トヨタ自動車は11月29日、自社保有のデンソーの株式の一部を売却することを決定した。売却の理由は、自社事業の更なる成長を見込むための資金を確保するためとみられる。( 坂上 賢治 )
最終的な売却規模は、トヨタグループ全体での協議を踏まえて資本効率を高める目的があるとされ、トヨタ(現行保有比率の24から20%)・豊田自動織機(9から5%)・アイシン(2%を全売却)などのグループ保有株割合の約10%程度が目安(デンソー側の29日付け臨時報告書による売り出し株式は2億5637万3400株)。
このうち半分がトヨタの売却割合と見られ、売却総額は実施時期(売り出し価格は12月13日に明らかになると見られる)にもよるが、おおよそ7,000億円程度になる見込み。デンソー側は自社株買いなどの資本政策を検討中。
売却益は、当面の課題となっている電動化シフト施策(2030年までに5兆円規模の投資を見込む)の一部資金として投下される。なおデンソー株の廃却後もトヨタは2割程度の株式保有比率を維持することから、デンソーの筆頭株主であることは変わらない。
トヨタ側からの説明では、「モビリティ・カンパニーへの変革に向けて、今まで以上に専門性の高いグループ各社と協力・切磋琢磨していくため、2016年より「ホーム&アウェイ」の視点でグループ全体の事業の再構築を進めております。
そうした中、グループの中核会社であるトヨタ、デンソー、豊田自動織機、アイシンと議論を重ね、まずは、デンソー株式の一部を売却することについて合意しました。
これまでの良好な関係を保つことができる資本関係を維持しつつ、売却によって得られた資金を有効活用することにより、トヨタグループの更なる成長を実現でき、資本効率の向上にも繋がるためです。
デンソーには、引き続きトヨタグループにおけるソフトウェアの牽引役として、グループ全体の競争力強化に貢献していただきます。
また今回当社が得た資金は、〝電動化〟〝知能化〟〝多様化〟の取り組みを始めとした成長投資に活用する予定です」と話している。
なお、その他グループ各社との資本関係の見直しについては、各社の人材、オペレーション、風土、事業関係等の現状を確認しつつ、今後の競争力強化について1社1社オーダーメイドで丁寧に検討を進めたいとしている。
デンソー株式売却の概要
売却予定株式数 :124,868,100株(予定)
保有比率 :売却前 24.2%=売却後 20.0%(予定)
※ 直近の発行済株式総数(自己株式除く)(2,995,373,516株)に対する保有株式数の割合