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2025年3月6日【事業資源】

京王電鉄、自動運転(ワンマン運転)の実証試験を開始

坂上 賢治

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井の頭線1000系(自動運転設備搭載車両)

 

井の頭線1000系に自動運転設備を搭載

 

京王電鉄は 「日本一安全でサービスの良い鉄道」を目指し、自動運転設備を活用したワンマン運転の実現に向けて、井の頭線に於いて3月中旬から、自動運転(ワンマン運転)の実証試験を開始する。

 

同実証試験では、自動運転設備を搭載した井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、3月中旬から回送列車での走行試験を開始する。

 

自動運動設備搭載の運転台

 

同社では、少子高齢化や働き方改革などにより鉄道事業を取り巻く環境が目まぐるしく変化している中、ホームドアの整備や自動列車制御装置(ATC)導入など、運行の安全確保と地域社会の課題解決に取り組んできた。

 

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今回の実証に望むための要点は以下の3つとなる

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– 出発制御や駅間走行制御、定位置停止制御(TASC)などの自動運転システムを備えるほか、ブレーキ制御機能などを向上させ、安全性・省エネ性の向上を図る。

 

– 多言語表記が可能な車内案内表示器に更新するほか、自動運転機能搭載車両と区別できるように、車体デザインも変更しアクセントラインやシンボルマークを追加する。

 

– 自動運転設備を搭載した井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、3月中旬から回送列車で走行試験を開始する。

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自動運転システムについて
自動運転システムでは、自動列車制御装置(ATC/先行列車との間隔や曲線・分岐・下り勾配・停車駅などの諸条件をもとに列車をきめ細かく制御する装置)の指示速度以下となるように目標速度を定め、自動的に加速・減速制御などの機能を備える。また全ての乗客に安心して利用して貰えるよう、車内案内システムの更新や車体デザインの変更なども実施する。

 

1.自動走行機能

(1−1)出発制御
ATCが進行を示し、ホームドア・車両扉が全て閉まるなどの条件を満たした時に、出発ボタンを操作することで列車が出発する。

 

(1−2)駅間走行制御
ATCの指示速度のほか、予め記憶している曲線などの線路条件により定めた走行パターンに従って乗り心地の良い運転を行う。踏切などの異常時においてもATCにより自動的に停止する他、運転士による手動ブレーキ操作を受け付けることで適切に対応する。また、惰行走行が多くなるようにすることで省エネ運転を目指す。

 

(1−3)定位置停止制御(TASC)
停車駅が近づくと、駅の定位置停止パターンを発生させ、自動的に定位置に停車する。停車後に、運転士用ドアスイッチにより車両の扉とホームドアを連動させて開閉させていく。

 

ATCと自動運転の走行イメージ

 

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2.通過駅強制停車ボタン

車内トラブルの発生時に乗務員が操作することで、最寄りの駅に強制的・自動的に定位置に停車させる機能を導入する。また、この機能を操作すると自動的に車内ビジョンに「近くの駅に停車します」と表示される。

 

通過駅強制停車ボタンと車内ビジョン表示

 

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3.車内案内システム更新

全ての乗客に安心して利用して貰えるよう、多言語表記が可能な車内案内表示器に更新する他、開いているドアをチャイム音で知らせる装置を設置する。

 

車内案内システム更新

 

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4.ブレーキ制御機能向上

従来の7段階から28段階にすることで、きめ細やかなブレーキ操作を実現し、停止精度と乗り心地向上を図る。

 

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5.車体デザインの変更

ホームドア整備に伴い、ピクトグラム(車いすステッカー・ベビーカーステッカー)・正面の車両番号をより見やすくなるよう上部に移設する他、自動運転設備搭載車両を区別するために、車体外観にアクセントライン・シンボルマークを追加する。

 

それらは若手社員が考案したデザインで、シンボルマークは井の頭線の「井」の字がモチーフとなっており、編成ごとのカラー名称をあしらっている。また、今回の改造に合わせ、乗務員室と客室間の仕切り窓を一部拡大し、お子さまが前面展望を楽しめるようにする。

 

ピクトグラム移設前後の比較

車体外観の変更

仕切り窓改造後

 

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6.実証試験の概要

 

試験場所(路線図)

 

(6−1)試験目的
自動運転システムの安全性・安定性、及び自動運転時に乗務員が行う業務・動作等の確認

 

(6−2)試験開始時期
3月中旬から

 

(6−3)試験編成
1778編成(順次増備予定)

 

(6−4)試験場所
井の頭線全線(営業キロ12.7km)

 

(6−5)試験方法
井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、回送列車にて運転士と車掌が乗務した状態で実施する。
※昼間、夜間ともに試験を行う。
※当面の間、当該車両を通常の営業運転に使用する場合は、運転士・車掌が乗務し、運転士による手動運転を行う。

 

 

なお京王電鉄では、「今後も、技術革新を促進し、お客さまサービス向上や働きやすい職場環境の実現、省エネ運転によるCO2排出量削減により、持続可能な鉄道事業を目指してまいります」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。