NEXT MOBILITY

MENU

2023年3月17日【企業・経営】

マツダ社長交代会見、毛籠取締役専務執行役員が新社長に

松下次男

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

株主総会後、丸本明社長は相談役。菖蒲田清孝会長は続投

 

マツダは3月17日、毛籠勝弘(もろ まさひろ)取締役専務執行役員(62)が新社長に昇格すると発表した。同日開いた取締役会で内定し、6月 の定時株主総会後に正式に就任する。丸本明社長(65)は相談役に就き、菖蒲田清孝会長(63)は続投する。社長交代は5年ぶり。( 佃モビリティ総研・松下次男 )

 

新社長に就任する毛籠氏は営業部門及び海外事業に精通し、直近では北米マツダのCEO(最高経営責任者)として米国販売ネットワークの立て直しを先導した。

 

丸本社長、毛籠次期社長の二人で臨んだ社長交代会見でも、丸本社長は毛籠次期社長へバトンタッチする要素の一つとして北米事業の実績を取り上げ、「ブランド価値経営を定着させながら、販売ネットワーク、販売金融の改革を実行し、今やもっとも収益を上げる市場に変革した」と評価した。

 

 

毛籠氏によると、社長就任の打診を受けたのは昨年暮れ。「社長から新体制について頭の体操をしてほしい」と言われ、その時は「意外であり、覚悟ができていなかった」との心境だったことを披露した。

 

マツダが直面する課題では、立ち上げたトヨタ自動車との米国合弁工場、ラージ商品群と電動化技術、米国販売ネットワークの再構築などブランド価値向上への投資を計画通りに実行し、軌道に乗せることが求められている。

 

こうした課題に対し、毛籠氏は「現場に光を当て、現場が生き生きと活躍できる場を支援する風土を大切にしたい」と述べるとともに、「チームで経営に当たり、一人ひとりが創造性を発揮し、価値を創造する。そういうブランド価値経営を深めたい」と話す。

 

マツダブランドへ再投資する好循環を作るのが私のビジョン

 

その上で、まずは「ラージ商品群を成長軌道に乗せ、成功裏に導く」ことと、「サプライチェーン、バリューチェーンを含め、全社的に原価低減活動を実行し、経営効率を高める」と訴えた。

 

 

さらに中長期的にはカーボンニュートラルをはじめ、劇的に変化する自動車産業への対応が迫られている。

 

これに対し、毛籠氏は昨年11月に公表した中期経営計画のアップデートや2030年に向けた経営方針に沿って、着実に実行することだとした。

 

具体的には、2030年の経営方針で示した3段階のフェーズに分けて取り組むとしたうえで、「マツダのようなスモールプレイヤーはビッグプレイヤーと少し違う」と述べ、ぶれずに「時間軸で電動化を着実に展開する」と強調した。

 

また、こうした課題に対しては「個社だけでは対応できない」とし、資本提携するトヨタを含めて「いろんなところとパートナーになって難局を乗り切りたい」と述べた。

 

主力市場の北米では新世代店舗が着実に進展していると述べるとともに、ディーラー各店舗が「マツダブランドに再投資する好循環を作り出すのが私のビジョンだ」と表明した。

 

座右の銘について、毛籠氏は「和魂洋才」を掲げた。グローバルのフィールドの長かったことから、「日本人としてのしっかりとした考えを持つことがグローバルプレイヤーになる一つの基準」との考えから。

 

毛籠勝弘(もろ まさひろ)氏略歴
京都産業大学卒、1983年3月マツダ入社、2002年8月 グローバルマーケティング本部長、04年3月マツダモーターヨーロッパ副社長、08年11月執行役員グローバル販売統括補佐、13年6月常務執行役員営業領域総括、16年1月常務執行役員マーケティング戦略統括、マツダモーターオブアメリカ(マツダノースアメリカンオペレーションズ)社長兼CEO、16年4月専務執行役員、19年4月専務執行役員北米事業統括、マツダモーターオブアメリカ(マツダノースアメリカンオペレーションズ)会長兼CEO、19年6月取締役専務執行役員、21年6月取締役専務執行役員コミュニケーション・広報・渉外・管理領域統括。1960年11月8日生まれ。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。