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2023年11月2日【事業資源】

ステランティス、中国戦略を2人の取締役に委ねる

坂上 賢治

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Stellantis(ステランティス)・ロゴ

 

クライスラー、ダッジ、ジープ、シトロエンの親会社ステランティスN.V.は11月1日(アムステルダム発)、先に(10月26日)同社が15億ユーロ規模の戦略的投資先として明らかにした中国のEVメーカーLeapmotor(リープモーター社/零跑汽車)取締役就任予定のグレゴワール オリヴィエ氏を、カルロス・タバレス氏直属の海外事業責任者に任命した。

 

写真左からグレゴワール・オリヴィエ氏、右ダグ・オスターマン氏

 

グレゴワール氏は同責務にあたって、中国国内での物品調達、市場調査、販売合弁会社の設立、流通および販売資産の使用に関する調整など、将来的な事業拡大策を模索。新たな戦略的パートナーシップの実行などについても精力的に推し進めていくという。

 

併せてステランティスN.V.は、ダグ・オスターマン氏をタバレス氏直属の最高執行責任者(中国事業COO)に任命した。なおオスターマン氏もリープモーター社の取締役を務める予定。オスターマン新COOは、中国に於ける事業全域の運営に加え、競争の激しい中国国内で事業を成長させるための知識を持つとされる。

 

 

ちなみに2015年に創設されたリープモーター社は、中国当地で急成長中の新エネルギー車(NEV)製造企業の一角を占めている。 同社は中・高級市場に重点を置き、昨年度は約111,000台のNEVを生産・納入した実績がある。

 

先にリープモーター社とステランティスは、双方で51(ステランティス)/49(リープモーター)%を出資して合弁会社のLeapmotor International(リープモーター・インターナショナル)を設立。

 

この結果、ステランティスは、中国国外のリープモーター社製品の製造・輸出・販売で独占権を保持しており、合弁会社は2024年後半から中国国外への製品出荷を開始する予定としている。なおステランティスは、リープモーター社の取締役会に2議席を持ち、リープモーター・インターナショナルのCEOの任命権も有している。

 

 

この両社のパートナーシップは、中国でリープモーター車の販売を拡大させていく他、ステランティスの国際販売力を活用して、欧州・米国など中国外地域でのブランド浸透を加速化させることも目的のひとつだ。

 

ステランティスN.V.のタバレスCEOは、「先に発表済のリープモーター社との連携をより確実に実行するため、我々は当社の2人の経営トップに中国事業を委ねることにした。

 

まずダグ(オスターマン氏)は、新規事業運営に対するタフな適応力、優れた交渉スキルを持ち合わせており、この責任を担うだけ実力がある。またそもそもダグは先頃迄、中国に於いてCFO(最高財務責任者)およびCSO(戦略責任者)を務めていた。

 

またグレゴワール(オリヴィエ氏)とダグの2人は、過去2年間に亘って、互いに協力して新たな戦略を策定。当社のビジネスを成長させるべく新たな手段を切り拓いてきた。私は両名がそれぞれの役割で、中国事業で新たな推進力を生みだしてくれるものと信じている」と述べた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。