NEXT MOBILITY

MENU

2025年1月13日【事業資源】

メルセデス・ベンツ、ナビのAI会話型検索でグーグルと提携

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

メルセデス・ベンツとGoogleクラウドは1月13日(独シュトゥットガルト・米加州サニーベール発)、戦略的パートナーシップを拡大し、新たなAutomotive AI Agent(自動車向けAIエージェント)を活用したMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)仮想アシスタントに新たな会話機能を導入する。

 

このVertex AI(大規模言語モデルの機会学習プラットフォーム)上にGeminiを使用して構築されたGoogleクラウド上の自動車向けAIエージェントは、独自のカスタマイズを施すことにより、Googleマップの情報を参照してナビゲーションを行ったり、ドライバーが興味のある行き先などについて、パーソナライズされた会話で応答できるようになる。

 

Google Maps Platformは、メルセデス・ベンツのオーナーに対して世界中の2億5,000万か所の最新情報を提供する。もちろん地図は、ほぼリアルタイムで更新され、毎日1億回以上更新されている。

 

こうして検索とナビゲーション能力が強化されたことで、ユーザーはMBUX仮想アシスタントと生身の人間と話し掛けるように「ユニークな料理を楽しめる最寄りの高級レストランを案内してもらえますか?」などの質問で、適格かつパーソナルニーズに合致した回答を得ることができる。

 

更にメルセデス・ベンツのドライバーまたは乗員は、「レストランの評価は良いですか?」や、「シェフの自慢の料理は何ですか?」などの追加の質問をすることもできる。そうした様々な問い掛けに対してMBUX 仮想アシスタントは正確かつ最新の情報で応答。車載のインターフェース画面やスピーカーなどを介して精緻なナビゲーション結果を示す。

 

 

なお、この新しいエクスペリエンスは、今年後半にメルセデス・ベンツの新しいCLAシリーズで利用できるようになる。これはメルセデス ベンツの新しいオペレーティング システムであるMB.OSで設計された最初の車両となり、以降はMBUX音声アシスタントを搭載した他のモデルへの展開も計画されているという。

 

加えてGoogle CloudのAutomotive AI Agentは、MBUX仮想アシスタントを介して複雑なマルチパターンのダイアログを処理できるようになるだけでなく、会話内容を記憶できるようになるため、ドライバーまたは乗員は運転中も、引き続き異なるテーマの会話を続け、そのテーマ毎に個々の情報をAIから引き出せるようになる。

 

こうした最新機能の搭載についてメルセデス・ベンツAGのオラ・ケレニウCEOは、「メルセデス・ベンツでは、お客様に卓越したデジタル体験を提供することを目指しています。

 

今回はGoogle Cloudとの更なる提携により、高度な位置データと生成AIを組み合わせて、車載ナビゲーションを大きく強化させました。新型CLAで導入される当社の次世代ナビゲーションでは、ドライバーと乗客が音声コマンドを使用して、包括的でパーソナライズされた瞬時に取得できるようになります」と述べた。

 

加えてグーグル並びにアルファベットのサンダー・ピチャイCEOは、「メルセデス・ベンツは素晴らしいドライビング体験を提供することで知られていますが、今回の両社の提携により、更なるブレークスルーがもたらされAI体験が大きくに向上します。

 

当社の新しい自動車AIエージェントは、車載アシスタントを使用してドライバーのナビゲーションニーズや検索に係る要望を汲み取り、AIとの言語によるやり取りがより自然なものとなります。これは、エージェント機能がもたらす自動車業界を変革させるちょっした始まりに過ぎません。今回の提携が未来を引き寄せていくその先を、我々は心待ちにしています」と語った。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。