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2024年7月30日【事業資源】

TISとPIX日本、自動運転ロボットの生産・提供の新会社

坂上 賢治

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製品ラインアップ

 

自動運転ロボットの生産・提供を通じMaaS・スマートシティ技術の加速へ

 

システムインテグレーター大手のTISと、MaaS向け自動運転EVなどを開発するPIX日本は、2024年6月12日に合弁会社「ピクセルインテリジェンス」(PIX JV)を設立した。

 

ちなみにTISとPIX日本の中国本社PIX Moving(ピクシームービング)は、MaaSやスマートシティ領域等に於ける新ITサービスの創出を目指して、2022年7月に資本業務提携契約を締結していた。

 

 

そうしたなかで、2023年4月に日本政府の改正道路交通法の施行により、自動運転レベル4の規制が緩和され、特定条件下の公道で完全自動運転が解禁された。また2024年6月には、内閣府から「経済財政運営と改革の基本方針2024( 骨太方針2024 )」を発表。

 

この骨太方針2024では、「一般道での自動運転に於いて、令和6年度に全国約100カ所で計画・運行を行う」と提言され、いよいよ自動運転に関するルールの整備と、関連市場の形成が加速されていく見通しが見えてきている。

 

そこでTISとPIX日本は、MaaS向け自動運転EV、ロボットの開発・製造を主要事業とするPIX JV及び組立工場の茅ヶ崎工場(所在地:神奈川県茅ヶ崎市)を設立する。

 

 

さて今回のPIX JVに係る共同出資は、先の2022年に行われたTISとPIX Movingとの資本業務提携後の中国・日本での協業実績を踏まえ、更なる両社間のビジネス拡大を図るための提携となった。

 

より具体的にPIX JVは、MaaS関連製品及びサービスの提供を通じて、TISが中期経営計画で掲げる「低・脱炭素化」「都市への集中・地方の衰退」などの社会課題の解決に貢献。日本国内及び海外に於けるMaaS、スマートシティ領域等での新たなITイノベーションサービスの創出を本格的に手掛けていく構えだ。

 

新会社となるPIX JVの概要は以下の通り

 

名称:ピクセルインテリジェンス株式会社
所在地:東京都港区海岸一丁目7番地1号 東京ポートシティ竹芝10階
代表者:代表取締役社長 喩川
事業内容:スケートボード型EVシャシー、MaaS用EV・ロボットの開発・製造
資本金:3,628万円(増資後:資本準備金を含め35億円)
設立年月日:2024年6月12日
出資比率:PIX日本 70%、TIS 30%

 

新会社に於ける製品・サービスの特徴は以下の通り

 

PIX JVは、PIX Movingの強みである最先端のAIGC(AI-Generated Content)設計、3Dプリントなどの製造技術を茅ヶ崎工場に導入。

 

自動運転Robo-Bus(PIX Movingが提供している無人運転のミニバス)、自動運転無人販売EV、有人/無人運転ミニEV(Robo-EV)、屋外/屋内デリバリーロボット、屋外自動運転清掃EV及び自動運転汎用スケートボード型EVシャーシー( EV向けスケートボード型シャーシーのプラットフォーム )などの量産を視野に据える。

 

また、PIX JVのRTM™(Real-Time Manufacture)先端設計/製造技術は、多種のロボット関連製品の企画から開発の大幅な期間短縮を実現させていく。

 

なお上記の各種製品は、既にPIX日本を通じて日本及び海外20ヵ国以上での販売実績があり、2024年度中に日本国内でRobo-Busのナンバープレートを取得する計画がある。

 

PIX JVは、2024年中に日本での第一工場となる茅ヶ崎工場の開業を想定。2028年までには日本国内に第二工場の設立を始動させ、年間1万台以上まで製造キャパシティーの拡大を目指す。そうした一連の取り組みの結果、「ジャパンメイド」の高品質なイノベーション製品・サービスを、日本・ASEAN・EU・米国などへ提供していく。

 

<茅ヶ崎工場の概要>
所在地:神奈川県茅ヶ崎市萩園2594-1
敷地面積:1,177㎡
延床面積:2,444㎡
生産開始予定:2024年12月
生産商品:自動運転汎用スケートボード型EVシャーシー、Robo-Bus、Robo-EV、各種サービスロボットなど

 

 

PIX JVとの共創活動を通じたTISの今後の展望は以下の通り

 

<今後の注力分野>

TISでは、今後、PIX JVとの共創活動を通じて、大きく3つの分野でのビジネス拡大を狙いとした新サービスの展開を進めていく。

 

サービスロボット
– スケートボード型EVシャシーを活用したサービスロボットの企業向け提供 –
TISでは、従前より複数台のサービスロボットを統合型で管理するプラットフォーム「Robotic Base®」を開発。都心の再開発に伴う大型商業ビルなどの労働力不足に対する解決手段として、清掃や警備、配膳などを無人で行うロボットのプラットフォームを提供している。

 

また「Robotic Base」とPIX JVのスケートボード型EVシャシーを組み合わせて、エレベーター連携を含む複数フロアに跨る利用も手掛けている。具体的には病院やホテルなど用途に応じた新製品企画を通じて、ロボット活用コンサルティングから、ロボット提供、統合監視による運用までをフルサポート。ロボット支援サービスの拡大を図っている。

 

サプライチェーンDX
– 企業向けのサプライチェーンDXによる業務効率化を実現するAGV(無人搬送車)の提供 –
工場の生産性向上や物流業界の2024年問題への喫緊の対応として、構内物流や物流倉庫の積み替えニーズの増加に応え、重量サイズや付帯アプリケーションを組み合わせた新仕様のAGVを提供していく。

 

自動運転新市場の創出
– 自動運転Robo-Busや2人乗りRobo-EVによる新市場の創出 –
現在、多くのエリアで自動運転の実証や運用が開始されているなかで、Robo-Busは6人乗りの小型車両という特性を活かし、スマートシティや過疎地域での旅客輸送やグリーンスローモビリティ市場を創造。今後はTISが提供する決済や、新しいコンテンツを組み合わせた移動空間体験の新しい提案を行っていく予定。

 

また今後の法改正に合わせて認可申請手続きを進めつつ、無人移動販売や、イベント会場やリゾート地に於ける移動手段と製品と合わせた新たなイノベーションも提案していく。加えてRobo-EVは、個人の短距離移動での利用や、特定区域内でのカーシェアリングビジネスへの活用など新たな市場の創出に繋げていきたい考えだ。

 

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TIS株式会社
TISインテックグループのTISは、金融、産業、公共、流通サービス分野など多様な業種3,000社以上のビジネスパートナーとして、あらゆる経営課題に向き合い「成長戦略を支えるためのIT」を提供している。また過去50年以上に亘り培ってきた業界知識やIT構築力で、日本・中国・ASEAN地域の社会と共創するITサービスを提供し、豊かな社会の実現を目指している。

URL:https://www.tis.co.jp/

 

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株式会社ピクシームービング(PIX日本)
社名:株式会社ピクシームービング
ブランド名:PIX Moving
設立:2023年4月
拠点:東京都中央区新富1-15-11マキプラザビル403号
代表者:喩川
主要事業:スケートボード型EVシャシー、MaaS用EV・ロボットの開発・製造

URL:https://www.pixmoving.com/ja

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。