プライベートエクイティファンドのアドベント・インターナショナルと、特殊化学会社ランクセスAG傘下のDSMエンジニアリングマテリアルズ (DEM) &ランクセスハイパフォーマンスマテリアルズ (HPM) は4月3日、各々の専門知識を持ち寄った新会社エンバリオ(Envalior)を新たに立ちあげる。
これによりエンバリオ(投資比率はアドベント60パーセント・ランクセス40パーセント、これに併せてランクセスは新合弁会社への資金援助として2億ユーロの融資を実施する)は、約40億ユーロの売上高と、世界4,000人の従業員を擁するエンジニアリング材料企業として同社がターゲットに据える産業領域に注力していくという。
新企業名のエンバリオ(Envalior)は、EN(魅力的、進取的、エンジニアリング、環境)と VALIOR(価値主導型および価値創造型)を掛け合わせて命名されたもの。
新会社設立に関わる両社のうち、アドベント・インターナショナルは1984年の設立。2022年12月31日現在の運用資産が870億ユーロに達する。
またランクセスは、売上高81億ユーロ(2022年)の大手ケミカル企業。33か国に約 13,100人の従業員を配し、中核事業は化学素材、添加剤などの開発、製造、マーケティング分野となっている。
上記企業グループにより立ちあげられたエンバリオは、工業系プロダクトの構造部品など金属に取って代わる軽量材料の中でも、特に自動車関連企業を筆頭に技術提供を行い、CO2排出量の大幅な削減に貢献していく。
提供する具体的な素材領域は、バッテリーおよび充電システム、電子制御システム、パワーエレクトロニクス領域など、様々な電動モビリティ用途で活用される事になるとしている。
アドベント・インターナショナルで国際事業を担うロナルド・エイルズ氏は、「新会社エンバリオは持続的かつ長期的な成長を遂げる大きな可能性を秘めています。今後は市場に於ける地位を固め、継続的な投資を通じて大きな成長を果たす事に期待しています」と話す。
一方ランクセスのマティアス・ザッカートCEOは、「エンバリオは、次世代モビリティを筆頭に、今後の成長から利益を得るために必要な条件を全て備えています。私たちは、新会社を強力に支援していきます」と述べている。
更にエンバリオのカラム・マクリーンCEOは「新会社エンバリオは、DEMとHPMが持つ補完性の高い双方の事業を組み合わせる事で、新たな価値を創造。様々な産業に貢献出来るサプライヤーとして新たなスタートを切ります。
我々は今後も、業界内で炭素効率の高い循環型テクノロジーを推進し、バリュー チェーン全体で持続可能なソリューションを実現していきます」と結んでいる。