(写真左から)トヨタ自動車株式会社 中嶋 裕樹 取締役副社長、トヨタ自動車株式会社 佐藤 恒治 代表取締役社長 、BMW AG オリバー・ツィプセ 取締役会会長、BMW AG フランク・ウェバー 取締役 開発部門担当
水素社会を実現するべく燃料電池システムの技術革新を加速させていく
トヨタ自動車とBMWグループは9月5日、カーボンニュートラルの実現と水素社会の構築に向け、水素分野での協力関係を強化することで合意し、基本合意書を締した。今後、燃料電池システムの開発やインフラ整備などに共同で取り組んでいく。
両社は、2011年12月に環境技術に於ける中長期的な協力関係の構築に合意し、燃料電池をはじめとした環境技術やスポーツカーなどの開発を、共同で10年以上にわたり進めてきた。「水素社会を実現したい」という共通の想いを持つ両社は、今後、燃料電池システムの技術革新を加速させていくという。
トヨタとBMWは、第3世代燃料電池システムの共同開発に取り組み、両社のモデルに搭載することで、幅広い燃料電池自動車(FCEV)の選択肢を提供する。具体的な第一弾として、2028年にBMWによる初の量産型FCEVの生産開始を予定している。
開発・調達の協力による相乗効果の創出や、パワートレイン・ユニットの統合によるコスト削減、商用・乗用の需要拡大などにも取り組む。FCEVがより身近な選択肢となることを通じ、水素社会の実現に向け貢献していく。
水素社会を実現するには、想いを同じくする仲間と共に歩みを進めていく必要がある。普及の黎明期にあたっては、水素の需要を塊で創出する必要があり、水素を製造・供給する事業者とも協調し、インフラの整備や水素の安定供給、低コスト化にも取り組んでいく。
両社のカーボンニュートラルに向けた考え方を共有していく
トヨタの佐藤社長は、「BMWとトヨタの協業が新たなステージに入ることを嬉しく思います。長年のパートナーシップを通じて、私たちはクルマづくりへの情熱と、BMWの〝テクノロジー・オープンネス〟、トヨタの〝マルチパスウェイ・アプローチ〟というカーボンニュートラルに向けた考え方を共有することを確認し合ってきました。
これら共通の価値観に基づき、今後、次世代燃料電池システムの共同開発やインフラ拡充の取り組みなど、水素社会の実現を目指して協力関係を深めていきます。水素エネルギーが社会を支える未来を実現するべく、BMWとともに、そして産業を超えた仲間とともに取り組みを加速してまいります」と述べた。
BMWのツィプセ取締役会会長は、「これは自動車の歴史における画期的な出来事であり、世界的なプレミアム・メーカーによって提供される初めての量産モデルです。水素のパワーとこの協業を原動力として、技術の進歩が将来のモビリティを形作ることを示していきます。そしてこれは、多くの人々が燃料電池車を求める時代の幕開けとなるのです」と語った。
更にトヨタは、「カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの中で、水素を重要なエネルギーと位置づけ、「つくる/はこぶ/ためる/つかう」の各領域に於いて、多くの仲間とともに取り組みを進めてきました。トヨタは、町いちばんのクルマ屋を目指し、各地域の市場特性やお客様ニーズに対応しながら、地域に根差した経営を行なっています。
今後も各地域のお客様ニーズに合わせ、FCEV、電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)など、マルチパスウェイを軸に多様な選択肢で、CO2の着実な削減に取り組んでまいります」と結んでいる。