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2023年11月9日【事業資源】

ポールスター、新たな事業計画と資金調達ブランを発表

坂上 賢治

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ボルボカーズ傘下のポールスター・オートモーティブ・ホールディングUK.PLC (ナスダックPSNY/Polestar Automotive Holding) は11月8日、利益率改善と資金需要の解決を目標に新たな事業計画を発表した。

 

具体的には、急変化する経営環境を鑑み、販売計画(台数)の達成より、利益増加を優先するため収益性確保に向けた事業計画を策定・導入する。

 

 

その計画は、2025年度に年間総販売台数約155,000~165,000台・10 %台後半の粗利益を目標とし、現在生産の4モデルラインを保ったままで運用コストを削減。加えて中国国内での新たな合弁事業や米国事業の収益性改善策によって達成させたい意向だ。

 

そもそも同社は、今年初めに発表した人員削減策を中心とした事業計画を既に実施しており、今後も引き続き積極的なコスト管理の取り組みを進めていく。

 

ポールスターのトーマス・インゲンラートCEOは、「事業計画を練り直して、必要な措置を講じたことにより事業コストを削減。経営上の運用効率を改善して、経済環境の悪化を問わない事業回復力と収益性の高いものづくりを構築。それと同時に運用資金の削減も行っていきます。

 

今計画により2025年を目標に据えたキャッシュフロー上の損益分岐点を達成させることは、当社独自のアセットライト型ビジネスモデル(Asset&Light/資産保有を抑え、財務を軽くすることを目指す経営)の強さを示すことになるでしょう。

 

今後は4ラインのラグジュアリーラインナップで経営を支え、販売量よりも利益を確保することが私たちの使命となるでしょう」と話している。

 

 

対して吉利控股は追加の流動資金を提供。親会社のボルボ・カーズ(株式の48.3%を保有)は、未払いの定期ローンの満期を2027年6月まで3年以上延長し、同じ満期日で合計2億ドルの追加融資枠を提供。合計で2億ドルの追加融資枠を提供した。これによりポールスターへの投資額は10億ドルに達する。

 

更に吉利スウェーデン・オートモーティブ・インベストメントAB(吉利控股の関連会社)は、2027年6月の満期を含め、ボルボ・カーズと実質的に同じ条件で2億5,000万ドルの定期融資を利用可能にした。なお、どちらのローンにもオプションで株式変換機能が付きとし、ポールスターへの継続的なコミットメントを示した。

 

なおポールスターは、2025年に目標としているキャッシュフローの損益分岐点を達成させるまでに約13億ドルの外部資金が必要になると予想しており、同社は主要株主と協力して、追加の負債と株式を含む必要な残りの資金を獲得するための総合的な資金調達計画を慎重に推し進めていく。

 

 

一方、ボルボ・カーズの最高財務責任者ヨハン・エクダール氏は、「ポールスターは、ポールスター3とポールスター4の発売により、成長と収益性の新たな段階に入ろうとしています。

 

今回、強化された事業計画は、収益性の高い方法で事業目標を追求しながらポールスターの財務をより安定させることになるでしょう」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。