トヨタ自動車は3月21日、社外取締役・社外監査役(以下、社外役員)の役割・期待の明確化と、「独立性判断に関する基準」(以下、独立性判断基準)の見直しについて公表すると共に、第120回定時株主総会後の取締役・監査役体制を、以下の通り発表した。
Ⅰ.社外役員の役割・期待の明確化と独立性判断に関する基準の見直しについて
「トヨタフィロソフィー」をベースとした持続的成長や中長期的な企業価値向上、社会課題の解決に向け、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでいるトヨタは、今回、社外役員が独立した立場から意思決定に参画していることを明確にし、より一層多様なステークホルダーの意見を経営に反映させるため、同社独自の社外役員の役割・期待を明確にし、独立性判断基準を再定義した。
なお、この新たな独立性判断基準は、第120回定時株主総会後の取締役会・監査役体制から適用。内容については、社外取締役が過半数を占める「役員人事案策定会議」で取締役会に上程する案として検討され、監査役全員の同意を得た上で、取締役会の承認を受けていると云う。
1.社外役員の役割・期待
・「トヨタフィロソフィー」に共感し、トヨタの事業、人材に高い関心を持ち、経営陣との緊密な対話を通じて、トヨタおよびトヨタを取り巻く環境を理解する。
・トヨタの持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けた意思決定への貢献や、社会課題の解決に貢献する。
・社外取締役は、多様なステークホルダーの意見を認識した上で、各々の豊富な経験や高度な専門知識を活かし、取締役会の意思決定の付加価値向上に資すると同時に、業務執行の監督を行う。
・社外取締役は、取締役会に上程される事項に限らず、重要課題や事業戦略等への助言、支援を行う。
・社外監査役は、各々の豊富な経験や高度な専門知識を活かし、公正・中立的な立場から経営に対する監査を行う。
2.独立性判断基準
トヨタでは、会社法で定められた社外役員の要件を満たし、かつ、以下の事項の何れにも該当しない場合、当該社外役員に独立性があると判断する。
(1)関係会社所属歴:現在、トヨタおよび連結子会社の業務執行取締役、監査役、執行役員、従業員である者。または、過去10年間に於いて、トヨタおよび連結子会社の業務執行取締役、監査役、執行役員、従業員であった者。
(2)主要取引先:過去3年間の事業年度の何れか事業年度に於いて、トヨタおよび連結子会社との間の取引金額が、取引先またはトヨタおよび連結子会社の連結売上高の2%を超える企業等の業務執行者(業務執行取締役、執行役、執行役員、従業員またはこれらに相当する者をいう。以下同じ)。
(3)主要借入先:過去3年間の事業年度の何れかの事業年度に於いて、トヨタおよび連結子会社の借入金額が、トヨタおよび連結子会社の連結総資産の2%を超える借入先の業務執行者。
(4)多額報酬専門家:過去3年間の事業年度の何れかの事業年度に於いて、トヨタおよび連結子会社から、直接的に年間120,000米ドルを超える報酬(社外役員としての報酬を除く)を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家。
(5)多額寄付:過去3年間の事業年度の何れかの事業年度に於いて、トヨタおよび連結子会社から、年間120,000米ドルを超える寄付を受けている者(団体の場合は所属する者)。
(6)主要株主:トヨタが持株比率上位10社以内または同社の持株比率上位10社である企業等の業務執行者。
(7)関係監査法人:現在または過去10年間に於いて、トヨタおよび連結子会社の会計監査人である監査法人に所属する者または所属していた者。
(8)近親者:トヨタおよび連結子会社の取締役、監査役、執行役員、重要な従業員または上記1から6に該当する者(重要でない者を除く)の配偶者または二親等以内の親族。
(9)役員相互派遣:トヨタおよび連結子会社から取締役または監査役を受け入れている企業の業務執行者。
(10)在任期間:社外役員としての在任期間が12年を超える者。
但し、以上の事項に形式的に該当する場合であっても、会社法上の社外役員の要件を充足しており、かつ、実質的に独立性を有し一般株主と利益相反が生じるおそれがないと考える場合は、その理由を開示することを条件に独立性があると判断することがある。
Ⅱ.第120回定時株主総会後の取締役・監査役体制
1.取締役体制
現任の10名が継続し、モビリティカンパニーへの変革と社会課題の解決に引き続き取り組んでいく。
2.監査役体制
現在独立役員として届け出されている監査役の酒井竜児氏は、今回の見直しによる独立性判断基準の下では「主要取引先」に所属することとなるため、総会終結を以て監査役を辞任。後任候補者の検討にあたっては、上記の社外役員の役割・期待と独立性判断基準に加え、取締役・監査役各人が有する知識・経験・能力等のバランスが考慮されていると云う。
なお、取締役および監査役は、総会の承認を経て、代表取締役および役付取締役の選定は、総会後の取締役会にて正式決定される。また退任予定の取締役および監査役は、総会終結時を以て退任となる。
(1)退任予定監査役(1名)
<氏名、現役職>
– 酒井 竜児、監査役
(2)新任監査役候補(1名)
<氏名、現役職>
– 長田 弘己、元(株)中日新聞社 編集委員兼国際総合面デスク(2024年3月1日付退職)
(3)退任予定補欠監査役(1名)
<氏名、現役職>
– 菊地 麻緒子、補欠監査役
(4)新任補欠監査役候補(1名)
<氏名、現役職>
– 藤沢 久美、(株)国際社会経済研究所 理事長
(参考)第120回定時株主総会後の取締役・監査役の体制(候補者)
■取締役(10名)
<氏名、新役職、属性>
– 豊田 章男、代表取締役会長、─
– 早川 茂、代表取締役副会長、─
– 佐藤 恒治、代表取締役社長(*1)、─
– 中嶋 裕樹、取締役(*1)、─
– 宮崎 洋一、取締役(*1)、─
– Simon Humphries、取締役(*1)、─
– 菅原 郁郎、取締役、社外・独立
– Sir Philip Craven、取締役、社外・独立
– 大島 眞彦、取締役、社外・独立
– 大薗 恵美、取締役、社外・独立
*1:執行役員を兼務。
■監査役(6名)○=新任
<氏名、新役職、属性>
– 安田 政秀、常勤監査役、─
– 小倉 克幸、常勤監査役、─
– 白根 武史、常勤監査役、─
– George Olcott、監査役、社外・独立
– Catherine O’Connell、監査役、社外・独立
○ 長田 弘己、監査役、社外・独立