
井の頭線1000系(自動運転設備搭載車両)
井の頭線1000系に自動運転設備を搭載
京王電鉄は 「日本一安全でサービスの良い鉄道」を目指し、自動運転設備を活用したワンマン運転の実現に向けて、井の頭線に於いて3月中旬から、自動運転(ワンマン運転)の実証試験を開始する。
同実証試験では、自動運転設備を搭載した井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、3月中旬から回送列車での走行試験を開始する。
自動運動設備搭載の運転台
同社では、少子高齢化や働き方改革などにより鉄道事業を取り巻く環境が目まぐるしく変化している中、ホームドアの整備や自動列車制御装置(ATC)導入など、運行の安全確保と地域社会の課題解決に取り組んできた。
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今回の実証に望むための要点は以下の3つとなる
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– 出発制御や駅間走行制御、定位置停止制御(TASC)などの自動運転システムを備えるほか、ブレーキ制御機能などを向上させ、安全性・省エネ性の向上を図る。
– 多言語表記が可能な車内案内表示器に更新するほか、自動運転機能搭載車両と区別できるように、車体デザインも変更しアクセントラインやシンボルマークを追加する。
– 自動運転設備を搭載した井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、3月中旬から回送列車で走行試験を開始する。
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自動運転システムについて
自動運転システムでは、自動列車制御装置(ATC/先行列車との間隔や曲線・分岐・下り勾配・停車駅などの諸条件をもとに列車をきめ細かく制御する装置)の指示速度以下となるように目標速度を定め、自動的に加速・減速制御などの機能を備える。また全ての乗客に安心して利用して貰えるよう、車内案内システムの更新や車体デザインの変更なども実施する。
1.自動走行機能
(1−1)出発制御
ATCが進行を示し、ホームドア・車両扉が全て閉まるなどの条件を満たした時に、出発ボタンを操作することで列車が出発する。
(1−2)駅間走行制御
ATCの指示速度のほか、予め記憶している曲線などの線路条件により定めた走行パターンに従って乗り心地の良い運転を行う。踏切などの異常時においてもATCにより自動的に停止する他、運転士による手動ブレーキ操作を受け付けることで適切に対応する。また、惰行走行が多くなるようにすることで省エネ運転を目指す。
(1−3)定位置停止制御(TASC)
停車駅が近づくと、駅の定位置停止パターンを発生させ、自動的に定位置に停車する。停車後に、運転士用ドアスイッチにより車両の扉とホームドアを連動させて開閉させていく。
ATCと自動運転の走行イメージ
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2.通過駅強制停車ボタン
車内トラブルの発生時に乗務員が操作することで、最寄りの駅に強制的・自動的に定位置に停車させる機能を導入する。また、この機能を操作すると自動的に車内ビジョンに「近くの駅に停車します」と表示される。
通過駅強制停車ボタンと車内ビジョン表示
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3.車内案内システム更新
全ての乗客に安心して利用して貰えるよう、多言語表記が可能な車内案内表示器に更新する他、開いているドアをチャイム音で知らせる装置を設置する。
車内案内システム更新
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4.ブレーキ制御機能向上
従来の7段階から28段階にすることで、きめ細やかなブレーキ操作を実現し、停止精度と乗り心地向上を図る。
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5.車体デザインの変更
ホームドア整備に伴い、ピクトグラム(車いすステッカー・ベビーカーステッカー)・正面の車両番号をより見やすくなるよう上部に移設する他、自動運転設備搭載車両を区別するために、車体外観にアクセントライン・シンボルマークを追加する。
それらは若手社員が考案したデザインで、シンボルマークは井の頭線の「井」の字がモチーフとなっており、編成ごとのカラー名称をあしらっている。また、今回の改造に合わせ、乗務員室と客室間の仕切り窓を一部拡大し、お子さまが前面展望を楽しめるようにする。
ピクトグラム移設前後の比較
車体外観の変更
仕切り窓改造後
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6.実証試験の概要
試験場所(路線図)
(6−1)試験目的
自動運転システムの安全性・安定性、及び自動運転時に乗務員が行う業務・動作等の確認
(6−2)試験開始時期
3月中旬から
(6−3)試験編成
1778編成(順次増備予定)
(6−4)試験場所
井の頭線全線(営業キロ12.7km)
(6−5)試験方法
井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、回送列車にて運転士と車掌が乗務した状態で実施する。
※昼間、夜間ともに試験を行う。
※当面の間、当該車両を通常の営業運転に使用する場合は、運転士・車掌が乗務し、運転士による手動運転を行う。
なお京王電鉄では、「今後も、技術革新を促進し、お客さまサービス向上や働きやすい職場環境の実現、省エネ運転によるCO2排出量削減により、持続可能な鉄道事業を目指してまいります」と話している。