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2025年3月12日【事業資源】

国内自動車メーカー各社、2025年・春季労使協議の回答一覧

坂上 賢治

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スズキは、労働組合側の総額1万9000円・一時金6.6カ月の要求に対して、これを上回る総額2万1600円・一時金は満額回答となる6.6カ月で妥結した。同社は2030年度に向けた成長戦略や、2025年度からの中期経営計画の実現を見据え、従業員の能力向上活動への期待を込めた。組合要求を明らかに上回ったのはスズキのみとなった。

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マツダは、労働組合員1人あたりの総額18000円・一時金5.4ヶ月(昨年から0.2カ月分減)の要求に対して、1人平均総額1万8000円・一時金5.4カ月で満額回答した。賃金改定では過去最高額の昨年から平均2000円を積み増した。具体的な配分方法は別途協議して決める。回答の背景では、不透明な財務環境であるが国際競争力維持や地域経済への影響、労働環境も含め人へ投資を熟慮した上での満額回答とした。

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いすゞ自動車は、労働組合が月額賃金月額1万9000円・年間一時金6.0カ月の要求に対して満額回答(定期昇給、ベアを含む基準内給与の引き上げ/基準内給与の平均賃上げ率 6%超)した。但し震災など同社の収益に多大な影響が発生した場合は年末賞与(2.5カ月)に関して再協議する考えを示唆した。なお前年度・春季妥結実席での賃金引上げ総額は19,000円(満額回答)/賞与(年間一時金) 6.0 ヶ月(満額回答)だった。

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ダイハツ工業は、労働組合の基本給ベースアップと定期昇給分を合わせ平均月額2万1200円・一時金5.4カ月の要求に対して、満額回答の2万1200円(総額)・一時金5.4カ月で妥結した。物価高への配慮と共に人への投資を重視し認証不正からの再スタートを図る。なお組合側は2024年に認証不正を踏まえ賃上げ要求を行わず、一時金5.0カ月のみを求めた結果、2000円の賃上げと一時金の満額回答を得ていた。

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トヨタ自動車は、労働組合の職種・階級ごとの賃上げ要求額9950円~2万4450円、年間一時金7.6カ月分の要求に対して、総額で5年連続の満額回答とした。但し一律の引き上げではなく貢献度や成果に応じた配分を賃金分科会で議論・決定する。1人当たりの平均賃上げ額も非公表。賃金と一時金の満額回答は以上のマツダ・いすゞ・ダイハツ・トヨタの4社となった。

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スバルは組合の一人あたり平均賃金2万1000円・一時金6.3カ月分の要求に対し、専任職で最大3万3100円、基幹職で最大3万9900円の賃金改定で妥結した。但し一人あたりの平均額は非公表。より具体的には平等から公平へ成果毎に処遇することを確認。従業員の働きの原動力となる内容としている。結果、スバルは一時金については満額となった。

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ホンダは、労働組合の総額1万9500円・その内ベースアップ分は万3000円・一時金年間6.9カ月分の要求に対して、賃上げ総額では1万5000円、その内ベースアップ分8500円と組合要求を下回る回答で妥結した。なお一時金は満額回答となっている。回答の背景は過去2年間で高水準のベアを実施したこと。今期を含む以降3年間のベアで実質賃金の上昇を図り、業界トップ水準の初任給と平均賃金を維持するという。

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日産自動車は、労働組合の月1万8000円・賃上げ率4.5%・一時金5.2カ月の要求に対して、定昇とベアに相当する賃上げ額を月1万6500円・一時金5.2カ月相当で妥結した。米国等の新車販売不振が響き(リストラ費用を含め2025年3月期の当期純損益が800億円の赤字になる見通し)、5年振りに回答額を下回った。定昇とベア相当分の内訳は非公開で賃金体系は成果主義に基づく独自のもの。なお2024年交渉では月1万8000円の賃上げで満額回答だった。

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三菱自動車工業は、労働組合の賃金1万9000円・一時金5.7カ月の要求に対して、賃金総額1万7000円・一時金5.0カ月で妥結した。東南アジアでの販売不振などで収益が悪化したものの物価上昇が従業員に与える影響を踏まえ、現時点で取りうる最大限の対応をしたという。なお前年の回答実績は賃上げは1万7500円・一時金は6.0カ月だった。

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ヤマハ発動機は、労働組合側の総額2万円・一時金6.2カ月の要求に対して、ベースアップ相当分と定期昇給をあわせた総額1万9400円・一時金は満額回答となる6.0カ月で妥結した。結果、満額回答ではなかったが、賃上げ率5.5%、賃上げ総額で過去最高だった去年の1万7400円を上回った。同社では前年業績比で大きく減益となったが、物価上昇を踏まえ賃上げの流れを止めないよう最大限の回答で応えたとしている。最後に自動車総連によると平均回答額は1万8610円で、これは1975年以降で最高の水準となっている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。