NEXT MOBILITY

MENU

2023年10月10日【事業資源】

1人乗りモビリティのKGモーターズ、初の資金調達1.5億円

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

1人乗りEV「ミニマムモビリティ」の量産・販売を目指すKGモーターズ(本社:広島県東広島市、代表取締役CEO:楠 一成)は10月10日、ベンチャーキャピタルや事業会社を引受先とするJ-KISS型新株予約権の発行により1.5億円の資金調達を行った。

 

同社では、「調達した資金を活用し、量産に向けた試作車両の開発、人材の獲得などを行い、2025年の量産販売を目標に事業を進めて参ります」と話している。

 

そんなKGモーターズとは〝小型モビリティで世界をワクワクさせる〟をビジョンに、オリジナルの超小型モビリティの製造販売とMaaS事業の展開を目指すスタートアップ。

 

 

2018年にYouTube上に於いて始動。以降3年でチャンネル登録25万人を達成して、Google Japanが選ぶ(世界に影響を与える)クリエイター101人に選ばれた。今回は、その影響力を持ってサプライヤー開拓やエンジニアなどの人材を獲得。そうした準備期間を経て、本格的に小型モビリティ開発を進めるべく2022年7月に創業した。

 

一方、そんな同社が開発するミニマムモビリティは、1人乗りのセンターポジションで走る楽しさを追求した小型の電気自動車。

 

 

80年代のポラロイドカメラをモチーフにレトロでありながら、近未来を感じさせる前後対称のデザインとしている。同社によると、小型で軽量であるため環境性能に優れているとしており、原付ミニカー規格で車検不要・税金も安くコストパフォーマンスに優れているという。

 

車両の仕様は、原付ミニカー規格であるので乗車定員は1名。ドア・エアコン付きで快適な走行を提供する。充電はAC100Vの家庭用コンセントで充電することができ、5時間の充電で航続距離としては100km走れる。またソフトウェアはOTAアップデートが可能であめので、進化するモビリティとなっている。

 

 

■スペック
全長:2,450mm
全幅:1,090mm
全高:1,500mm
定格出力:0.59kW
ピーク出力:5kW
航続距離:100km
充電AC100V:5時間
乗車定員:1名

 

なお出資先は以下の通りとなる。

 

J-KISS型新株予約権、引受先投資家(敬称略)
・環境エネルギー投資
・キーレックス
・waypoint venture partners
・ちゅうぎんキャピタルパートナーズ
・WONDERTAINER FUND

 

各投資家からのコメントは以下の通り

 

環境エネルギー投資
モビリティ事業創造室 室長 林隆介氏
弊社は、2006年の創業以来一貫して環境とエネルギーに関連するスタートアップへの投資を行ってまいりました。

 

KGモーターズの開発している一人乗り小型EVは再生可能エネルギーを活用することで、クリーンな移動を実現するだけでなく、日本で約2,800万人いると言われている自動車通勤をされている方々の、通勤をより楽しくし、人々の生活の質を向上させ、社会全体を楽しいものにしていく可能性に満ち溢れていると感じております。

また、すでに海外からの評判も上々で、広島発のEVメーカーとして世界にワクワクする移動体験を提案するグローバル企業へと成長されていくことに大きく期待いたしており、KGモーターズの事業を弊社としましても全力で支援させていただく所存です。

 

キーレックス
代表取締役社長 藏田亮祐氏
弊社は広島に本社を置き、自動車車体部品の製造を行っております。楠CEOとのご縁をきっかけとして、KGモーターズのミニマムモビリティプロジェクトに参画させていただくことになりました。

 

KGモーターズが掲げる「小型モビリティで世界を「ワクワク」させる」ビジョンに共感したことが、出資を決断した最大の要因です。同時に、地方の交通問題や、二酸化炭素排出量の削減といった社会課題の解決につながるため、弊社としても取り組む意義が十分にあると考えています。

 

弊社が自動車部品の量産で培ってきた技術や、過去、完成車の組み立てを自社工場にて行った経験を活かし、KGモーターズと共にミニマムモビリティの開発を進めていきます。

 

waypoint venture partners
代表取締役 Founding Partner平田拓己氏
KGモーターズが設立される前から接点を持たせていただき、今回出資という形でご一緒させていただけることをとても嬉しく思っております! 初めてお話を伺ったとき、自動車業界や小型モビリティの現状に地方の交通の実態をかけ合わせることで出来上がってきた1人乗りのEVというコンセプトを伺い、とてもユニークなものだなと思いました。

 

その後、チームでターゲットを明確にするためのヒアリングやサプライヤー様との接点構築をされていく中で圧倒的なスピード感とチームの強さを感じさせられました。 KGモーターズのモビリティが当たり前に走っている未来とても楽しみにしてますし、その日をドライバーとして迎えられるよう免許取得に行ってこようと思います!

 

ちゅうぎんキャピタルパートナーズ
取締役 石元玲氏
この度は、KGモーターズの素晴らしいチャレンジに、出資という形で応援できる機会をいただき、本当に嬉しく思っております。

 

東広島市にあるガレージを訪問した際、代表の楠さんをはじめとするチームメンバーの事業にかける熱い思いに触れ、私たちも一緒になって未来を見たい!と思った結果、今日に至った次第です。

 

KGモーターズが日本社会に大きくて偉大な一石を投じたことに心から尊敬します。そしてこの大きなチャレンジが、未来に語り継がれ、歴史として刻まれることを信じて、より一層声を大きくして応援し続けます!

 

WONDERTAINER FUND
代表パートナー 宮崎聡氏
SNS全盛期の今、クリエイターがファンに向けて直接何かを届けることはもはや当たり前の時代です。楠代表はオウンドメディアとしてYouTubeチャンネル「くっすんガレージ モーターズ」「くっすんガレージライフ」を運営し、28万登録、7,000万回再生を誇ります。

 

EVの専門的かつマニアックな情報をわかりやすくフレンドリーなコンテンツに編集して発信を続け、顧客アプローチのみならず理念や思想を発信により採用やサプライヤー開拓などチーム構築にも高い効果を発揮しており、長らく注目しておりました。

 

今回、「ミニマムモビリティ」というコストと環境負荷を低減する新型EVという大きなチャレンジを微力ながら応援できることにワクワクが止まりません。

 

 

これらの出資を受けてKGモーターズ代表 楠一成氏は、「今回、不安定な市況の中でも資金調達が実現できたことは、我々KGモーターズの描く超小型モビリティの可能性をご評価いただけた結果だと考えており、大変嬉しく思っております。

 

最近の日本は、以前ほど元気がないと感じています。かつて昭和の時代にあった明日はもっといい日になるという空気感をあまり感じられません。

 

 

我々はこの状況を打破し、再び活気ある社会にするため、今日より明日がよくなる未来を創るをミッションに1人乗り超小型EV(Minimum Mobility)の開発を進めております。では、なぜ超小型EVが活気を取り戻すことにつながるのか?そこを説明させていただきます。

 

かつての日本の豊かさは、大量生産と大量消費に支えられていました。しかし、人口減少時代においては、そのような拡大路線は望めません。車は時代を象徴するかのように、大型化や多機能化が進んできましたが、これからは違ったコンセプトが必要なのではないでしょうか?

 

 

国内での自動車利用の実態を見ると、7割が1人での移動で、7割が10km以下の短距離移動であることがわかります。これは、現在の車の最小単位である軽自動車でもオーバースペックです。オーバースペックな車両で移動することは、ユーザーには不要なコスト負担をかけ、社会には環境負荷を与えています。

 

社会は必要最適減の物で豊かに暮らすミニマリズムの思想が注目されて、価値観の変化が起きています。移動においても、価値観の転換が必要です。KGモーターズは、1人乗りで短距離に特化したモビリティで「移動の最適化」という価値観を提案します。

 

 

1人乗り小型モビリティは環境負荷が小さく、維持コストも安いという利点があり、これからの社会に必要な移動手段だと考えています。

 

しかし、どれだけ環境性能が良く、維持コストが安くても、苦痛であったり、乗り物としておもしろくなければ人は乗りたいと思いません。人生のほぼ全てを車に捧げてきた私にはその気持ちがよくわかります。車とは、単なる移動手段ではなく情緒的な価値が必要なプロダクトです。

 

 

KGモーターズは快適性とワクワクを追求し、ユーザーの期待に応える「乗っていておもしろい」超小型モビリティを実現します。「乗りたい!」が先で、結果として環境負荷やコストを減らすことにつながる。社会も個人も未来に期待が持てるようになる。これこそが「今日より明日がよくなる未来を創る」手段だと考えております。

 

ミッション実現のため、引き続きチーム一丸となって世界を「ワクワク」させる小型モビリティカンパニーを目指してまいりますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします」と話している。

 

 

【会社概要】
社名:KGモーターズ株式会社
本社所在地:広島県東広島市志和町七条椛坂 1698-1
代表取締役CEO:楠一成
事業内容: 超小型モビリティの製造・販売、MaaS事業
設立: 2022年7月

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。