テキサス・インスツルメンツ (TI) の社長兼 CEO のハビブ イラン(Haviv Ilan)と米国ユタ州のスペンサー コックス(Spencer Cox)知事(中央)は、TI 関係者やコミュニティのリーダーと共に、米国ユタ州リーハイで行われたTIの 2 番目の300mm半導体ウエハファブの起工式に出席した
米テキサス・インスツルメンツ(TI)は11月6日(米国・西部時間)、米国内のユタ州リーハイに於いて、新しい300mm半導体ウエハファブ建設の起工式を実施した。
起工式には、米国ユタ州のスペンサー・コックス(Spencer Cox)知事、州政府及び地方政府選出の議員が出席。加えて隣席するコミュニティのリーダー達らと執り行った。
同式典への出席で登壇したユタ州のスペンサー コックス(Spencer Cox)知事は、「TIによるユタ州への投資策は、製造分野のみならず、この地に於いて大きな役割を担っています。
この度、それがTIによって更に拡大され、当地で数百人もの高度人材を排出し、この地で高い報酬が得られる仕事を創出するということは、それ自体がユタ州にとって大きな変革をもたらす絶好の機会となるでしょう。
今後も、当地の市民が中核となって製造する半導体を以て、米国内に於いて新たな技術革新を創出し、米国全土の安全保障の土台となっていくことを心より誇りに思います」と述べた。
米国ユタ州リーハイでの建設を予定しているテキサス・インスツルメンツの2番目の300mm半導体ウエハファブLFAB2の初期計画図
ちなみにTIは先のコックス知事の言葉通り、先の2023年2月にユタ州へ110億ドルの投資を行うことを発表。それは同州に於ける史上最大規模の経済的投資になると同社では謳っている。
またLFAB2は、TI単独で約800人の雇用を生み出すと共に間接的に数千の雇用を創出。量産開始は2026 年初めになる見込みだとしている。
例えばユタ州に対する成長投資の一例である教育分野では、アルパイン学区に900万ドルを投資。ユタ州初の STEM(科学、テクノロジー、工学、数学)のラーニング コミュニティの創設に貢献している。
具体的に、それは幼稚園生から高校3年生までのあらゆる生徒を対象にした教育プログラムとしており、複数年に亘る同長期プログラムは、同学区の85,000人の生徒を対象に、コース ワーク(教育課程)に於いてSTEMの概念を奥深くまで行き渡らせ、担当する生徒・教員・管理者へ向けて、STEMを土台とする能力開発の機会を提供するという。
結果、この州の学区全体を対象とするプログラムは、生徒たちがSTEM分野の重要スキルを身に着けるのに役立つ。それは互いに協力することで創造性の高い問題解決に立ち向かう能力を身に着けさせ、クリティカル シンキングの体得や、卒業後の成功を手助けすることができる。
そんなTIの取り組みについてアルパイン学区で監督者を務めるシェーン ファーンズワース(Shane Farnsworth) 博士は、「TIとの協力関係のお陰で生徒たちは、今後の人生に於いて不可欠な知識やスキルを身につけ、テクノロジー分野で未来の進路を広げていけることを嬉しく思っています。
TIがリーハイ市と連携して進めるこの協力型の学び舎への投資は、多くの生徒のみならず、広い世代に亘る家族の歴史にも多大な影響を及ぼすことになるでしょう」と話している。
さて翻って、新たな拠点となる予定の今回のLFAB2新設は、TIの事業に於いても既存の300mmウエハファブを補完する役割を担っている。それゆえ今後は、LFAB1(ユタ州リーハイ)、DMOS6(テキサス州ダラス)、RFAB1とRFAB2(いずれもテキサス州リチャードソン)と連携を図っていく。
またTIは、テキサス州シャーマンにも新たな4棟の300mm ウエハファブ(SM1、SM2、SM3、SM4)を建設中であり、それらの進捗次第で早ければ2025年に新たなファブ体制下での製造が開始される見込みとしている。
加えて同計画を前提にLFAB2は、100%再生可能電力で操業する目標を掲げている。従って同拠点の半導体製造プロセスは、廃棄物の生成量や水とエネルギーの消費量を大きく削減していく見込みだ。より具体的にLFAB2は、既にリーハイにある既存ファブと比べ、約2倍の水のリサイクルを達成するという。
こうした施設の先進性ついてTIのハビブ イラン(Haviv Ilan)社長兼CEOは、「本日、TI はユタ州で製造技術面で重要かつ大きな一歩を踏み出しました。
我々は今後数十年に亘って、お客様のニーズにお応えできる製造能力を確保するための300mmウエハの製造に係る長期的なロードマップがあり、この新たなファブはそのロードマップの一部です。
TI は、半導体を通じてエレクトロニクスをより手頃な価格で提供することで、より良い世界を創造するという熱意があります。
私たちは、このユタ州で成長を続ける皆様の一員であり、今日、あらゆる種類のエレクトロニクス システムにとって不可欠になっているアナログ半導体と組み込みプロセッシング半導体の製造に携わっていることを誇りに思い、新たなファブであるLFAB2建設へ向けた最初の一歩を皆様と祝いたいと思います。
この新しいファブは、リーハイにある既存の300mmウエハファブとの連携を予定しています。完成後、ユタ州にある TI の 2 棟のファブはフル稼働時に。1日あたり数千万個のアナログおよび組み込みプロセッシング チップを製造する予定です」と語っている。