電⼒シェアリングは8月10日、独自の特許技術を用いて、貨物・旅客輸送・物流事業者向けにCO2排出量を精緻に算定し、その削減策をアドバイスするサービスの提供を開始した。同社によるとEVカーシェア向けの予約システムを提供しているZenmovなど複数の企業に活⽤されているという。
上記サービス提供を開始した背景には、近年、地球温暖化問題が深刻化するなかで、2050年までにCO2の排出をネットゼロ化するべく貨物・旅客輸送事業や、配送・ロジスティクス領域で、車両の走行によるCO2排出量を計測・報告するニーズが高まっているため。
併せて流通事業者に対して、顧客からCO2排出量の提供を求められるケースも増えている。また今後は、ライフサイクルアセスメント(LCA)による、商品のカーボンフットプリント(CFP)の算定要件を厳格する検討が、GHG Protocol事務局でなされており、2024年にScope2と Scope3ガイダンスの改訂案が公開され、2025年に施行される予定となっている。
そうした中で、車両導入・運用コスト削減とCO2排出量削減の観点から、車両のEV化を検討する企業も増えている。しかしEVの導入は、充電インフラの整備や、充電電気料金などの状況が一般にはわかりづらいことや、EV化によりどの程度CO2排出の削減が可能なのか、その費用対効果についての精緻な算定やシミュレーションを行うサービスは充分ではなかったのが現実だ。
EV化によるCO2排出削減効果の正確な算定手法は以下の通り
EV充電によるCO2排出量は、様々な条件により大きく変動する。例えば、原子力発電が稼働していない地域では、再エネの多い昼間の時間に比べ、夜は2倍近くになることもある。
また以下の図のように、一般的にガソリン車に比べれば、EV化でCO2排出量を削減できるが、夜間中心の充電であれば、地域によってはその効果は半減してしまうこともある(ロケーション基準)。
また、現在は、Jクレジットなどのオフセット証書を使った「CO2排出実質ゼロ」電気料金メニューを選択することで、排出量をゼロとみなすことが許容(黙認)されているが、これは世界的に問題視されており、過去に別の地域での再エネ発電で作られたオフセット証書での「ゼロ主張」は認められなくなる可能性もある(マーケット基準)。
そうした環境下で電⼒シェアリングは、24時間365⽇、100%リアルタイムの再エネ電⼒需給の実現に向け、国連の主 導する24/7 Carbon Free Energy Compactに2023年に加盟。
自らの特許技術を用い独自⼿法をベースに、特許技術(国際特許出願中)を⽤いて、事業者のCO2排出削減量の可視化を可能する。その結果、EV化によるCO2排出量や排出回避量を正確に算定し、その導入・運用費用と共に、効果をシミュレーションすることで、様々なシナリオを策定することが可能だという。