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2024年6月13日【事業資源】

STと吉利汽車、NEVへの転換とイノベーションを促進

坂上 賢治

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STマイクロエレクトロニクス( ST )と吉利汽車は6月13日、SiC( 炭化ケイ素 )製品に関する協力関係を加速させるため、SiCの長期供給契約を締結した。

 

STは、この複数年契約に基づき、吉利汽車の複数ブランドに対し、ミドルレンジからハイエンドのBEV向けにSiCパワー半導体を供給して、充電の高速化、航続距離の延長を経て吉利汽車によるNEVへの転換戦略に貢献していく構えだ。

 

また併せて吉利汽車とSTは共同研究ラボも設立。このラボは、車載インフォテインメントやスマート・コックピット・システムといった自動車のE/E( 電子 / 電気 )アーキテクチャ、高度運転支援システム( ADAS )、NEVに関連する革新的なソリューションに関する情報交換および探究を目的としている。

 

ちなみに吉利汽車は、STの第3世代SiC MOSFETをトラクション・インバータに採用している。トラクション・インバータは、電動パワートレインの主要コンポーネントで、SiC MOSFETによって効率を最大化することができる。先進的なインバータ設計とSiCのような高効率パワー半導体の組み合わせは、EVの性能向上の鍵となる。

 

こうした両社の取り組みについて吉利汽車中央研究所( Geely Automotive Central Research Institute )の電子・電気センター長であるLi Chuanhai氏は、「私たちは、STと互いの能力を強化し、両社の優位性とリソースを最大限に活用できるウィン・ウィンの協力関係を築けたことを非常に喜ばしく思います。

 

イノベーション・ジョイント・ラボの設立を通じて、吉利汽車とSTは協力関係を深め、相互利益を得ることができます。そして、吉利汽車における革新的な技術の開発および実装を加速できると信じています」と述べた。

 

更に吉利汽車中央研究所の電子・電気センター ディレクターであるFu Zhaohui氏は、「私たちは、車載用半導体の世界的リーダーであるSTと密接に協力し、革新的な共同研究ラボを設立できたことを嬉しく思います。

 

スマート・ドライビングなどの分野において長期的に協力関係を深め、顧客のニーズに両社共同でフォーカスし、新たな製品・ソリューションの普及を加速させるとともに、効率的な協力体制を構築していきます。

 

この協力関係は、スマート・カーや電気自動車、コネクテッド・カーといった開発トレンドに基づき、より未来志向の技術研究を進める両社に利益をもたらすと信じています。

 

STがリードする車載ビジネスのソリューションを活用することで、製品性能やシステム統合、および総合的な市場競争力に関して、吉利汽車が優位性を得られることをとても嬉しく思います」と語っている。

 

これを受けてSTの中国地区セールス & マーケティング担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのHenry Cao氏は、「中国において自動車のイノベーションで著しい成果を上げている吉利汽車は、自動車の電動化とデジタル化で急速な進歩を達成すると同時に、グローバル市場での存在感を高めています。

 

今回のSiCの長期供給契約と共同研究ラボの設立は、両社の長年にわたる協力関係をさらに前進させる大きな一歩となります。中国は、世界最大のNEV市場であり、世界をリードするイノベータでもあります。

 

STは、車載機器のバリュー・チェーン全体にわたる当社のローカル・コンピテンス・センターおよび顧客との共同研究ラボにより、中国における自動車のイノベーションと転換をより的確にサポートすることができます」とコメントした。

 

中国のトップ・ブランドでもある吉利汽車は、2023年に合計168万台の自動車を販売した。このうちNEVの販売台数は48万台に達し、同社の年間販売台数の28%を占めている。このNEVの販売台数は前年比で48%の増加を示しており、吉利汽車がNEVへの移行に成功し、業界への影響力を高めていることを示している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。