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2023年11月2日【事業資源】

JLR、ニトラ工場でのEV生産を開始。電動化計画を加速

坂上 賢治

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ジャガー・ランドローバー(JLR)ジャパンは11月2日、2030年までに9車種の新しい電気自動車(EV)を投入する「REIMAGINE」戦略を基に、その一環としてスロバキア共和国ニトラ市にある最先端の工場でEVを生産を開始する本社発表(現地発表は2023年10月26日)を明らかにした。

 

 

JLRは2018年にスロバキアへ13億ユーロを投資してニトラの工場を創業。高度にデジタル化・自動化された工場として、従来のシステムよりも輸送時間を30%短縮したKUKA社のパルス・キャリアシステムを欧州で初めて採用した。

 

そんな同工場はこの10月に操業5周年を迎え、これまでに36万5,000台以上の「DEFENDER」と「DISCOVERY」を生産してきている。以来、JLRは新しいテクノロジー、土地、建物、ソフトウェアに更に6,000万ユーロの投資を重ねている。

 

 

このニトラ工場のみで生産する新型「DEFENDER」は、大きな成功を収めている。直近の2年間で「DEFENDER」はJLRのベストセラー・モデルとなっており、2015年モデルの「CLASSIC DEFENDER」と比較して10倍の売上高を達成。

 

JLRは今後、将来的に生産される全車両を電動化させ、2039年までに排出ガス量実質ゼロを達成するべく5年間で150億ポンドの投資を計画している。

 

 

結果、ヘイルウッドはJLR初のEV専用工場となり、ソリハルは「RANGE ROVER」、「RANGE ROVER SPORT」、「JAGUAR」のEVモデルを生産、ウルヴァーハンプトンのエンジン・マニュファクチャリング・センターはエレクトリック・ドライブユニット(EDU)を製造し、そして、キャッスルブロムウィッチはEV用ボディパネルの製造工場に改装する。

 

これらには「DEFENDER」「DISCOVERY」の電動化に加え、2030年までにリリースされる9車種のEVも含まれる。更にJLRはEDUを社内で開発するため、英国コベントリーのホイットリーに2億5,000万ポンドを投資して新しい「Future Energy Lab」を開設した。

 

そうした意味でニトラ工場の電動化対応は、このジグソーパズルの最後のピースとなる。なおニトラで生産するEVモデルの詳細は、後日発表予定となっている。

 

 

こうした一連の計画についてJLRのインダストリアル・オペレーションズ担当エグゼクティブ・ディレクターを務めるバーバラ・バーグマイヤー氏は、「ニトラにある素晴らしい最新鋭の工場で、当社の電動化戦略の一環として、2020年代末までにEVを生産開始することを発表でき嬉しく思います。

 

今回の決定は、この工場で働く献身的な5,000人の熟練した従業員に対する信頼の証であり、現在、好調な業績を達成しているJLRにとって、ニトラが重要な役割を果たしていることを示すものです。

 

サプライヤー各社が私たちに続いてニトラに拠点を設け、増産をサポートしてくれたことにも感謝したいと思います」と語った。

 

 

またJLRのニトラ・オペレーションズ担当ディレクターの任にあるギレルモ・マンチョラス氏は、「本日は、私たちの工場にとって重要な節目の日であり、5年前にラインが稼動して以来、工場は順調に生産能力を強化してきました

 

DEFENDER 130のラインアップ追加や、稼働体制も2シフト制から3シフト制への移行によって生産台数を週2,000台から3,000台に増やすなど着実に変化してきました。

 

私たちがEVの生産を開始するということは、REIMAGINE戦略におけるニトラの重要な役割を裏付けるものです」と述べている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。