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自動運転の民主化をビジョンに掲げるティアフォー(TIER Ⅳ)は2月18日、去る2024年11月にお台場、12月に西新宿でロボタクシー(ロボットタクシー)のプレサービス実証を実施した。
同実証は、既存の交通事業と共存可能なロボットタクシーの社会実装を目指して、段階的な事業化の一環として行われたもの。なお、この取り組みは、2024年8月に採択された経済産業省による令和5年度補正予算「モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援補助金」のうち、自動運転移動サービス用車両開発事業を推進するために行われた。
今回の実証では、ロボットタクシー事業の広域展開に向けて、既存の運行設計領域を適宜拡張し、新たな交通環境に適合させるための技術検証と導入プロセスの構築を行った。
具体的には、お台場および西新宿の特定区域に於いて、ティアフォーの自動運転システムを搭載したJPN TAXI車両を走行させ、複雑な交通環境下での交差点右左折や路上駐車車両の回避を含む約500個の様々なシナリオを評価した。
お台場の走行経路
想定された運行設計領域から外れる場合には、必要に応じて運転手に運転操作を切り替えながら、安全を優先して実証を進めた。その結果、交通量の多い走行環境に対しても既存の運行設計領域を適合・拡張できることを確認した。また、広域の自動運転に必要な技術課題を抽出することができたという。
より詳細に説明するとお台場では、利用者が音声入力で目的地を指示し、東京テレポート駅周辺を中心に走行した。1回の乗車による平均走行距離は約3km、総走行距離は約354km。試乗後にアンケート調査を実施し、ロボットタクシーのサービス性向上について改善すべき点を確認した。
対して歩行者や交通量がより多い西新宿では、利用者が配車アプリで7つの目的地から1か所を選択し、指定された経路を走行した。
こちらは新宿駅西口地区駐車場地域ルール運用協議会第8期助成金の交付を受けて実施しており、そのプロジェクトの主体であるエリアマネジメント団体・新宿副都心エリア環境改善委員会を交え、プレサービス実証関係者と共にロボットタクシー事業の展開に必要な点についての議論も行った。1回の乗車による平均走行距離は約3km、総走行距離は約622kmとなった。
西新宿での走行経路(新宿副都心エリア環境改善委員会より提供)
さてティアフォーでは今回の取り組みを踏まえて、「今後は、実証で得られた成果をティアフォーのロボットタクシー用リファレンスデザインに反映させて自動車業界の関連企業に提供していきます。これにより、ロボットタクシーに適した車両開発(製造)の参入障壁が低減化され、様々な自動車メーカーがロボットタクシーの市場に参入しやすくなります。
そして、2027年度までに、新たにロボットタクシーを導入する地域に対して、リファレンスデザインを活用することで3ヶ月以内にロボットタクシーの運用を開始できるサービスモデルを構築し、全国各地におけるロボットタクシーの社会実装に貢献していきます」と語っている。
会社概要
社名:株式会社ティアフォー
所在地:東京都品川区
URL:https://tier4.jp
設立年月:2015年12月
主な事業内容:
・自動運転プラットフォーム開発事業
・自動運転ウェブサービス開発事業
・自動運転システム開発キット販売事業
・自動運転技術の教育事業