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2025年3月4日【事業資源】

JR東日本、次期東北新幹線車両(E10系)の開発へ

坂上 賢治

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次期東北新幹線車両E10系(イメージ)

 

JR東日本は、「変革2027」に掲げる輸送サービスの質的な変革を推進するため、E2系およびE5系新幹線車両の後継となる次期東北新幹線車両の設計に着手する。今回、設計に着手する車両は、2027年秋以降に落成し走行試験等を行った後、2030年度の営業運転開始を目指す。

 

次期東北新幹線車両では「TRAIN DESK」を発展させたサービスの導入等、より快適な移動空間の提供を目指し、車内空間や座席サービスを盛り込む。また5号車に荷物輸送用ドアを設置し、よりスムーズに積み下ろしを可能にすることで、途中駅での荷物の積み下ろし等「はこビュン」サービスの柔軟性も高める。

 

1.次期東北新幹線車両の概要

(1)車両形式

 E10系新幹線電車

(2)最高営業運転速度
 320km/h

(3)編成両数

 10両

 

2.次期東北新幹線車両のコンセプトおよび主な特徴 [別紙]

(1)究極の安全の追求

次世代新幹線開発の試験プラットフォームである「ALFA-X」で検証してきた技術を活用し、地震対策として逸脱防止用のL型車両ガイドに加え、ブレーキ距離の短縮および地震時の揺れを吸収し車両の損傷や脱線を防止するための左右動ダンパの採用等、より高い安全性を目指す。

 

ブレーキ距離の比較(初速320km/h)

 

(2)お客さま志向

次期東北新幹線車両では「TRAIN DESK」を発展させたサービスの導入や、大型荷物置き場の拡幅、電源コンセントの全席設置等、より快適な移動空間の提供を目指し、サービスをデザインしていく。また、車いすにお乗りいただいたまま車窓を愉しめる車いすスペースの設置等バリアフリー環境の向上に努める。

 

<「TRAIN DESK」を発展させたサービスの概要 >

TRAIN DESKの目指す「移動時間の有効活用」という価値をさらに高めるための機能を備えたサービス。シート配列を2列+2列とし、現在のTRAIN DESKと比べ隣席とのスペースにゆとりを創出する。

 

「TRAIN DESK」を発展させたサービス(イメージ

 

(3)サステナブルな社会の実現に向けて

 「スマートメンテナンス」(車両の状態に応じた適切な保守)に対応可能な車両システムを導入する他、新幹線営業車では初めての採用となる冷却モータが不要なブロアレス誘導電動機(自己通風型誘導電動機)の採用や、車両駆動インバータに高効率なSiC(シリコンカーバイド)素子の採用により車両駆動システムの効率向上を図る。

 

更には同社グループでこれまで進めてきた「はこビュン」サービスをより柔軟に実現できる荷物輸送に対応した設備の導入や、将来的な東北新幹線の自動運転導入を目指した機能搭載の準備を行うなど、今後の持続可能な鉄道システムに向けて挑戦する。

 

荷物の積み下ろし(イメージ)

 

3.エクステリアデザイン

東北地方の山々を想起させる緑色を基調に、次期東北新幹線車両がつなぐ沿線各地の山々等の自然から得たインスピレーションをイメージしたカラーリングとした。上部の明るい緑色は 「Tsugaru green(津軽グリーン)」、下部の濃い緑色は 「Evening elm(イブニングエルム)」としている。車体横のラインによりこれまでの新幹線のイメージを継承しながらも、日本らしさを表現するモチーフとして「桜の花弁」の形状を模した曲線を車両間で繋げ、新幹線車両のデザインに新たなイメージを吹き込む。なおデザイナーには、当社の車両として初めての海外デザインファームとなるtangerine社を採用した。

 

 

【tangerine】

英国ロンドンを拠点とする戦略デザインファームであり、幅広い業界でデザインによるイノベーション創出を支援。これまで30年以上に渡り、日本企業を含む数多くの世界的なブランドとタッグを組み、ユーザーにとって魅力ある体験を創造してきた豊富な経験を持つ。

 

 

 

4.その他

・今回、設計に着手する次期東北新幹線車両の詳細な仕様は、決まり次第、別途提示する。

・2027年秋以降の車両落成後は、各種の走行試験を実施し、2030年度内の営業運転開始を目指す。

・今後、引き続き顧客志向で質の高いサービスの実現に向けた開発や、環境負荷軽減に向けた検討等を継続し、サステナブルな社会の実現に向けた要素の開発を進める。

・今後予定されている札幌開業に伴い運用する車両については、今回設計する車両をベースに別途検討する。

 

<参考>

次期東北新幹線車両の特徴(画像はイメージ)

 

東日本旅客鉄道株式会社
業種サービス業
本社所在地東京都渋谷区代々木2-2-2 JR東日本本社ビル
https://www.jreast.co.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。