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2025年2月6日【事業資源】

パナソニック、小型輸送車10台の同時・遠隔運行実証を開始

坂上 賢治

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パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は先の1月23日、日本で初めて1人のオペレーターによる遠隔操作型小型車の複数地域、合計10台同時の公道走行の道路使用許可を取得し実証実験を開始したことを明らかにした(2月6日)。

 

昨今、物流業界の人手不足が慢性化する中、EC市場の拡大に伴う宅配便数の増加や食料品アクセス問題などに代表される買物困難者の増加が大きな社会課題となっている。これらの社会課題に対して、2019年には経済産業省が「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」を立ち上げ、ロボット配送サービスの社会実装に向けた本格的な検討が開始された。

 

そうした流れを受けパナソニックHDでは、自動搬送ロボットと遠隔管制システムを組み合わせたロボットソリューションを開発。ラストワンマイル配送や移動販売、情報発信などでのロボット活用を推進し、各地域に於いて社会実装を展開してきた。

 

 

しかしロボット活用による人手不足の解消には、1人の遠隔オペレーターが安全に多くのロボットを同時に運行できることが重要になる。そこでパナソニックHDでは、2022年4月、日本で初めて1人のオペレーターによる遠隔操作型小型車の4台同時かつロボット近傍に保安要員を配置しないフルリモート型での運行を実施した。以降、複数台のロボットを同時に運行しながら、様々なパートナーと共にサービス提供を継続してきた。

 

今回は、そうした取り組みの更なる効率化を図るべく遠隔オペレーターの一部業務をサポートするAI機能を開発。遠隔オペレーターの作業負荷を大きく低減させることにより、同時に運行できるロボットの台数を10台に増やすことを可能にした。そこで神奈川県藤沢市と大阪府門真市、佐賀県佐賀市の3地域、合計10台の自動搬送ロボット「ハコボ」をフルリモート型で運行した。

 

今後も1人のオペレーターが複数地域を跨ぎながら、複数のロボットを同時に活用したサービス提供への貢献を目指す。更に「ハコボ」は、後部に搭載するキャビンをカスタマイズすることで移動販売や情報発信など様々な用途にも対応することが可能なため、複数の台数・地域・サービスを組み合わせることにより、ロボットサービスの運用コストを抑えることも可能だ。

 

 

従って遠隔地にあるオフィスからロボットを運行できることで、地域間での働き手のアンバランス解消や働き方の改善に貢献していきたい考えだ。

 

<関連情報>
・X-Area – モビリティサービスプラットフォーム
https://holdings.panasonic/jp/corporate/mobility/x-area.html

 

・一般社団法人ロボットデリバリー協会
https://robot-delivery.org/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。