NEXT MOBILITY

MENU

2024年6月18日【事業資源】

スキャンディット、トヨタの製造工場にスキャン技術を提供

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

スマートデータキャプチャ技術を提供するScandit(スキャンディット)は6月18日、トヨタ自動車が、同社製造ラインにスキャンディット・バーコードスキャナSDK(Scandit Barcode Scanner SDK)を採用したことを明らかにした。

 

上記のスキャンディットとは、スマートデータキャプチャ領域で、安定した性能を強みに導入企業を絶やしており導入産業は、イオンリテール、オーケー、ハンズ、ベルク、U.S.M.H、ヤマト運輸、カルビー、Instacart、Levi’s Strauss、FedEx、DHLなど、小売、輸送・物流、ヘルスケア、製造業など多岐に亘っている。

 

今回は、トヨタ自動車の製造現場に於ける部品に貼付されたトレーサビリティ用のコード(金属面への刻印や湾曲面に貼られたシールなど)の正確なスキャンに対応。作業遅延を発生させることなく製造ラインでのタブレット内臓カメラによるバーコードおよびQRコードのスムーズなスキャンシステムとして採用されている。

 

導入に至った経緯は、愛知県のトヨタ自動車田原工場(主にランドクルーザー、レクサスGX、センチュリーなどの大型車を製造)の一部ラインで、主にトヨタ自動車での開発も担う作業者への生産指示アプリ(通称:電子指示ビラ)をタブレットで利用していた。しかし同タブレットと連携させたQRリーダーを使用し、部品のトレーサビリティに関する情報を取得していたものの、以下のような課題が発生していたことが切っ掛けとなった。

 

 

  • コスト増加:タブレットに加えて高価な専用スキャナーが必要
  • 作業効率低下:タブレットと専用スキャナーの両方の操作が必要
  • 運用負担:専用スキャナーの充電やBluetoothペアリングなどの管理

 

上記を踏まえトヨタ自動車は、これらの課題を解決するためタブレットの内蔵カメラで各種コード(バーコード、QRコード、マイクロQR)を読み取ることを検討した。

 

しかし、汎用タブレットに搭載のカメラアプリやオープンソースのフリーソフトでは、サイズの小さいコード、湾曲面に貼られたコード、また暗い車両内でのコードの読取でスキャンの遅延・失敗といった問題が発生していたため、製造現場での使用には不十分だった。

 

そこで、同社はScandit Barcode Scanner SDKをテスト・検証し、その結果、タブレットの内蔵カメラを使用しているにも関わらず、QRコードの迅速かつ優れた読み取り精度を実現できることを確認した。

 

また別のテストでは、Scandit Barcode Scannerが部品に付いているQRコードの読み取り精度を大幅に向上させていることが確認された。なお、これには、金属面に刻印されたり、湾曲した面に貼られたりしたQRコードも含まれる。

 

トヨタ自動車では、これらのテスト結果を総合的に評価し、Scandit Barcode Scanner SDKの採用を決定。なお同ラインへの導入にあたっては、Scanditのパートナーである日立ソリューションズが事前検証で支援に入ることで、スムーズな導入が実現した。

 

Scandit Smart Data Captureの導入効果は以下の通り

 

  • Scandit Barcode Scanner SDKの導入により、以下の効果を実現しました。
  • コスト削減:専用スキャナーが不要になり、コストを大幅に削減
  • 作業効率向上:タブレット1台のみで操作が可能となり、作業効率を大幅に向上
  • 運用負担軽減:専用スキャナーの管理が不要になり、運用負担を軽減
  • 読み取り精度向上:さまざまな状態のコードを高精度に読み取る

 

導入に際してトヨタ自動車 田原工場組立部技術室の担当者は、「製造ラインで使用する各部品のトレーサビリティは、法的にも社内のルールとしても必要不可欠です。タブレットの内蔵カメラで当社の作業指示アプリとコードのスキャンが統合できたことは、現場の作業負担軽減とコスト削減に大きく寄与しました」と話している。

 

更にトヨタ自動車 車両製造技術開発部システム製作課の担当者は、「コードのスキャンによって部品が確認できなければ、製造作業を進めることができません。

 

そのため、読み取り対象部品はもれなく読み取ることが必要になります。Scandit Barcode Scannerを使ったテストでは、現場作業で想定されるさまざまな条件を設定して読み取り検証を実施しました。

 

その結果、現場で要求される読取条件下(バーコードサイズ、周囲の照度、読取にかける許容時間)において正確にもれなく読み取ることができました。作業者がストレスを感じないように短時間で正確な読み取りができることも高評価でした」とコメントしている。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。