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2022年11月25日【事業資源】

日産自動車の全国下請企業実態調査、減収傾向に歯止め

坂上 賢治

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帝国データバンク横浜支店は11月25日、企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)の中から、日産自動車グループと直接、間接的に取引がある下請企業(一次下請先、二次下請先)を抽出し、社数・従業員数(非正規社員を除く)合計、都道府県別、業種別、年商規模別等に集計した。

 

 

調査対象は、日産自動車のほか、同社の2021年度・有価証券報告書に記載がある連結子会社で、自動車および自動車部品の製造・開発に関わる子会社7社(日産車体、日産自動車九州、愛知機械工業、ジヤトコ、日産工機、日産トレーデイング、オーテツクジヤパン〈現・日産モータースポーツ&カスタマイズ〉)の計8社とした。

 

 

抽出条件は、製造業、卸売業、サービス業の3業種<食品など日産自動車グループの本業と関連の薄い業態は除く>で、資本金3億円以下の企業(個人含む)を「下請先」とし、日産自動車グループの複数社と取引関係がある企業については「1社」としてカウントした。なお取引の有無、売上高、所在地は最新のものとしたが、変動している可能性もあるとしている。

 

調査結果は以下の5つの要素に集約される。

1 日産自動車グループの「一次下請先」は1895社、さらに一次下請先と取引を行う「二次下請先」は1万5160社。直接、間接に取引がある下請企業の合計は全国で1万7055社に達した。

 

 

2 都道府県別に見ると、「東京都」が4024社(構成比23.6%)でトップ。以下、「大阪府」1808社(同10.6%)、「愛知県」1773社(同10.4%)、「神奈川県」1632社(同9.6%)が続いた。

 

3 業種別に見ると、一次下請先は「受託開発ソフトウェア業」が81社(構成比4.3%)で最も多く、次いで「自動車部品・付属品製造業」が73社(同3.9%)となった。二次下請先も「受託開発ソフトウェア業」が711社(同4.7%)で最も多くなり、次いで「電気機械器具卸売業」が559社(同3.7%)となった。

 

 

4 年商規模別に見ると、一次下請先、二次下請先ともに「1億~10億円未満」が最も多く、合計で8855社となり、構成比52.0%と過半数を占める。

 

5 直近決算の売上増減が判明した1万3931社の売上推移は、「増収」が9195社(構成比66.0%)、「減収」が4736社(34.0%)となった。日産自動車の業績は2021年3月期に減収傾向が強まり、2021年11月の同調査において「増収」となった下請先が約2割にとどまる一方、「減収」が約8割を占めたが、2022年3月期において日産自動車の業績は連結で増収となるなど改善、下請先でも減収傾向に歯止めがかかり、増収企業の割合が高まったものとみられる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。