NEXT MOBILITY

MENU

2024年8月1日【ESG】

マツダ&三菱商事、アンモニア火力発電所整備計画を掲示

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

マツダと三菱商事クリーンエナジーは8月1日、広島市環境影響評価条例に基づき「アンモニア活用火力発電所整備事業 環境影響評価 実施計画書」を広島市長へ提出。それが公告された。

 

ちなみにマツダでは現在、広島・本社工場の稼働エネルギーをMCMエネルギーサービス(マツダと三菱商事の合弁)の石炭火力発電設備からの調達で賄っている。しかし当該発電設備は老朽化が進んでいることに加え、稼働に伴うCO2排出量が本社工場の約56%を占め、その削減が急務となっている。

 

そこで三菱商事クリーンエナジーの協働のもと既存の石炭火力発電設備に替えて、アンモニア燃料を使うガスタービン火力発電設備を建設する。このアンモニア発電とは、無色透明のアンモニアを燃焼させてエネルギーを取り出すもの(燃焼に伴うCO2排出はゼロ)。この事業は広島市環境影響評価条例の対象事業(出力5万kW以上の火力発電所)となっており目下、環境影響評価を進めている。

 

対象のアンモニア発電事業の概要は以下の通り

 

同事業は、本社工場内でアンモニアを活用した火力発電施設を建設・設置する。発電出力は約11万kWを計画。事業計画地は工業専用地域にあたり、現在は工場内の完成車置き場などに利用されている場所だ。なおマツダ工場の周辺には、主に北側に住宅が分布しているが、事業計画地は最も近い住宅から約600m以上離れた場所に位置している。

 

 

事業概要
事業者の名称:マツダ株式会社/三菱商事クリーンエナジー株式会社
事業の名称:アンモニア活用火力発電所整備事業
事業の種類:電気工作物(火力発電所)の設置
事業の規模:約 110,000kW
事業計画地:広島市南区仁保沖町 1 番 1 号
敷地面積:約 100,000m2(最大時)
操業時間:24 時間/日
発電方式:アンモニア専焼 GTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント)またはアンモニア分解ガス専焼GTCC

 

 

発電工程
発電方式は、上記の通りガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント(GTCC)によるもので、現時点ではアンモニアを直接燃焼する専焼方式(ケース1)、アンモニア分解ガスを燃焼する専焼方式(ケース2)の 2 案を検討中。

 

設置する発電プラント(GTCC)では、受け入れたアンモニアを貯蔵タンクで保管した後、燃料を燃焼器に注入して燃焼させ、高温高圧となった気体でガスタービンを回転させて発電する。更にその排ガスは排熱回収ボイラーに導入し、熱回収によって発生した蒸気により蒸気タービンを駆動して発電する。

 

工事計画
– 施設の設置にあたっては、造成工事、基礎工事、建屋工事を行いつつ、プラント工事により各設備を順次設置する計画。工事期間は4年間。なお事業計画地の一部は、過去にヘリポートなどで利用された高台に位置するため、造成工事では切土等を行う計画。

 

– 主に造成工事時に発生する雨水などの排水は、事業計画地内の仮設排水桝に集水した上で水質測定を行い、必要に応じて濁水対策を講じた上で公共用水域に放流する計画。

 

– 工事用資材は海上輸送、陸上輸送を併用する。海上輸送は事業計画地の南側に運搬船を着岸し事業計画地に資材を搬入する。陸上輸送にはトレーラーや生コン車等を使用し、マツダ工場に通じる主要地方道 翠町仁保線 (県道 86 号線) を主要運搬ルートとして工事用資材等を搬入する予定。工事用資材の運搬や残土の搬出で使用する車両台数は最大で約 70 台/日を計画している。

 

 

——————————-

 

1.事業実施の区域
広島県広島市 マツダ株式会社本社工場宇品地区敷地内

 

——————————-

 

2.実施計画書の縦覧
(2-1 )期間
2024 年 8 月 1 日(木)から 2024 年 8 月 31 日(土)まで
(2-2)縦覧場所等は以下の通り

 

——————————-

 

3.縦覧場所と閲覧場所

 

(3-1)縦覧場所
縦覧場所:市役所本庁舎(環境局環境保全課)、南区役所(区政調整課)
縦覧する日:土曜日、日曜日、祝日及び 8 月 6 日を除く毎日

 

縦覧場所:仁保公民館、青崎公民館、大河公民館、楠那公民館、宇品公民館
縦覧する日:火曜日、祝日を除く毎日

 

縦覧場所:合人社ウェンディひと・まちプラザ
縦覧する日:第3月曜日を除く毎日

 

縦覧場所:マツダ株式会社 東正門警備所
縦覧する日:土曜日、日曜日及び8月10日から8月18日を除く毎日

 

 

(3-2)閲覧場所
縦覧場所を補うため、次の場所において実施計画書等を閲覧に供する。

 

閲覧場所:坂町役場(環境防災課)
閲覧する日:土曜日、日曜日及び祝日を除く毎日

 

閲覧場所:横浜ふれあいセンター
閲覧する日:祝日を除く毎日

 

閲覧場所:小屋浦ふれあいセンター
閲覧する日:祝日を除く毎日

 

——————————-

 

4.意見書の提出
実施計画書について、環境保全の見地から意見を有する方は、意見書を提出いただくことができる。

 

 意見書の提出に必要な事項
(4-1)意見書の提出の対象である実施計画書の名称
アンモニア活用火力発電所整備事業 環境影響評価実施計画書

 

(4-2)意見書を提出しようとする方の氏名及び住所
法人その他の団体にあってはその名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地

 

(4-3)実施計画書についての環境保全の見地からの意見及びその理由
意見は日本語により、意見の理由及び根拠を含めて記載する。
(注)意見書に記載される個人情報は、本件についてのみ使用し、それ以外の目的には使用しない。

 

意見書様式
意見書 PDF
https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2024/202408/240801a.pdf

 

提出方法・期限
郵送、Eメール又はFAXにより提出。
2024 年 9 月 14 日(土)(当日消印有効)までに意見書を下記提出先まで郵送。

 

 提出先
〒730-8670 広島県安芸郡府中町新地 3-1
マツダ株式会社 技術本部 プラント技術部 宛
メールアドレス:mc.plant-cn.info@mazda.co.jp FAX:082-287-5173

 

〒100-8086 東京都千代田区丸の内 2-6-1
三菱商事クリーンエナジー株式会社 電力事業本部 エナジートランジション第一部 宛
FAX:03-3210-8053

 

——————————-

 

なお実施計画書の内容は、以下の広島市ホームページでも公表されている。
https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/kankyohozen/list1169-2156.html

 

アンモニア活用火力発電所整備事業 環境影響評価実施計画書(要約書) [PDFファイル/2.9MB]
https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/245094.pdf

 

アンモニア火力発電所整備事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域の選定書 [PDFファイル/4.3MB]
https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/245095.pdf

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。