アウディデザインが次世代ブランドの方向性を定める時期に
独・アウディAGは2月15日( 独・インゴルシュタット発 )、アウディデザインの新しい責任者にマッシモ・フラセッラ氏( Massimo Frasella / 52歳 )を据える。就任は来たる6月1日、彼はグループ内で新たな役割を担うことになるマルク・リヒテ氏の後任となる予定だ。
トリノのアプリケーション&デザイン研究所の卒業生であるフラセラ氏は、スティレ ベルトーネでキャリアをスタートさせた。まずはフォード・モーター・カンパニーと起亜自動車で活動した後、2011年からはジャガー ランドローバーで活躍。同社ではふたつのブランドのデザイン責任者を務めた。
アウディは、そんな彼を迎え入れるにあたって、次世代を担うアウディブランドの新たな方向性を見定めている。具体的には、今後数年の間に技術革新の波が複数回起こり、すべての車両セグメントの形状と機能が決定的に変化することになると見ているからだ。そこでアウディはデザイン部門の位置付けを再編。今後は取締役会会長直属となる見込みだ。
そうした新たな環境を迎えるマッシモ・フラセラ氏は、「アウディに入社することは私にとって非常に特別な瞬間です。私は最高クリエイティブ責任者の役割を引き受け、このような才能あるチームを率いてブランドの将来を、より高みに導くことができることを大変光栄に思います。
私は変化を起こすデザインの力を信じており、ブランドの新たな魅力を育むために自分の役割を果たしたいと思います。そんな私にとってシンプルさを追求すること。それは新たなデザインを創造するための本質的なアプローチ手段です。
それは時流のトレンドだけを追い求めるのではなく、余分な装飾を省いたデザインを心がけていくことに注力し、時代を超越した洗練されたデザイン言語を生み出したいと思います」と話している。
マッシモ・フラセラ氏が新生アウディを創造する役割を担う
一方、アウディAG取締役会会長だったマルクス・ドゥスマン氏の後任として、昨年の9月から新会長の役割を引き継いだゲルノート・デルナー氏( Gernot Döllner )は、「デザインは常にブランドの中核であり、アウディブランドのDNAの一部でした。
だからこそ、技術変革の時代を迎える同段階に於いては、今後登場する全てのシリーズ モデルの内装と外装にブランドスローガンである〝Vorsprung durch Technik(技術による先進性)〟をデザインに於いても示さねばなりません。
マッシモ フラセラ氏は、アウディ車が紛れもない感情的なデザイン言語を通じてブランドのアイデンティティを体現できることを保証してくれています。
明快さ、緻密さ、完璧なプロポーションが、彼の手掛けるデザイン哲学の中核であるため、その仕事はアウディのブランドイメージにスムーズに直結することでしょう」と述べた。
なお前任者のマルク・リヒテ氏は、2014年からアウディデザインを率いてきた。1969年にドイツのアルンスベルク/ザウアーラントで生まれた彼は、フォルクスワーゲンAGからアウディに入社。長らくエクステリアデザインスタジオの先頭を走ってきた。
リヒテ氏がアウディに在籍していた時代には、新世代の連続ベストセラーモデルが相次いで導入されると共に、ブランド初のスタンドアロン電動モデルシリーズであるAudi e-tron、e-tron GT、およびQ4モデル ファミリーが発表された。
そうしたリヒテ氏の数々の実績を踏まえてゲルノート・デルナー氏は、「これまで10年間に亘り、ブランドの顔としてクリエイティブな思考を介して先見の明を示してくれたマークに心から感謝します。」と謝辞の言葉で結んでいる。