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2024年8月9日【ESG】

電⼒シェアリング、輸送法人向けのCO2削減策の提案へ

坂上 賢治

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電⼒シェアリングは8月10日、独自の特許技術を用いて、貨物・旅客輸送・物流事業者向けにCO2排出量を精緻に算定し、その削減策をアドバイスするサービスの提供を開始した。同社によるとEVカーシェア向けの予約システムを提供しているZenmovなど複数の企業に活⽤されているという。

 

上記サービス提供を開始した背景には、近年、地球温暖化問題が深刻化するなかで、2050年までにCO2の排出をネットゼロ化するべく貨物・旅客輸送事業や、配送・ロジスティクス領域で、車両の走行によるCO2排出量を計測・報告するニーズが高まっているため。

 

併せて流通事業者に対して、顧客からCO2排出量の提供を求められるケースも増えている。また今後は、ライフサイクルアセスメント(LCA)による、商品のカーボンフットプリント(CFP)の算定要件を厳格する検討が、GHG Protocol事務局でなされており、2024年にScope2と Scope3ガイダンスの改訂案が公開され、2025年に施行される予定となっている。

 

そうした中で、車両導入・運用コスト削減とCO2排出量削減の観点から、車両のEV化を検討する企業も増えている。しかしEVの導入は、充電インフラの整備や、充電電気料金などの状況が一般にはわかりづらいことや、EV化によりどの程度CO2排出の削減が可能なのか、その費用対効果についての精緻な算定やシミュレーションを行うサービスは充分ではなかったのが現実だ。

 

EV化によるCO2排出削減効果の正確な算定手法は以下の通り

 

EV充電によるCO2排出量は、様々な条件により大きく変動する。例えば、原子力発電が稼働していない地域では、再エネの多い昼間の時間に比べ、夜は2倍近くになることもある。

 

また以下の図のように、一般的にガソリン車に比べれば、EV化でCO2排出量を削減できるが、夜間中心の充電であれば、地域によってはその効果は半減してしまうこともある(ロケーション基準)。

 

 

また、現在は、Jクレジットなどのオフセット証書を使った「CO2排出実質ゼロ」電気料金メニューを選択することで、排出量をゼロとみなすことが許容(黙認)されているが、これは世界的に問題視されており、過去に別の地域での再エネ発電で作られたオフセット証書での「ゼロ主張」は認められなくなる可能性もある(マーケット基準)。

 

そうした環境下で電⼒シェアリングは、24時間365⽇、100%リアルタイムの再エネ電⼒需給の実現に向け、国連の主 導する24/7 Carbon Free Energy Compactに2023年に加盟。

 

自らの特許技術を用い独自⼿法をベースに、特許技術(国際特許出願中)を⽤いて、事業者のCO2排出削減量の可視化を可能する。その結果、EV化によるCO2排出量や排出回避量を正確に算定し、その導入・運用費用と共に、効果をシミュレーションすることで、様々なシナリオを策定することが可能だという。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。