日産自動車2月2日、電気自動車(EV)のバッテリーを蓄電池として充放電制御を行う日産独自のエネルギーマネジメントを活用したサービス「ニッサンエナジーシェア」を来たる3月1日より提供すると発表した。
日産は福島県浪江町などでEVの充放電を自律的に行う独自の制御技術を用い、エネルギーの効率的な利活用の検証を行ってきた。今回提供を開始する「ニッサンエナジーシェア」は、これらの検証を通して培った技術や知見をもとに、主に法人や事業者、自治体のニーズに応じた最適なエネルギーマネジメントサービスを企画・構築・保守・運用までをワンストップ で提供するもの。
そのシステム概要は以下の通り
日産独自のエネルギーマネジメント技術(インテリジェント・チャージング・マネジメントシステム)を採用
EV搭載の蓄電池を、移動の動力源としての活用を超えて建物や地域へ電力を供給するべく充放電制御システムが、EVの使用予定やバッテリー残量、建物の電力使用状況をリアルタイムに把握しながら、最適な受給電タイミングを自律的にコントロールする。
これによりモビリティとしての利便性を損なうことなく、電力のピークシフトやピークカットを図ると共に、太陽光パネルなどで作られた再生可能エネルギーと連携させ、エネルギーの地産地消や脱炭素化にも貢献できる。その特徴は以下3テーマとなる。
1.スマート充電によるピークシフト
建物の電力消費状況と、EVのバッテリー残量や使用状況を把握。EVへの充電タイミングを制御する。この際、複数EVを保有している場合でも建物の電力使用に影響を与えることなくEVを使用することができる。
2.放電マネジメントによるピークカット
建物の電力需要が高まる時間帯に、EVから建物へ電気を戻すことで施設電力のピークをカットし、電力使用量を 抑えると共に電気料金の削減に貢献する。
3.再生可能エネルギーを有効活用するべく建物に太陽光パネルが設置されている場合、太陽光発電との連携が可能。
具体的には太陽光での発電量が多い時には積極的にEVへ充電し、その電力を夜間に建物へ給電するなど太陽光の発電状況に応じた受給電を効果的に行う。これにより企業が自らの事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することも可能。この結果、国際的イニシアチブ「RE100」への貢献にも繫がる。
提供サービスの概要
利用ユーザーの導入目的に応じたソリューション提案から機器や施工業者の選定・補助金の申請に至る導入をサポート。導入後の保守運用や状況変化に応じた改善提案まで、以下3テーマに沿ってワンストップで提供する。
A.コンサルテーション・要件定義・現状調査・ソリューションの提案や導入効果の試算など。
B.システム構築に係る推奨機器の選定や施工業者の手配。システム初期設定や進捗管理など。
C.保守運用・定期点検・トラブル対応・稼働モニタリングによる効果分析・改善提案など。
日産では、「EVのリーディングカンパニーとして、EVの開発・販売に留まらず、世界で初めてとなるV2H(Vehicle to Home)の市場投入や、バッテリーの二次利用を行う4Rエナジーの設立などを介して持続可能な社会の実現を目指し、クルマのライフサイクル全体で日産ならではの価値を提供してきました。
今後も引き続き、移動と社会の可能性を広げる様々な取り組みや実証実験を通して、カーボンニュートラルの実現と、未来のまちづくりに貢献してまいります」と話している。