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パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は先の1月23日、日本で初めて1人のオペレーターによる遠隔操作型小型車の複数地域、合計10台同時の公道走行の道路使用許可を取得し実証実験を開始したことを明らかにした(2月6日)。
昨今、物流業界の人手不足が慢性化する中、EC市場の拡大に伴う宅配便数の増加や食料品アクセス問題などに代表される買物困難者の増加が大きな社会課題となっている。これらの社会課題に対して、2019年には経済産業省が「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」を立ち上げ、ロボット配送サービスの社会実装に向けた本格的な検討が開始された。
そうした流れを受けパナソニックHDでは、自動搬送ロボットと遠隔管制システムを組み合わせたロボットソリューションを開発。ラストワンマイル配送や移動販売、情報発信などでのロボット活用を推進し、各地域に於いて社会実装を展開してきた。
しかしロボット活用による人手不足の解消には、1人の遠隔オペレーターが安全に多くのロボットを同時に運行できることが重要になる。そこでパナソニックHDでは、2022年4月、日本で初めて1人のオペレーターによる遠隔操作型小型車の4台同時かつロボット近傍に保安要員を配置しないフルリモート型での運行を実施した。以降、複数台のロボットを同時に運行しながら、様々なパートナーと共にサービス提供を継続してきた。
今回は、そうした取り組みの更なる効率化を図るべく遠隔オペレーターの一部業務をサポートするAI機能を開発。遠隔オペレーターの作業負荷を大きく低減させることにより、同時に運行できるロボットの台数を10台に増やすことを可能にした。そこで神奈川県藤沢市と大阪府門真市、佐賀県佐賀市の3地域、合計10台の自動搬送ロボット「ハコボ」をフルリモート型で運行した。
今後も1人のオペレーターが複数地域を跨ぎながら、複数のロボットを同時に活用したサービス提供への貢献を目指す。更に「ハコボ」は、後部に搭載するキャビンをカスタマイズすることで移動販売や情報発信など様々な用途にも対応することが可能なため、複数の台数・地域・サービスを組み合わせることにより、ロボットサービスの運用コストを抑えることも可能だ。
従って遠隔地にあるオフィスからロボットを運行できることで、地域間での働き手のアンバランス解消や働き方の改善に貢献していきたい考えだ。
<関連情報>
・X-Area – モビリティサービスプラットフォーム
https://holdings.panasonic/jp/corporate/mobility/x-area.html
・一般社団法人ロボットデリバリー協会
https://robot-delivery.org/