ジャガー・ランドローバー(JLR)ジャパンは11月2日、2030年までに9車種の新しい電気自動車(EV)を投入する「REIMAGINE」戦略を基に、その一環としてスロバキア共和国ニトラ市にある最先端の工場でEVを生産を開始する本社発表(現地発表は2023年10月26日)を明らかにした。
JLRは2018年にスロバキアへ13億ユーロを投資してニトラの工場を創業。高度にデジタル化・自動化された工場として、従来のシステムよりも輸送時間を30%短縮したKUKA社のパルス・キャリアシステムを欧州で初めて採用した。
そんな同工場はこの10月に操業5周年を迎え、これまでに36万5,000台以上の「DEFENDER」と「DISCOVERY」を生産してきている。以来、JLRは新しいテクノロジー、土地、建物、ソフトウェアに更に6,000万ユーロの投資を重ねている。
このニトラ工場のみで生産する新型「DEFENDER」は、大きな成功を収めている。直近の2年間で「DEFENDER」はJLRのベストセラー・モデルとなっており、2015年モデルの「CLASSIC DEFENDER」と比較して10倍の売上高を達成。
JLRは今後、将来的に生産される全車両を電動化させ、2039年までに排出ガス量実質ゼロを達成するべく5年間で150億ポンドの投資を計画している。
結果、ヘイルウッドはJLR初のEV専用工場となり、ソリハルは「RANGE ROVER」、「RANGE ROVER SPORT」、「JAGUAR」のEVモデルを生産、ウルヴァーハンプトンのエンジン・マニュファクチャリング・センターはエレクトリック・ドライブユニット(EDU)を製造し、そして、キャッスルブロムウィッチはEV用ボディパネルの製造工場に改装する。
これらには「DEFENDER」「DISCOVERY」の電動化に加え、2030年までにリリースされる9車種のEVも含まれる。更にJLRはEDUを社内で開発するため、英国コベントリーのホイットリーに2億5,000万ポンドを投資して新しい「Future Energy Lab」を開設した。
そうした意味でニトラ工場の電動化対応は、このジグソーパズルの最後のピースとなる。なおニトラで生産するEVモデルの詳細は、後日発表予定となっている。
こうした一連の計画についてJLRのインダストリアル・オペレーションズ担当エグゼクティブ・ディレクターを務めるバーバラ・バーグマイヤー氏は、「ニトラにある素晴らしい最新鋭の工場で、当社の電動化戦略の一環として、2020年代末までにEVを生産開始することを発表でき嬉しく思います。
今回の決定は、この工場で働く献身的な5,000人の熟練した従業員に対する信頼の証であり、現在、好調な業績を達成しているJLRにとって、ニトラが重要な役割を果たしていることを示すものです。
サプライヤー各社が私たちに続いてニトラに拠点を設け、増産をサポートしてくれたことにも感謝したいと思います」と語った。
またJLRのニトラ・オペレーションズ担当ディレクターの任にあるギレルモ・マンチョラス氏は、「本日は、私たちの工場にとって重要な節目の日であり、5年前にラインが稼動して以来、工場は順調に生産能力を強化してきました
DEFENDER 130のラインアップ追加や、稼働体制も2シフト制から3シフト制への移行によって生産台数を週2,000台から3,000台に増やすなど着実に変化してきました。
私たちがEVの生産を開始するということは、REIMAGINE戦略におけるニトラの重要な役割を裏付けるものです」と述べている。