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2024年1月26日【ESG】

マツダ、サステナブル・ファイナンス・フレームワークを策定

坂上 賢治

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経済産業省のクライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業に国内自動車メーカーとして初採択

 

マツダは1月26日、自社に於けるサステナビリティ( カーボンニュートラル化 / 炭素中立 )事業を推進する資金調達の新たな枠組みとして「サステナブル・ファイナンス・フレームワーク( 未来に向けて〝持続可能な社会と地球環境〟を実現していくための資金調達の枠組み )」を策定した。( 坂上 賢治 )

 

ちなみに、当該フレームワークの策定( 作成 )にあたり、その源流で横たわる考え方は、持続可能な社会で活動する企業は持続可能な経営でなければならず、ゆえに企業活動に於ける血液とも言える資金の流れは、持続可能でなければならないという概念が下敷きとなっている。

 

また通常、このようなフレームワークは、グリーンボンド原則( GBP )、ソーシャルボンド原則( SBP )、サステナビリティボンド・ガイドライン( SBG )、グリーンローン原則、ソーシャルローン原則などが示す指針に則ったESG投資( E/環境・S/社会・G/ガバナンス )を前提とするものであり、そうした原則への適合性を、独立した第三者評価機関からの承認を受けてから成立・実行される。

 

「2030年目標/2050チャレンジ」を包括した幅広い取り組みに活用

 

さて今回、マツダが策定したフレームワークに関しては、第三者評価機関の日本格付研究所(JCR)より、国際資本市場協会( ICMA / The International Capital Market Association )が定める「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック( CTFH )2023」などに正しく適合しているとの評価( JCRによる評価資料へのPDFリンク )を得た上で、第三者評価取得のための助言を担う役割( ストラクチャリング・エージェント )となったSMBC日興証券+三井住友銀行の支援を受けた。

 

その上で、経済産業省の「トランジション・ファイナンス( 温室効果ガスの削減に取り組む企業を支援する金融手法 )に関する自動車分野に於ける技術ロードマップ」も活用した。

 

結果、国内の自動車会社として初めて( 経産省の公表を基にしたマツダ調べ )、経済産業省クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業( 第三者評価を行う指定外部評価機関に対して補助金を交付する事業 )の対象フレームワークとして採択されたという。

 

今後マツダは、自らが定めた当該フレームワークを介して調達した資金を、グローバル自社工場のCN( カーボンニュートラル )、バッテリーEVやプラグインハイブリッド車などの開発・製造、先進安全技術・高度運転支援技術の開発・製造など、先に自らが「PURPOSE」「PROMISE」「VALUES」の3つの要素を掲げて公表した「2030年目標/2050チャレンジ」を包括した幅広い取り組みに活用していく構え。

 

パートナーの知恵と熱量でCNを実現。安全・安心・自由な移動が叶う社会へ

 

同社では、「当社は1920年に広島で創業して以来、地域の方々に支えられ、地域と共に育ちながら成長を遂げ、2020年に100周年を迎えました。

 

私たちは今、パンデミックや、 エネルギー危機、地政学的なリスク等、不確実性が高く、将来の予測が困難な状況にあります。またデジタル技術の急速な進歩や人々の価値観の多様化によって、社会を取り巻く環境は更に大きく変化し、不透明、不確実な時代に直面しています。

 

このような海図なき航海に出帆するときには、私たちが進むべき指針を示すものが必要です。創業103年の歴史を振り返りながら、様々な場所、様々な組織、様々な立場で当社が進むべき指針となる〝マツダの北極星〟は何かについて議論を重ねてきました。

 

そんな私たちの根底にあるものは〝人を信じ、人の力を信じ、どんな困難や苦節にも飽くなき挑戦のス ピリットで立ち向かうこと〟、そして〝平和都市・広島に生まれ育った企業市民として、平和の証で ある人々の笑顔をつくり、社会をより豊かにすることに貢献していきたい、という 想い〟であると、改めて認識しました。

 

当社は、多様な技術、共創する多くのパートナーの知恵と熱量を結集し、カーボンニュートラルの実現、安全・安心・自由な移動が叶う社会を目指して、日常に動くことへの感動や心のときめきを創造し、仲間と共有できる幸せをお届けします。

 

また今後も〝ひと中心〟の価値観のもと〝走る歓び〟を進化させ続け、お客さまの日常に移動体験の感動を創造し、〝生きる歓び〟をお届けしていくことを目指していきます」と話している。

 

当該フレームワークの概要
フレームワークに基づく資金調達手法

 

資金使途特定型における資金使途候補
資金使途特定型のサステナブル・ファイナンスで調達した資金を、適格クライテリアのいずれかに該当する新規または既存の事業に充当する。

 

1. Well-to-Wheel 視点でクルマの CO2 排出量を削減(トランジション/グリーン適格事業)

 

2.自社工場の CN 化(トランジション/グリーン適格事業)

 

3.安全・安心なクルマ社会の実現(ソーシャル適格事業)

 

資金使途不特定型に於けるKPIsおよびSPTs(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット)
トランジション・リンク・ファイナンスの実行において、以下の KPIs および SPTs を設定。

 

*以下は編集部が独自に参考資料として追加

– 経産省・脱炭素への移行に向けたトランジション・ファイナンス

– 経産省(令和6年度)クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業のスキーム(PDF)

– 令和5年度・補助金審査委員会承認例PDF(  商船三井

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。