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2024年2月26日【事業資源】

神戸製鋼所、中国での自動車用アルミパネル事業拡大へ

坂上 賢治

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神戸製鋼所は2月26日、中国での自動車用アルミパネルの事業拡大・自動車脱炭素化に応えるべく、土地での事業拡大に乗り出す。

 

より具体的には傘下(100%出資)の中国天津市で同製品の製造・販売を行う神鋼汽車鋁材(天津)有限公司(神鋼汽車鋁材)が、中国鉄鋼業最大手の中国宝武鋼鉄集団有限公司が過半出資する宝武鋁業科技有限公司(宝武アルミ)とアルミパネルの製造・販売に係る合弁会社設立に向けた予備的検討を終え、詳細な事業化調査を進めることで合意した。

 

中国の自動車生産は自動車のEV化を背景に今後2030年に向けて年率3%の成長率で拡大していくと見込まれている。その環境下で神鋼汽車鋁材は、中国での環境負荷軽減・自動車軽量化ニーズに対応すべく2014年に設立され、2016年4月より量産を開始した。

 

ただ近年は、中国で生産を行う自動車メーカーでは、アルミスクラップのリサイクルによるCO2低減ニーズが高まっていて、溶解工程を保有しない神鋼汽車鋁材は中国でのスクラップリサイクル体制構築が課題となっていた。

 

対して宝武アルミは2011年に設立、2020年に製造・販売を開始した操業開始間もないアルミ板圧延一貫メーカー(溶解~圧延~熱処理)で、今後の成長のためには、付加価値の高い分野へ進出可能な技術力向上が課題だった。

 

今回、こうした課題を抱える両社の思惑が一致。これまでもアルミパネル合弁会社設立に向けた予備的検討を進めてきたことを踏まえて、より詳細な事業化調査を進めることに合意した。事業化調査の結果を踏まえ、最終的な合弁会社設立の時期については現時点で2024年を目指している。

 

合弁対象となる可能性を持つ2社は以下の通り

 

社名:神鋼汽車鋁材(天津)有限公司
英文名 Kobelco Automotive Aluminum Rolled Products (China) Co., Ltd.
設立:2014年1月(2016年4月より量産稼働開始)
事業内容:自動車用アルミパネル材の製造・販売
所在地:中国天津市 西青(シーチン)経済技術開発区
資本金:4.54億人民元(約75億円)
出資:神戸製鋼100%(神鋼投資有限公司経由)
総投資額:11.5億人民元
生産設備:連続焼鈍設備(CAL)および表面処理設備
生産能力:年間約10万トン
従業員数:245名(2024年1月末時点)

 

社名:宝武鋁業科技有限公司
英文名 Baowu Aluminum Technology Co., Ltd.
設立:2011年
事業内容:高性能・高合金化のアルミ板・アルミストリップ・アルミ箔製品及びその他のアルミとアルミ合金の仕上げ加工製品の生産・販売・研究開発、貨物(設備、原材料、完成品)の技術開発・技術コンサルティング・技術譲渡・技術サービス・輸出入業務
所在地:中国河南省三門峡市
資本金:35億人民元
出資:中国宝武鋼鉄集団有限公司51%、河南能源集団有限公司37.57%、三門峡投資集団有限公司11.43%
生産設備:アルミ板材製造一貫設備(溶解・鋳造・圧延・熱処理設備など)
生産能力:年間約30万トン(うち、自動車用アルミパネル約8万トン)
従業員数:約940名(2024年2月時点)
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鉄鋼アルミ事業神鋼汽車鋁材(天津)有限公司

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。