ステランティスFS( Stellantis FS / Stellantis Financial Services Italia SpA )は6月28日、イタリア発の新車と中古車の資金調達目的で当初金額12億ユーロの自動車ローン契約ポートフォリオの公的証券化を実行した。
ちなみにオートローン債権は、借入れ目的が明確な個人向け債権として与信方針に依存する部分はある一方で、デフォルト率が低く信用力の高い債権として、これまでも、しばしば証券化の対象となってきた。
またこうしたオートローン債権は、個人向けで小口多数に分散された裏付資産であるため、分散度が高くデフ ォルトの発生時によるプールの毀損率が比較的安定しているのが特徴だ。
というのはオートローンの債務者は、自己の返済能力に照らして購入する自動車を選択しておいること。自動車保有という明確な 借入れ目的があるため返済意欲が相対的には高いものと考えられるためだ。
一方で、世界的な自動車販売台数の飽和により、ノンバンクを中心に自動車の販売金融を手がける会社間の獲得競争は相応に激しく、その結果としてローン金利も比較的低いのも特徴のひとつだ。
さて、今回のステランティスFSとは、ステランティス グループ( Stellantis Group )のイタリア専属銀行であり、ステランティス ファイナンシャル サービス ヨーロッパ( Stellantis Financial Services Europe )とサンタンデールコンシューマ銀行( Santander Consumer Bank )が 50/50 で所有する合弁会社だ。
特別目的事業体「オートABSイタリアンステラローン( Auto ABS Italian Stella Loans )」は、投資家が引き受けた資産担保( ABS )のシニア債( Senior Bond/優先債 )、メザニン債( Mezzanine Bond / 中間債 )及びジュニア債(Junior Bond/劣後債 )を発行した。
SeniorBond及びMezzanine Bondは、ボンド・レーティング・サービシズ( DBRS / Dominion Bond Rating Services )及びフィッチ・レーティングス( Fitch / Fitch Ratings )により格付けされている。
クラスA格付けは、DBRSがAAA(sf)、FitchがAA、クラスB格付けは、DBRS がAA(sf)、FitchがAA、クラスC格付けは、DBRSがA(高)(sf)、Fitch がA、クラスD格付けは、DBRSがA(sf)、FitchがBBB+、クラスE格付けは、DBRSがBBB(高)(sf)、FitchがBB+であり、いずれもルクセンブルク証券取引所に上場されている。
なお、この取引は6か月間のリボルビング期間があり、シンプル、透明、標準化( STS )ラベルを取得。この構造は、重要なリスク移転( SRT )を実現するように設計されており、銀行の支払能力比率の強化を可能にしている。これらはサンタンデール銀行( anco Santander S.A./スペイン )とBofA( バンク・オブ・アメリカ )証券がアレンジャー( 証券化の調整 )及び共同主幹事を務め、Societe Generale(ソシエテ・ジェネラル)が共同主幹事を務めた。
ゼニスグローバルズ( Zenith Global )は、コーポレート サービス プロバイダー、計算エージェント、及びRoNとして機能。法的側面については、ホーガン・ロヴェルズ法律事務所( Hogan Lovells )がオリジネーターに助言し、アレン・アンド・オーヴェリー( A&O Shearman )がアレンジャーに助言した。
ステランティスFSのCFOであるセルジオ・リノ氏は、「この証券化取引により、ステランティスFSは資金調達源の多様化の道を継続し、支払能力比率を強化します」と結んでいる。