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日産自動車と三菱商事は3月18日、次世代モビリティサービスと電気自動車(EV)に資するエネルギーサービスの共同事業検討の覚書を締結した。( 坂上 賢治 )
まず日産は、多くの人の自由な移動を実現するべく福島県浪江町などでの〝有人運転モビリティサービス〟や、横浜みなとみらい地区での〝自動運転実証実験〟に取り組んできた。また併せてEVバッテリーの蓄電・充放電機能の活用を介して、〝再生可能エネルギーのマネジメント開発〟も手掛けてきた。
対して三菱商事は、(1)再エネ等の地域エネルギー資源の活用。(2)カーボンニュートラルに係る取り組み。魅力ある街づくりなどを掲げ、(3)パートナーや自治体と共に社会・産業課題の解決などをテーマに、独自の事業を進めてきた。
上記テーマに沿った三菱商事の具体的な取り組みは、長野県塩尻市などの自治体・民間企業向けの〝送迎AIオンデマンド交通の実装〟〝自動運転の実証運行など交通課題改善に資する施策〟などであったのだが今後、同社では更に「交通弱者の増大」「生活サービス提供機能の低下」「コミュニティの希薄化」「防災対策の重要性増大」が進み、モビリティに係る社会構造がより深刻化していく見立てを想定しているという。
そこで日産自動車と三菱商事は、そのような事態の深刻化を共有しつつ、多様な地域事情を積極的に活性化させていくべく、「次世代移動ニーズに応える技術とエネルギー技術」、そこを出発点とした「新たなサービスモデルの構築」が必要であると考え、互いが手を結んで新ビジネスモデルを共創するための覚書を締結した。
両社はこれまで、それぞれが培ってきた技術や知見をもとに、まずは課題先進国である日本に於いて、次世代モビリティサービスとEVを活用したエネルギー関連サービスを共同で事業化することを目指すとしている。
そんな共同事業の検討について日産自動車社長兼最高経営責任者の内田 誠氏は、「日産はワクワクするクルマや技術を通じて、お客さまの移動の可能性を広げながら、社会の可能性を広げるスマートなエコシステムの構築を進めています。
新しいモビリティサービスとエネルギーマネジメントを通じて、地域課題の解決や未来創造型のまちづくりに貢献する。この想いを共有する三菱商事と共に、強固で持続的なビジネスモデルを検討していきます」と述べた。
対して三菱商事 代表取締役 社長の中西 勝也氏は、「技術革新や脱炭素化の進展により、大きな変革が起きつつあるモビリティ分野に於いて、三菱商事が中期経営戦略〝2024 MC Shared Value の創出〟の中でも掲げている〝EX・DX一体推進〟により、日産自動車と共に、社会課題を解決する持続可能なビジネスモデルの構築を目指して検討を進めて参ります」と話している。