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2024年8月9日【ESG】

テムザック、後方から乗り込む新たな「車椅子」開発に着手

坂上 賢治

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医療現場、災害地、企業内などで活躍するサービスロボットの開発を担うテムザックは8月9日、公益財団法人 市村清新技術財団の第113回新技術開発助成事業に採択され、新たに屋内用の小型移乗・移動装置の開発を行うことになった。

 

なお上記の市村清新技術財団は、科学技術の研究開発に対する助成、優れた科学技術の顕彰および国際交流の促進、科学技術に関する創造性の育成、植物の生育に関わる研究に対する助成などによって、科学技術の振興を図ることにより我が国の経済社会の発展と国民生活の向上に寄与するために活動する団体だ。

 

そんな市村清新技術財団が定めた採択内容は、同社が〝モビリティ型ロボットRODEM〟の開発に於いて取得した移乗方式に係る特許を活用。介護・介助が必要な対象者の屋内移動を支援するもの。

 

これを受けてテムザックでは、屋内の移動で介助支援が必要な方が1人で移動できる自由度を高め、QoL向上(Quality of Life、生活の質向上)に貢献することを目指すとしている。

 

 

ちなみに特許活用の発端となった〝RODEM〟は、かつてテムザックが手掛けた次世代スマートモビリティを指す。

 

そのコンセプトは、どんな⼈でも境界なく、移動を楽しめるべく、後ろから乗り込む移乗方式を採用。座面の上下機構により乗車が簡単にでき、⾛⾏時の⽬線が歩行者と同じ⽬線で会話をすることができる点が大きな特徴となっている。

 

この〝RODEM〟では、観光案内、多言語翻訳、経路案内などのアプリケーションを搭載。シェアリング形式で提供することで、駅や駐車場から目的地までのラストワンマイルの移動、過疎地域の交通手段、観光地での移動+α(観光、買い物、エンターテイメント)等として活用することを視野に据えている。

 

 

採択内容:
公益財団法人 市村清新技術財団「第113回新技術開発助成」 

 

採択テーマ: 
屋内用小型移乗・移動装置開発

 

背景:
従来の車いすや天井リフトを利用する屋内移乗では、高齢者が自身での立ち上がり、介護者がサポートを行うか、大掛かりな設備を使うこととなる。しかし今回は、そうした設備を設けること無く、また介護者を要すること無く、住居内での簡単で安全な自立移動を行うことができるための装置を開発・提供する。

 

技術内容:
高齢者が立ち上がった上での乗り移りが不要な、安全簡単な、移乗と移動を機能を兼ね備えた新しい車いすを開発する。この際、座面を高くすることで、従来の車いすでは出来なかった周りの健常者と同じ視線で会話ができるようにもする。

 

期待効果:
現段階では、車いすを使用した高齢者のベッド、トイレへ等への移動には介護者が高齢者を抱き抱えて車いすへの移乗を手助けすることから、介護者の肉体的負担が大きくなる。それは介護者の腰痛の原因となり、介護離職にも繫がる。

 

そうした介護者に対すねる肉体的な負担が低減されれば、今後も益々進むことが予想されている介護人材の不足問題への一助にもなりうる。また介護者の負担を減らしながら、少なくとも上肢が健全で体幹のしっかりした高齢者(65歳以上の高齢者の約1.33%を潜在需要者と想定)の住居内での自立した移乗移動を可能にすることで、高齢者自身のQOL(Quality of Life)も上げることができる。

 

 

社名:株式会社テムザック
本店所在地 :〒602-8482 京都市上京区浄福寺通上立売上る大黒町689番地1
代表取締役議長:髙本 陽一
代表取締役社長:川久保勇次
設立日:2000年1月
資本金:10億1,560万円(令和5年9月末時点)
従業員数:39名
事業内容 :ワークロイドの研究開発・製造・販売
企業URL:https://www.tmsuk.co.jp

 

法人名:公益財団法人 市村清新技術財団
所在地:〒143-0021 東京都大田区北馬込1-26-10
総 裁:彬子女王殿下
理 事:
代表理事(会長):中村高 元/株式会社 リコー副社長
代表理事(理事長):近藤 史朗/ 元 株式会社 リコー会長
法人URL:https://www.sgkz.or.jp/

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。