スズキは3月8日、2030年度に向けた成長戦略の達成および持続的成長を実現するため、4月から人事制度を全面的に刷新すると発表した。
新しい人事制度では、社員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮できる環境を整備し、その挑戦と行動、価値創造を通じて、個の職務能力向上と成長を促す。
また、チームスズキとして社員全員が、社是と行動理念『小・少・軽・短・美』『三現主義』『中小企業型経営』に則り、知識・スキル・ノウハウを備え、現場での経験を重ねることで、人材としての職務能力を高め、組織の稼ぐ力を上げていくと云う。
[制度改革のポイント]
1.職能資格制度の導入
(1)各職系・階層ごとの役割と社員一人ひとりの職務遂行に必要な能力要件を明確化した職能資格制度へ移行。
(2)各本部の職務で必要とされる知識・スキル・ノウハウ・経験を明示し、職務能力の増強に活用。
2.評価制度の見直し
(1)業績と職務能力の向上は別々に評価し、短期の業績は賞与に、職務能力は昇給・昇格に反映。これによりさらに挑戦できる環境の醸成を図る。
(2)能力評価の項目を明示し、上司と部下の相互コミュニケーションを通じて職務能力改善に取り組む。
3.60歳以降の働き方の見直し
(1)60歳を過ぎても、気力・体力・環境に問題がなければ、60歳時点の業務と給与を維持。
(2)全社レベルの人材マッチングと再教育による個の職務能力に最適な配置を実現し、60歳以上の方々が活き活きと働くことができる会社を目指す。
4.給与・手当・初任給の見直し
(1)職務と職能に基づく給与体系を導入。
(2)子育て支援、通勤、国内出向などの各種手当の見直し。
(3)初任給を大幅に引き上げ、若年層からの賃金カーブの立ち上がりを改善。
【新卒初任給の引き上げ】
<区分、現行、2024年4月以降、引き上げ率>
・院卒、242,000円、273,000円、12.8%
・大学卒、220,000円、251,000円、14.1%
・高校卒、179,500円、201,000円、12.0%
スズキの鈴木俊宏社長は、今回の人事制度の全面刷新について、以下のようにコメントしている。
「今回の人的資本増強を通じて、従業員のモチベーションを高め、スキルアップやイノベーションを推進することを目指しています。また、一人ひとりの挑戦と行動を促し、『個の成長』の加速と『個の稼ぐ力』を強化し、組織全体の成長につなげます。
さらに、社員が自己実現できる職場環境の構築にも取り組んでいきます。
スズキは、今後も人的資本への投資を継続し、社会から必要とされる企業を目指します。
今回の春闘については、この人事制度改革をもとに回答する予定です」。