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2024年6月28日【事業資源】

ステランティス、12億ユーロの自動車ローンを証券化

坂上 賢治

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ステランティス・ロゴステランティスFS( Stellantis FS / Stellantis Financial Services Italia SpA )は6月28日、イタリア発の新車と中古車の資金調達目的で当初金額12億ユーロの自動車ローン契約ポートフォリオの公的証券化を実行した。

 

ちなみにオートローン債権は、借入れ目的が明確な個人向け債権として与信方針に依存する部分はある一方で、デフォルト率が低く信用力の高い債権として、これまでも、しばしば証券化の対象となってきた。

 

またこうしたオートローン債権は、個人向けで小口多数に分散された裏付資産であるため、分散度が高くデフ ォルトの発生時によるプールの毀損率が比較的安定しているのが特徴だ。

 

というのはオートローンの債務者は、自己の返済能力に照らして購入する自動車を選択しておいること。自動車保有という明確な 借入れ目的があるため返済意欲が相対的には高いものと考えられるためだ。

 

一方で、世界的な自動車販売台数の飽和により、ノンバンクを中心に自動車の販売金融を手がける会社間の獲得競争は相応に激しく、その結果としてローン金利も比較的低いのも特徴のひとつだ。

 

さて、今回のステランティスFSとは、ステランティス グループ( Stellantis Group )のイタリア専属銀行であり、ステランティス ファイナンシャル サービス ヨーロッパ( Stellantis Financial Services Europe )とサンタンデールコンシューマ銀行( Santander Consumer Bank )が 50/50 で所有する合弁会社だ。

 

特別目的事業体「オートABSイタリアンステラローン( Auto ABS Italian Stella Loans )」は、投資家が引き受けた資産担保( ABS )のシニア債( Senior Bond/優先債 )、メザニン債(  Mezzanine Bond / 中間債 )及びジュニア債(Junior Bond/劣後債 )を発行した。

 

 

SeniorBond及びMezzanine Bondは、ボンド・レーティング・サービシズ( DBRS / Dominion Bond Rating Services )及びフィッチ・レーティングス( Fitch / Fitch Ratings )により格付けされている。

 

クラスA格付けは、DBRSがAAA(sf)、FitchがAA、クラスB格付けは、DBRS がAA(sf)、FitchがAA、クラスC格付けは、DBRSがA(高)(sf)、Fitch がA、クラスD格付けは、DBRSがA(sf)、FitchがBBB+、クラスE格付けは、DBRSがBBB(高)(sf)、FitchがBB+であり、いずれもルクセンブルク証券取引所に上場されている。

 

なお、この取引は6か月間のリボルビング期間があり、シンプル、透明、標準化( STS )ラベルを取得。この構造は、重要なリスク移転( SRT )を実現するように設計されており、銀行の支払能力比率の強化を可能にしている。これらはサンタンデール銀行( anco Santander S.A./スペイン )とBofA( バンク・オブ・アメリカ )証券がアレンジャー( 証券化の調整 )及び共同主幹事を務め、Societe Generale(ソシエテ・ジェネラル)が共同主幹事を務めた。

 

ゼニスグローバルズ( Zenith Global )は、コーポレート サービス プロバイダー、計算エージェント、及びRoNとして機能。法的側面については、ホーガン・ロヴェルズ法律事務所( Hogan Lovells )がオリジネーターに助言し、アレン・アンド・オーヴェリー( A&O Shearman )がアレンジャーに助言した。

 

ステランティスFSのCFOであるセルジオ・リノ氏は、「この証券化取引により、ステランティスFSは資金調達源の多様化の道を継続し、支払能力比率を強化します」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。