NEXT MOBILITY

MENU

2022年8月30日【企業・経営】

シェフラー、欧州EV戦略に5000万ユーロを投じる

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

新たな複合施設を一棟建設することで敷地面積はおよそ8,000平方メートルに

 

シェフラーは、ドイツ・ビュールのブースマッテンにある既存の電動モビリティ開発・製造施設に新複合施設を増設する。新複合施設は、二棟の建物を橋で連結する構成で延べ床面積は15,000平方メートルとなる。( 坂上 賢治 )

 

具体的には、新たな複合施設を一棟建設することで敷地面積をおよそ8,000平方メートルとし、電動モビリティ分野の新拠点に据える。ちなみに同建設計画の投資額はおよそ5,000万ユーロ規模となる。

 

 

この投資についてシェフラーAG自動車技術部門のマティアス・ジンク最高経営責任者(CEO)は、「当社は電動モビリティ分野における活動を大幅に広げており、主要プロジェクトの受注を強化しています。

 

また自動車および産業機械分野のサプライヤーであるシェフラーは、2021年には電動パワートレイン事業の売上高が10億ユーロを超え、総額32億ユーロ相当となる各種新規プロジェクトも世界規模で受注しました。

 

2022年上半期では、さらに32億ユーロ相当の新規受注を獲得していることから、2022年通期目標を上半期の6か月間ですでに達成したことになります。今後、シェフラーは電動モビリティのイノベーションを目指して最先端の新しいワークスペースを創出していきます」と話す。

 

未来のモビリティを創出する企業になるというシェフラーからの明白なメッセージに

 

この新複合施設の建設は、シェフラーの「ロードマップ2025」に盛り込まれている戦略計画の一環であり、電動モビリティ分野の能力拡充において重要なマイルストーンとなるものだ。着工は2022年9月で2024年秋の完成予定だ。

 

 

拠点地域にあたるビュールのフーベルト・シュヌアー市長は、「開発施設の建設は、事業拠点であるビュールにとって、また従業員の将来にとって、重要な契機となります。

 

先に自動車事業のグローバル本社をビュールに建設するとの発表を行った2018年に続き、今回の開発施設建設については、ビュール拠点の強化のみならず未来のモビリティを創出する企業になるというシェフラーからの明白なメッセージであると捉えています」と語った。

 

刷新される拠点では、従業員およそ400人が各種プロジェクトに共同で取り組む

 

加えてシェフラーの電動モビリティ事業部門責任者のヨッヘン・シュレーダー博士は、「ビュールのブースマッテン工業団地に建設する新複合施設は、二棟の建物を橋で連結する構造で、延べ床面積は15,000平方メートル。

 

刷新された拠点では、従業員およそ400人が各種プロジェクトに共同で取り組み、電動パワートレインの新システムの開発を手掛けます。

 

新複合施設は、分野横断的なチーム、広範囲に及ぶ協力関係およびネットワーキングゾーンならびに研究室やワークショップのエリアを実現するワークスペースを特徴としており、カンファレンスセンターの設置計画もあります。

 

なお環境側面およびサステナビリティについては、最初から中心的役割を果たすものとして考えています。新施設では、屋上とファサードに設置予定の太陽光発電設備で電力を発電します。

 

具体的には、ヒートポンプを利用してサステナブルな冷却・発熱を実現します。また雨水回収タンクを設置して、灌水やトイレの洗浄水などといった、さまざまな用途に利用するなど、新複合施設は、DGNB(ドイツサステナブル建築協会)のゴールドスタンダードに準拠して建設されます」と結んでいる。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。