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2024年8月8日【事業資源】

神戸製鋼所、中国天津市で自動車アルミパネル事業拡大へ

坂上 賢治

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調印式で左から、神鋼投資董事長の森田大三氏(執行役員)、神戸製鋼所・取締役執行役員の木本和彦氏、神戸製鋼所・副社長執行役員の宮崎庄司氏(鉄鋼アルミ事業部門長)、神戸製鋼所・代表取締役社長の勝川四志彦氏、宝鋼董事長の鄒 継新氏、宝鋼副総経理の王 娟氏、宝武アルミ董事長の呉 健鵬氏、宝鋼資本運営部部長の黄 傑氏

 

 

神戸製鋼所は8月8日、中国の宝武鋁業科技有限公司(宝武アルミ)とアルミパネルの製造・販売に係る合弁会社設立に向けた事業化調査を進めることで合意した。

 

より具体的には神戸製鋼所は、中国内の自動車用アルミパネル事業拡大および自動車メーカーのCO2低減ニーズへの対応を目的に、中国鉄鋼業最大手の中国宝武鋼鉄集団有限公司(宝武集団)が過半を出資する宝武鋁業科技有限公司(宝武アルミ)とアルミパネルの製造・販売に係る合弁会社設立調査を行う旨を、今年2月26日に公表した。

 

上記を踏まえて神戸製鋼所が、中国天津市でアルミパネルの製造・販売を行うべく検討を進めるにあたり、8月8日に同社・東京本社で先の3社での合弁契約書を締結。今後は、各国の規制当局からの承認が得られること等を条件に合弁会社の設立を目指していく。

 

合弁会社は中国国内の自動車メーカー向けに、高品質なアルミパネルの製造・販売を行っていくことに加えて、CO2削減への取り組みとして発生するスクラップのリサイクルも推進していく。神戸製鋼所としては、中国国内でのアルミパネルの成長が見込まれるなか、自動車の軽量化・脱炭素社会の実現に貢献していきたい考えだ。

 

合弁契約書 調印式
2024年8月8日:株式会社神戸製鋼所東京本社にて実施

 

調印風景

 

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合弁会社の概要
(1)会社名:宝鋼神鋼汽車鋁板(上海)有限公司【仮称】
Kobelco Baosteel Automotive Aluminum Rolled Products Co., Ltd.【仮称】
(2)出資比率:神戸製鋼所(中国統括会社である神鋼投資有限公司を通じて)50%、宝鋼と宝武アルミの合計で50%
(3)資本金:約9億人民元(約180億円)
(4)登録地:中国・上海市
(5)製造拠点:三門峡(中国・河南省)・天津の2拠点

 

KOBELCOグループは、多様な事業で培われた技術・人材・ノウハウ等の【社内資本】と、多岐に亘る顧客・パートナーとの繋がり等の【社外資本】のかけ算による「KOBELCO らしさ」を追求し、マテリアリティ(中長期的な重要課題)への取組みを更に強化していくことで、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界」の実現を目指していくと謳っている。

 

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各社の会社概要

 

社名:神鋼汽車鋁材(天津)有限公司
英文名 Kobelco Automotive Aluminum Rolled Products (China) Co., Ltd.
設立:2014年1月(2016年4月より量産稼働開始)
事業内容:自動車用アルミパネル材の製造・販売
所在地:中国天津市 西青(シーチン)経済技術開発区
資本金:8.84億人民元
出資:神戸製鋼100%(神鋼投資有限公司経由)
生産設備:連続焼鈍設備(CAL)および表面処理設備
生産能力:年間約10万トン
従業員数:245名(2024年1月時点)

 

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社名:宝武鋁業科技有限公司
英文名 Baowu Aluminum Technology Co., Ltd.
設立:2011年
事業内容:高性能・高合金化のアルミ板・アルミストリップ・アルミ箔製品及びその他のアルミとアルミ合金の仕上げ加工製品の生産・販売・研究開発、貨物(設備、原材料、完成品)の技術開発・技術コンサルティング・技術譲渡・技術サービス・輸出入業務
所在地:中国河南省三門峡市
資本金:35億人民元
出資:中国宝武鋼鉄集団有限公司51%、河南能源集団有限公司37.57%、三門峡投資集団有限公司11.43%
生産設備:アルミ板材製造一貫設備(溶解・鋳造・圧延・熱処理設備など)
生産能力:年間約30万トン(うち、自動車用アルミパネル約10万トン)
従業員数:約940名(2024年2月時点)

 

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社名:宝山鋼鉄股份有限公司
英文名 Baoshan Iron & Steel Co., Ltd.
設立:2000年
事業内容:冷延炭素鋼板・コイル、熱延炭素鋼板・コイル、鋼管製品、条鋼製品及びその他の鉄鋼製品の製造業務、加工配送業務、情報技術・炭素事業などのその他の業務
所在地:中国上海市
資本金:222.62億人民元
従業員数:43,126名(連結:2023年12月時点)

 

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社名:株式会社神戸製鋼所
英文名 Kobe Steel, Ltd.
設立:1905年
事業内容:鉄鋼・非鉄金属及びその合金の製造販売、鋳鉄品・鋳鍛鋼品及び非鉄合金の鋳鍛造品の製造販売、電気供給事業、産業機械器具・輸送用機械器具・電気機械器具及びその他の機械器具の製造販売、各種プラントのエンジニアリング及び建設工事の請負等
所在地:兵庫県神戸市
資本金:2,509億円
従業員数:38,050人(連結:2024年3月時点)

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。