立性が高く、エネルギー効率が高い、新たなEV用の熱管理システムを開発することにある。

 

そこで使用される技術は、浸漬型バッテリー冷却システムに係るもの。そもそも一般的にEVの航続距離の延長を果たすためには、バッテリーのサイズ拡大だけでは不充分だ。

 

現在のEVを、主流のICE車と同じ使い勝手に引き上げるには充電速度を引き上げなければならない。実際、OEMでは15分以内に80%の充電量を確保していくことを到目指しており、それには超急速充電または250kW以上の高出力充電が必要とされる。但し、そのレベルのエネルギーをバッテリー パックに急激に充填させようとすると、高熱が発生し適切な冷却が行われないとセルが損傷する可能性がある。

 

 

そこでトタルエナジーズで最高技術責任者を務めるマリー・ノエル・セメリア氏は、「両社の提携は、バッテリー寿命を維持しつつも超急速充電を可能にする新たな浸漬液を使用することでバッテリーの熱管理に革新をもたらすことにあります。また、この技術はEV単独の性能アップだけでなく、CO2排出量の削減にも貢献できることから、よりクリーンな輸送工程をも実現させるものとなります」と述べた。

 

これを受けてヴァレオ・パワー・ディビジョンで最高技術責任者の任にあるクリストフ・デロヴラン氏は、「双方で2022年に提携を結んでから、ヴァレオとトタルエナジーズは協力しバッテリーの熱管理について、革新的で安全なソリューションの開発を加速させてきました。

 

その成果はバッテリー単体の熱管理を最適化させるだけでなく、パワートレイン全体に及ぶ段階に達しています。このコラボレーションは、アフォーダブルで信頼性が高く、低炭素のEVを実現するという我々のイノベーション戦略の中核に据えるべきものです」と語った。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。