ミネベアミツミは5月2日、日立パワーデバイスの株式取得(子会社化)及び事業譲受完了を発表した。同社は、先に日立製作所と日立パワーデバイスの株式取得に係る株式譲渡契約の締結と日立製作所グループのパワーデバイス事業の海外販売事業を譲り受けを明らかにしていたが、今発表同日に株式取得及び事業譲受を完了。日立パワーデバイスの名称をミネベアパワーデバイスに変更した。
1. 取引の目的及び今後の運営方針
ミネベアミツミは、超精密加工技術や大量生産技術等の当社の強みを発揮でき、且つ簡単に無くならない製品をコア事業「8本槍」として位置付けると共に、これらを相合(そうごう)することにより新たな価値をお客様に提供していくことを基本戦略としてきた。
そうしたなかでパワー半導体も上記の一翼を担っており、リチウムイオン電池保護IC、電源IC、タイマーIC、MEMS*2センサー、磁気センサー、車載用メモリー、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などのパワー半導体領域では、売上高800億円規模から2030年度にはM&Aも含め3,000億円への拡大を目指している。
しかしIGBT事業がチップビジネスの展開に留まっていることから上記により、モジュール化の技術力(パッケージ及びモジュールの後工程技術および生産能力)を獲得することで「パワー半導体を開発から一貫生産できる垂直統合型のビジネス展開」が可能となる。
加えて技術統合による技術陣容の強化に加え、ミネベアパワーデバイスのSG-IGBTを含む独自技術とチップ製造技術を相合することで、SiパワーデバイスでSiCに近い性能を実現できること。
ミネベアパワーデバイスのSiC技術者集団が持つ高耐圧SiC技術を活かしたSiCパワーデバイス事業の発展など、パワーデバイス事業と当社の既存事業とのシナジー効果を発現させ、パワー半導体市場をリードできる競争力のある企業への躍進を図る構えだ。
特に新製品開発過程での相合活動では、高圧モーター制御のノウハウを自社DCモーター製品へ活用することによるモーターソリューションの新提案、先端高効率デバイス等を自社電源へ取り込むことよるハイパワー電源製品の市場投入、特殊プロセス技術と設計技術の融合やエイブリック製品との組み合わせなどによる医療向けデバイス製品の増強等を想定し、新たな付加価値を創出していきたい考えだ。
また従前より同社はミネベアパワーデバイスの前工程Fabとして製造受託を行っており、更にSG-IGBTは既に自社滋賀工場で試作中であるため、垂直統合で経営統合初日より付加価値を取り込めるようになるという。
ミネベアミツミでは、「パワー半導体は、EVに留まらず、GX(グリーントランスフォーメーション)、風力・太陽光等の再生可能エネルギー、電力・パワーグリッド、電鉄等の大型輸送機器、データセンター、重粒子線治療やMRI等の医療・ヘルスケア、産業機器・工作機器等での需要が高まっているものと理解しております。
マスの市場に加え、尖った強みを活かしやすいニッチな市場で強みを発揮させることで、大きなシナジー効果を生み出し、アナログ半導体事業として3,000億円をさらに上回る成長を目指してまいります」と事業拡大の可能性について語っている。
2. ミネベアパワーデバイスの概要(2024年5月2日現在)
(1)名称: ミネベアパワーデバイス株式会社
(2)所在地: 茨城県日立市大みか町五丁目2番2号
(3)代表者の役職・氏名: 取締役社長 鈴木 雅彦
(4)事業内容:
半導体部品の設計、製造及び販売
半導体応用機器と部品の設計、製造及び販売
(5)資本金: 450百万円
(6)設立年月日: 2013年10月1日
(7)大株主及び持株比率: ミネベアミツミ株式会社 100.0%
(8)役員構成:
取締役社長 鈴木雅彦
取締役 小池義彦
取締役 田村洋平
取締役 吉田勝彦
取締役 矢野功次
監査役 山本光伸
3. 譲受事業の概要
(1)譲受事業の内容 パワーデバイス事業に関する海外販売事業
(2)譲受対象事業の資産 事業譲渡日におけるパワーデバイス事業に関する海外販売事業に係る売上債権、商品在庫、契約及び従業員等
4. 今後の見通し
上記に伴う2025年3月期の当社の連結業績に与える影響は軽微。今後、開示すべき事項が発生した場合には、判明次第速やかに開示するとしている。