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2024年8月29日【事業資源】

パイオニアとゼンリン、モビリティ産業の課題解決で協業

坂上 賢治

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ラストワンマイル配送向けなど、幅広いDXソリューションの開発・提供へ

 

パイオニアとゼンリンは8月29日、モビリティ課題の解決に向けた協業の取り組みを共に強化し、新たなDXソリューション/サービスの開発、提供を推進すると発表した。

 

両社は、モビリティ/エネルギー分野における脱炭素社会の実現に向けた取り組みを支援する目的で2022年8月にパートナーシップ契約を締結。EV向けの航続距離算出や最適ルート算出、EV導入シミュレーションなど、両社アセットを活用したEVソリューション/サービスの提供を行ってきた。

 

今回の連携は、配送やタクシー、巡回メンテナンス、警備、訪問介護などでの「ドライバー不足」「労働環境の悪化」「交通事故」「環境負荷」といった産業界が抱える様々なモビリティ課題の解決を目的にパートナーシップを強化。更に幅広いDXソリューション/サービスの開発・提供に取り組むという。

 

 

さて今回の両社による協業強化とは、パイオニアのルート最適化技術とカーボンニュートラル関連技術(燃費・電力消費率推定技術やCO2排出量可視化)を活用することにある。

 

その活用手段とは、“Web-API(Webプログラムの機能や機能の一部を別のプログラムから利用できるようにする仕組み)”や、それらを使いやすい形で統合したICE(Internal Combustion Engine:エンジン自動車)・HV(Hybrid Vehicle:ハイブリッド自動車)・BEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)、2輪車への“ナビSDK”に展開することにある。

 

例えば上記のWeb-API向けの原資では、ゼンリンが保有する業界最長距離を網羅する“道路地図データ”や建物名称・居住者名や番地、各建物の出入口情報を収録した“住宅地図データ”を組み合わせたものが技術基盤となる。

 

それらをラストワンマイル配送(宅配便、個人・事業者配送など)・商用車の業務効率化や環境負荷低減などに繫がるDXソリューション/サービスとして共同開発して提供していく。より個別の技術基盤に係る説明は以下の通り。

 

(1)住宅地図を統合したモバイルSDKおよび新たなUI・UXの開発
 お客様の固有情報など任意の情報を住宅地図データに登録/重畳表示するなど、地図とデータをシームレスに統合したモバイルSDKソリューション/サービスおよび各産業分野の利用形態・モビリティに最適化されたUI・UXの開発を行います。

 

 

【住宅地図と固有情報の統合イメージ】 (本住宅地図画像はダミーデータ)

 

(2)環境負荷低減に貢献する新たなソリューション開発・提供
 カーボンニュートラル関連技術を活用した環境負荷低減に貢献する新たなソリューションを開発し、企業が保有するさまざまな車両(ICE・HV・BEV・2輪車)向けの統合サービスの開発を可能にするナビSDKとして提供します。

 

 

(3)相互ソリューション/サービスの販売
 両社のソリューション/サービスを各々の販売チャネルを活用して販売します。それぞれのチャネル特性を活かし、相互に補完し合うことで、産業界のさまざまなモビリティ課題を解決するDXソリューション/サービスの提供を推進します。

それぞれの両社が持つ強みは以下の通り

 

<パイオニア>
車載システムとモビリティデータを活用したテレマティクスサービスに加え、スマートフォン向けサービスの開発やSDK、Web-APIによるサービス提供など、独自のモビリティAIプラットフォーム“Piomatix(パイオマティクス)”を核としたサービス事業を推進。

 

また、高度なルートテクノロジーと特許技術である燃費・電力消費率推定技術を“Piomatix”と組み合わせたクラウドプラットホーム“Piomatix for Green”で、車の移動に伴うCO2排出の削減をサポートするソリューションを開発・提供していく。

参考情報 : 「パイオニアの強み“Piomatix”」 
https://jpn.pioneer/ja/strengths/piomatix/?ad=pr

 

<ゼンリン>
専用車両や調査スタッフが街を構成するあらゆる情報を収集し、「時空間データベース」として整備。

 

情報の活用例は「地図」にとどまることなく、高精度な位置情報とソリューションサービスの融合で、顧客の多様なニーズに対応し、必要なコンテンツを最適な形で提供するビジネスを強化している。

 

地域や企業が抱える課題に対し、さまざまな企業との連携を通じて新たな産業インフラの構築を目指します。

参考情報 : 「ZENRIN Automotive向けソリューション」
https://www.zenrin.co.jp/product/category/automotive/index.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。