左:次世代材料開発室長の多田 俊生氏、右:コンケン大学 副学長のドクター ティダルット・ブーンマーズ氏(Dr. Thidarut Boonmars)
住友ゴム工業は5月8日、タイ国立・コンケン大学とゴムノキの組織培養技術に係る共同研究協定を締結し調印式を実施した。
このコンケン大学による同研究は、ゴムノキの植物生理学的反応に関わるデータを克明に分析して収量向上に繋がるメカニズムを解明することにある。同校では、この研究から持続可能な天然ゴム調達の仕組みを解明・加速させていく考えだ。
一方で住友ゴム工業は、去る2021年8月に打ち出した「持続可能な天然ゴム方針」に沿って、自社事業に係るサプライチェーン上のステークホルダー達と連携。天然ゴムの持続可能な調達手段を模索している。
接ぎ木
ちなみに現在、ゴムノキの苗木増殖で一般に用いられている標準的な手段は「接ぎ木」だ。しかし成長性や耐病性等の点などで台木の影響を大きく受けることが画題となっている。
そうしたなか、住友ゴム工業が技術確立を進めている技術は、ゴムノキの一部の組織を分離して試験管内で培養する「組織培養技術」を進めている。この手段であれば、根と茎が同一の植物体となり成長に有利になるからだ。
実際に、「組織培養」由来の苗は一般的な「接ぎ木」由来の苗と比較して、植え付け初期( 1~2年 )の成長が早いことが確認されている。
組織培養
今回のコンケン大学との共同研究では、こうした双方の実績を背景に組織培養由来のゴムノキの苗と、接ぎ木由来の苗双方の生育や葉の形の調査に加え、蒸散量測定( 植物の地上部から大気中へ水蒸気が放出される現象 )等により、植物生理学的反応に関するデータを取得して、その違いを評価。収量向上に繋がるメカニズムを解明する。
住友ゴム工業では将来的に、共同研究の枠組みでコンケン大学からのインターンシップを受け入れることも視野に入れており、ゴムノキの生産性向上だけでなく、生産国(タイ)の人材育成にも繋げていきたい考えだ。
こうした双方の共同研究について住友ゴム工業では、「当社では天然ゴムの持続可能性を高める取組みを生産性向上と臭気改善の二つの方向性で進めています。
生産性向上では、ゴムノキの成長促進と樹液採取の生産性向上に繫がる様々な研究を実施中で、 臭気改善では「臭気低減天然ゴム」の開発に成功していいます。
今回の研究を進める事により天然ゴムの生産性向上を図り、持続可能な天然ゴム調達に向けた取組みを更に加速させてまいります」と話している。
コンケン大学の概要
名称:Khon Kaen University
所在地:
Khon Kaen University 123 Moo 16 Mittraphap Rd., Nai-Muang, Muang District, Khon Kaen 40002,Thailand.
設立:1966年
学部数:19学部