1967年に設立され、現時点で200か国以上に拠点を置き、12万人以上の従業員を配する現代自動車(HMC)は2024年11月14日(韓国・ソウル発)、ホセ・ムニョスCOO(59歳)を来たる2025年1月1日付けで社長兼最高経営責任者(CEO)に任命すると発表した。これによりムニョス氏は、現代自動車グループ自動車部門副会長に昇進した現社長兼最高経営責任者(CEO)のジェフン・チャン氏の後任として、現代自動車のグローバルビジネスを率いることになる。韓国の大手コングロマリットで外国人がCEOに就任するの初となる。
ムニョス氏は、電動化、多様なパワートレイン製品、水素技術など、次世代モビリティに於けるリーダーシップの地位を築き上げながら、同社の顧客重視のビジョン「人類の進歩」の実行を監督する。またグローバルブランドとしてのヒュンダイ自動車の地位を更に強化するために、同社のグローバル管理システムの推進にも注力する。
そんなムニョス氏は、スペイン生まれで米国市民。マドリード工科大学で原子力工学の博士号を取得し、マドリードのIEビジネススクールでエグゼクティブMBAを取得。また英国のクランフィールド経営大学院とフランスのINSEADビジネススクールでエグゼクティブマネジメントプログラムを修了。英語、スペイン語、フランス語に堪能だ。
ビジネスキャリアではヒュンダイ入社前に日産自動車の最高業績責任者、日産中国・北米の会長を務めていた。15年間の在任期間中、ムニョス氏は大幅な利益成長と記録的な売上を達成した。また、トヨタ自動車ヨーロッパでも複数の管理職を歴任した。
ヒュンダイモーターカンパニーへの入社は2019年。社長兼グローバル最高執行責任者、およびヒュンダイとジェネシスモーター北米の社長兼CEOを務めた。2022年にムニョス氏はヒュンダイモーターカンパニーの取締役会に任命され、ヨーロッパ、インド、中東、アフリカ、アジア太平洋を含む範囲で責任が拡大。また、グローバルオペレーション部門の一員として、世界的な販売、サービス、製品計画も指揮してきた。
さらに、ムニョスは、最適化された販売量と利益管理を通じて、収益性を重視した販売体制を推進した。その結果、北米市場に於けるヒュンダイとジェネシスの両ブランドの売上高、市場シェアの拡大、財務実績は過去最高となり、グループの売上高で世界自動車会社のトップ3に入るという達成に貢献した。
その結果ムニョス氏は、トップクラスのリーダーシップ人材を引きつけ、確保することで、業務実績の向上、販売店ネットワークの強化、会社の競争力の向上を実現。彼のリーダーシップの下、ジョージア州にヒュンダイ・モーター・グループの新しいメタプラント・アメリカ生産施設と2つのバッテリー合弁会社を建設するために126億ドルが投資されている。
加えてムニョス氏のトップ就任は、来年以降の米国状勢を踏まえると、元米国外交官ソン・キム氏(任期1年目のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談を、米国チームの一員として支援した)を国際外交を監督する顧問として任命したことと合わせて、米国市民として当地に於ける事業を精力的に推進してきたムニョス氏の采配は、米国第一主義を掲げる次期政権の意を丁寧に汲み取ってくという意味でも、現行体制よりも優位に働く可能性もありそうだ。
ジェフン・チャン氏は、「ホセは、豊富な国際経験を持つ実績のあるリーダーであり、競争とビジネスの不確実性が高まる中でヒュンダイを率いるのに理想的です。
先にCEO投資家デーで概説したように、当社はモビリティとエネルギーを中心とした未来を創造するという明確なヒュンダイ・ウェイのビジョンを持っています。ホセと当社のリーダーシップチームの他のメンバーと共に、ヒュンダイの未来は非常に明るいものとなるでしょう」と述べた。
対してムニョス氏は、「この新しい役職でヒュンダイ、従業員、顧客、ディーラー、その他の利害関係者に奉仕できることは光栄です。信頼を寄せ下さったチョン・ウィスン会長とチャン・ジェフン副会長に感謝します。
この困難な業界で成功するには、設計、エンジニアリングから製造、販売、サービスまで、バリューチェーン全体にわたる卓越性と、あらゆる段階で成果を上げることができる有能なチームが必要です。
私は今後の挑戦に興奮し、やる気に満ちており、ヒュンダイの成長軌道を継続し、顧客の期待を上回ることに全力を尽くしたいと思っています。ヒュンダイで働くことは本当に素晴らしいことです」と述べている。