株主総会後、丸本明社長は相談役。菖蒲田清孝会長は続投
マツダは3月17日、毛籠勝弘(もろ まさひろ)取締役専務執行役員(62)が新社長に昇格すると発表した。同日開いた取締役会で内定し、6月 の定時株主総会後に正式に就任する。丸本明社長(65)は相談役に就き、菖蒲田清孝会長(63)は続投する。社長交代は5年ぶり。( 佃モビリティ総研・松下次男 )
新社長に就任する毛籠氏は営業部門及び海外事業に精通し、直近では北米マツダのCEO(最高経営責任者)として米国販売ネットワークの立て直しを先導した。
丸本社長、毛籠次期社長の二人で臨んだ社長交代会見でも、丸本社長は毛籠次期社長へバトンタッチする要素の一つとして北米事業の実績を取り上げ、「ブランド価値経営を定着させながら、販売ネットワーク、販売金融の改革を実行し、今やもっとも収益を上げる市場に変革した」と評価した。
毛籠氏によると、社長就任の打診を受けたのは昨年暮れ。「社長から新体制について頭の体操をしてほしい」と言われ、その時は「意外であり、覚悟ができていなかった」との心境だったことを披露した。
マツダが直面する課題では、立ち上げたトヨタ自動車との米国合弁工場、ラージ商品群と電動化技術、米国販売ネットワークの再構築などブランド価値向上への投資を計画通りに実行し、軌道に乗せることが求められている。
こうした課題に対し、毛籠氏は「現場に光を当て、現場が生き生きと活躍できる場を支援する風土を大切にしたい」と述べるとともに、「チームで経営に当たり、一人ひとりが創造性を発揮し、価値を創造する。そういうブランド価値経営を深めたい」と話す。
マツダブランドへ再投資する好循環を作るのが私のビジョン
その上で、まずは「ラージ商品群を成長軌道に乗せ、成功裏に導く」ことと、「サプライチェーン、バリューチェーンを含め、全社的に原価低減活動を実行し、経営効率を高める」と訴えた。
さらに中長期的にはカーボンニュートラルをはじめ、劇的に変化する自動車産業への対応が迫られている。
これに対し、毛籠氏は昨年11月に公表した中期経営計画のアップデートや2030年に向けた経営方針に沿って、着実に実行することだとした。
具体的には、2030年の経営方針で示した3段階のフェーズに分けて取り組むとしたうえで、「マツダのようなスモールプレイヤーはビッグプレイヤーと少し違う」と述べ、ぶれずに「時間軸で電動化を着実に展開する」と強調した。
また、こうした課題に対しては「個社だけでは対応できない」とし、資本提携するトヨタを含めて「いろんなところとパートナーになって難局を乗り切りたい」と述べた。
主力市場の北米では新世代店舗が着実に進展していると述べるとともに、ディーラー各店舗が「マツダブランドに再投資する好循環を作り出すのが私のビジョンだ」と表明した。
座右の銘について、毛籠氏は「和魂洋才」を掲げた。グローバルのフィールドの長かったことから、「日本人としてのしっかりとした考えを持つことがグローバルプレイヤーになる一つの基準」との考えから。
毛籠勝弘(もろ まさひろ)氏略歴
京都産業大学卒、1983年3月マツダ入社、2002年8月 グローバルマーケティング本部長、04年3月マツダモーターヨーロッパ副社長、08年11月執行役員グローバル販売統括補佐、13年6月常務執行役員営業領域総括、16年1月常務執行役員マーケティング戦略統括、マツダモーターオブアメリカ(マツダノースアメリカンオペレーションズ)社長兼CEO、16年4月専務執行役員、19年4月専務執行役員北米事業統括、マツダモーターオブアメリカ(マツダノースアメリカンオペレーションズ)会長兼CEO、19年6月取締役専務執行役員、21年6月取締役専務執行役員コミュニケーション・広報・渉外・管理領域統括。1960年11月8日生まれ。