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2025年2月18日【事業資源】

ティアフォー、お台場と西新宿でロボタクシーのプレサービス実証

坂上 賢治

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自動運転の民主化をビジョンに掲げるティアフォー(TIER Ⅳ)は2月18日、去る2024年11月にお台場、12月に西新宿でロボタクシー(ロボットタクシー)のプレサービス実証を実施した。

 

同実証は、既存の交通事業と共存可能なロボットタクシーの社会実装を目指して、段階的な事業化の一環として行われたもの。なお、この取り組みは、2024年8月に採択された経済産業省による令和5年度補正予算「モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援補助金」のうち、自動運転移動サービス用車両開発事業を推進するために行われた。

 

今回の実証では、ロボットタクシー事業の広域展開に向けて、既存の運行設計領域を適宜拡張し、新たな交通環境に適合させるための技術検証と導入プロセスの構築を行った。

 

具体的には、お台場および西新宿の特定区域に於いて、ティアフォーの自動運転システムを搭載したJPN TAXI車両を走行させ、複雑な交通環境下での交差点右左折や路上駐車車両の回避を含む約500個の様々なシナリオを評価した。

 

お台場の走行経路

 

想定された運行設計領域から外れる場合には、必要に応じて運転手に運転操作を切り替えながら、安全を優先して実証を進めた。その結果、交通量の多い走行環境に対しても既存の運行設計領域を適合・拡張できることを確認した。また、広域の自動運転に必要な技術課題を抽出することができたという。

 

より詳細に説明するとお台場では、利用者が音声入力で目的地を指示し、東京テレポート駅周辺を中心に走行した。1回の乗車による平均走行距離は約3km、総走行距離は約354km。試乗後にアンケート調査を実施し、ロボットタクシーのサービス性向上について改善すべき点を確認した。

 

対して歩行者や交通量がより多い西新宿では、利用者が配車アプリで7つの目的地から1か所を選択し、指定された経路を走行した。

 

こちらは新宿駅西口地区駐車場地域ルール運用協議会第8期助成金の交付を受けて実施しており、そのプロジェクトの主体であるエリアマネジメント団体・新宿副都心エリア環境改善委員会を交え、プレサービス実証関係者と共にロボットタクシー事業の展開に必要な点についての議論も行った。1回の乗車による平均走行距離は約3km、総走行距離は約622kmとなった。

 

西新宿での走行経路(新宿副都心エリア環境改善委員会より提供)

 

さてティアフォーでは今回の取り組みを踏まえて、「今後は、実証で得られた成果をティアフォーのロボットタクシー用リファレンスデザインに反映させて自動車業界の関連企業に提供していきます。これにより、ロボットタクシーに適した車両開発(製造)の参入障壁が低減化され、様々な自動車メーカーがロボットタクシーの市場に参入しやすくなります。

 

そして、2027年度までに、新たにロボットタクシーを導入する地域に対して、リファレンスデザインを活用することで3ヶ月以内にロボットタクシーの運用を開始できるサービスモデルを構築し、全国各地におけるロボットタクシーの社会実装に貢献していきます」と語っている。

 

会社概要
社名:株式会社ティアフォー
所在地:東京都品川区
URL:https://tier4.jp
設立年月:2015年12月
主な事業内容:
・自動運転プラットフォーム開発事業
・自動運転ウェブサービス開発事業
・自動運転システム開発キット販売事業
・自動運転技術の教育事業

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。