ニデックは4月23日、2024年3月期連結決算を発表した。それによると売上高が前期比4.7%増の2兆3482億円で過去最高を更新した。最終利益は約2.8倍の1253億円。次期3月予測では前期比31.6%増の1650億円への拡大を見込み、結果、来期は3期振りに過去最高益を更新する見通しであるとした。今期の年間配当は前期比5円増の80円( 配当性向は27.9% )を見込んでいる。( 坂上 賢治 )
改善の背景はEV部品事業で、価格競争の激しい中国向けイーアクスル領域を縮小させたこと。一方で米国に於けるインフラ更新需要で産業用モーター分野などが伸びたこともある。これにより業績の押し下げ効果が薄れ、純利益が前期3月を上回った。同社によるとEV部品事業は下半期にかけて黒字化すると読んでいる。
佐村彰宣最高財務責任者( CFO )は、EV部品事業は拡大路線から収益最重視へと舵を切り、リスタートの準備を整える。今後、競争が激化する中国市場については自社の技術力を高めつつ、機会を伺う考え方を示した。併せて国際環境に於ける同分野では、今期から連結対象になる欧州ステランティスとのイーアクスル生産に係る合弁事業に期待をかけた格好だ。
なお同事業での更なる採算改善要素としては、今夏に市場投入予定の第3世代イーアクスルも期待要素のひとつだ。同新世代製品は、モーター+インバーターなどの機能一体化で生産コストを抑える方針。この領域では前期比4倍の80万台強を見込んでいる。
一方で売上の4割を保ち続けている家電・商業・産業用モーターは、米国の港湾・下水道等のインフラ設備の更新需要もあって安定基調にあるとした。ちなみに売上の約90%を海外で稼ぐ同社の2024年の為替設定は、前期実績と同水準の1ドル=145円想定としているなか、今後は、ソニー出身の岸田光哉氏による新体制発足に伴う戦略立て直し策に期待が集まる。