石油、バイオ燃料、天然ガス、グリーンガス、電力など世界規模でエネルギーを生産・販売するトタルエナジーズと自動車サプライヤーのヴァレオは10月18日(パリモーターショー発)、EVバッテリーの性能を最適化しながら車両のカーボンフットプリントを削減する革新的なソリューションの開発を含めたパートナーシップを強化することを発表した。
なお同パートナーシップには以下の2つの主な目的がある
(1)EVバッテリー用の革新的な冷却ソリューションの開発
トタルエナジーズとヴァレオは2022年から、バッテリーを最適な温度に保って自律性を向上させてカーボンフットプリントを削減。火災のリスクから保護する液浸冷却ソリューション(誘電性液体)の共同開発に取り組んでいる。現在、超急速充電に於けるシステムのパフォーマンスを確認するための実証実験を進めている段階にある。
(2)次世代EVを改善し、最適化するための単一の流体
第2の目的は、次世代車両に新しい液浸流体技術を活かしていく取り組みがある。その最終目的は、より自立性が高く、エネルギー効率が高い、新たなEV用の熱管理システムを開発することにある。
そこで使用される技術は、浸漬型バッテリー冷却システムに係るもの。そもそも一般的にEVの航続距離の延長を果たすためには、バッテリーのサイズ拡大だけでは不充分だ。
現在のEVを、主流のICE車と同じ使い勝手に引き上げるには充電速度を引き上げなければならない。実際、OEMでは15分以内に80%の充電量を確保していくことを到目指しており、それには超急速充電または250kW以上の高出力充電が必要とされる。但し、そのレベルのエネルギーをバッテリー パックに急激に充填させようとすると、高熱が発生し適切な冷却が行われないとセルが損傷する可能性がある。
そこでトタルエナジーズで最高技術責任者を務めるマリー・ノエル・セメリア氏は、「両社の提携は、バッテリー寿命を維持しつつも超急速充電を可能にする新たな浸漬液を使用することでバッテリーの熱管理に革新をもたらすことにあります。また、この技術はEV単独の性能アップだけでなく、CO2排出量の削減にも貢献できることから、よりクリーンな輸送工程をも実現させるものとなります」と述べた。
これを受けてヴァレオ・パワー・ディビジョンで最高技術責任者の任にあるクリストフ・デロヴラン氏は、「双方で2022年に提携を結んでから、ヴァレオとトタルエナジーズは協力しバッテリーの熱管理について、革新的で安全なソリューションの開発を加速させてきました。
その成果はバッテリー単体の熱管理を最適化させるだけでなく、パワートレイン全体に及ぶ段階に達しています。このコラボレーションは、アフォーダブルで信頼性が高く、低炭素のEVを実現するという我々のイノベーション戦略の中核に据えるべきものです」と語った。