医療現場、災害地、企業内などで活躍するサービスロボットの開発を担うテムザックは8月9日、公益財団法人 市村清新技術財団の第113回新技術開発助成事業に採択され、新たに屋内用の小型移乗・移動装置の開発を行うことになった。
なお上記の市村清新技術財団は、科学技術の研究開発に対する助成、優れた科学技術の顕彰および国際交流の促進、科学技術に関する創造性の育成、植物の生育に関わる研究に対する助成などによって、科学技術の振興を図ることにより我が国の経済社会の発展と国民生活の向上に寄与するために活動する団体だ。
そんな市村清新技術財団が定めた採択内容は、同社が〝モビリティ型ロボットRODEM〟の開発に於いて取得した移乗方式に係る特許を活用。介護・介助が必要な対象者の屋内移動を支援するもの。
これを受けてテムザックでは、屋内の移動で介助支援が必要な方が1人で移動できる自由度を高め、QoL向上(Quality of Life、生活の質向上)に貢献することを目指すとしている。
ちなみに特許活用の発端となった〝RODEM〟は、かつてテムザックが手掛けた次世代スマートモビリティを指す。
そのコンセプトは、どんな⼈でも境界なく、移動を楽しめるべく、後ろから乗り込む移乗方式を採用。座面の上下機構により乗車が簡単にでき、⾛⾏時の⽬線が歩行者と同じ⽬線で会話をすることができる点が大きな特徴となっている。
この〝RODEM〟では、観光案内、多言語翻訳、経路案内などのアプリケーションを搭載。シェアリング形式で提供することで、駅や駐車場から目的地までのラストワンマイルの移動、過疎地域の交通手段、観光地での移動+α(観光、買い物、エンターテイメント)等として活用することを視野に据えている。
採択内容:
公益財団法人 市村清新技術財団「第113回新技術開発助成」
採択テーマ:
屋内用小型移乗・移動装置開発
背景:
従来の車いすや天井リフトを利用する屋内移乗では、高齢者が自身での立ち上がり、介護者がサポートを行うか、大掛かりな設備を使うこととなる。しかし今回は、そうした設備を設けること無く、また介護者を要すること無く、住居内での簡単で安全な自立移動を行うことができるための装置を開発・提供する。
技術内容:
高齢者が立ち上がった上での乗り移りが不要な、安全簡単な、移乗と移動を機能を兼ね備えた新しい車いすを開発する。この際、座面を高くすることで、従来の車いすでは出来なかった周りの健常者と同じ視線で会話ができるようにもする。
期待効果:
現段階では、車いすを使用した高齢者のベッド、トイレへ等への移動には介護者が高齢者を抱き抱えて車いすへの移乗を手助けすることから、介護者の肉体的負担が大きくなる。それは介護者の腰痛の原因となり、介護離職にも繫がる。
そうした介護者に対すねる肉体的な負担が低減されれば、今後も益々進むことが予想されている介護人材の不足問題への一助にもなりうる。また介護者の負担を減らしながら、少なくとも上肢が健全で体幹のしっかりした高齢者(65歳以上の高齢者の約1.33%を潜在需要者と想定)の住居内での自立した移乗移動を可能にすることで、高齢者自身のQOL(Quality of Life)も上げることができる。
社名:株式会社テムザック
本店所在地 :〒602-8482 京都市上京区浄福寺通上立売上る大黒町689番地1
代表取締役議長:髙本 陽一
代表取締役社長:川久保勇次
設立日:2000年1月
資本金:10億1,560万円(令和5年9月末時点)
従業員数:39名
事業内容 :ワークロイドの研究開発・製造・販売
企業URL:https://www.tmsuk.co.jp
法人名:公益財団法人 市村清新技術財団
所在地:〒143-0021 東京都大田区北馬込1-26-10
総 裁:彬子女王殿下
理 事:
代表理事(会長):中村高 元/株式会社 リコー副社長
代表理事(理事長):近藤 史朗/ 元 株式会社 リコー会長
法人URL:https://www.sgkz.or.jp/