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2024年12月25日【事業資源】

ジェイテクトのサーモシステム、2024年度・省エネ大賞

坂上 賢治

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ジェイテクト傘下のジェイテクトサーモシステム、ジェイテクトフルードパワーシステムが12月25日、2024年度(令和6年度)省エネ大賞 製品・ビジネスモデル部門で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した。

 

ジェイテクトグループは、「環境チャレンジ2050」を策定。「All for One Earth」を社是にカーボンニュートラルを達成するべく国際的なイニシアチブであるSBT(Science Based Targets)の認定を受けている。

 

そうしたなかで自社の生産活動に関連するSCOPE1、2、3の全てに於いてCO2排出量削減を進め、SCOPE1、2では2035年にカーボンニュートラル達成を目指す。さて今回の省エネ大賞では、自社のCO2排出量削減だけでなく、多様な産業へのCO2排出量削減に貢献するグループ全域での製品展開が評価され、2社それぞれが受賞した。

 

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(1)

2024年度省エネ大賞 省エネルギーセンター会長賞受賞
ジェイテクトサーモシステム 「金属・工業加熱装置向けCNレトロフィットサービス」

そもそも金属の熱処理工程はCO2排出量が多く、2022年度では2,400万トンのCO2が国内の工業炉から排出されている。工業炉の平均的な耐用年数は約30年と長く、現状の炉を活用した省エネ対策が急務だ。今回受賞した、「金属・工業加熱装置向けCNレトロフィットサービス」は現在稼働中の炉のCO2排出量削減に貢献するものとなっている。

スーパーモルダサーム
加熱室の断熱層には従来、断熱れんが、断熱ボードが使用されている。その断熱れんが、断熱ボードを新たな素材と独自の製法で自社開発したスーパーモルダサームに変更することで断熱性が向上し、待機状態の消費電力を従来に比べ約20%の低減が期待できるようになる(930℃の空炉の場合)。

 

QEC (Quenching oil temp Eco Control)
焼入油槽を有する熱処理装置は、通常、次の焼入れをするまでの間、油温を一定に保つ必要がある。従来は、焼入後に焼入油を強制冷却し、ヒーターによる短時間加熱を繰り返すことで一定温度にしていたが、今回は強制冷却を行わず、次の焼入タイミングまでに徐々に冷却するよう制御方法を最適化した。これにより、油温保持に使用するヒーターの消費電力を従来に比べ約50%の低減が期待できる(設定温度90℃の場合)。

 

N2ショット
ガス浸炭炉は、製品の投入・排出時の扉の開閉で炉内や油槽が負圧になると、未燃焼エアの吸い込みによる爆発のリスクがある。そのため負圧にならないよう常時大流量の変成ガスが熱処理炉に導入されているが、扉開閉時以外の圧力安定状態では過剰な量となっている。そこで変成ガスの量は常に小流量とし、内圧が乱れるタイミングにはN2ガスを投入することで、変成ガスの量を従来比で約1/3以上削減することができ、ガス生成に消費されるエネルギーの低減が期待できる。

 

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(2)

2024年度省エネ大賞 省エネルギーセンター会長賞受賞
ジェイテクトフルードパワーシステム 「超低電力電磁切換弁 HD1Eシリーズ」
製造業のCO2排出量削減、カーボンニュートラルを達成のためには生産設備の省電力化が最も効果的だ。今回受賞した「超低電力電磁切換弁 HD1Eシリーズ」は、生産設備に取り付ける電磁切換弁で、従来製品を上回る省電力化を達成し、製造業のカーボンニュートラルに貢献する製品となる。

 

磁気回路の構成を見直すことで磁気回路のロスを低減。プランジャの吸着面形状も見直すことで過剰な吸引力を低減できた。その2つの方策により、必要な吸引力を確保すると共に、電磁切換弁本体の消費電力約30%の低減を実現している。また形状の見直しなどにより製品質量を8%低減している。

 

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ジェイテクトグループでは今後に向けて、「ソリューションプロバイダーとして今回受賞した製品に留まらず、自社のCO2排出量削減に加え、あらゆる産業のCO2排出量削減に貢献するソリューションを提供していきます。
ジェイテクトグループのコンピタンスを活かし、社内外のコンピタンスをつなぎ共創することにより、Only Oneのソリューションを提供し、地球、世の中、お客様に貢献していきます」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。