JFEスチールは2月6日、予てより2024年度上期の完工を目指して西日本製鉄所(倉敷地区)の電磁鋼板製造設備の能力増強を図っていたが今回、更なる能力増強についての追加検討を行うと発表した。
追加検討の理由は、世界規模でカーボンニュートラルへの取り組みが加速する中、自動車の電動化に向けた動きが課題している事にある。
このため電動車の駆動モータに不可欠な高級無方向性電磁鋼板に対する需要が急伸する事が必定であり、これを受けて同社は、高級無方向性電磁鋼板の供給体制を増強し、伸び行く需要を確実に捕捉して行きたい意向。
ちなみに電磁鋼板とは、鉄にSi,Al等を添加した材料で、高磁束密度かつ低鉄損などの優れた磁気特性を有する。
全方向にほぼ平均的に優れた磁気特性を有し、モータなどの鉄心材料として用いられる無方向性電磁鋼板と、一方向(圧延方向)に極めて優れた磁気特性を有し、変圧器などの鉄心材料として用いられる方向性電磁鋼板の2種類がある。
JFEスチールでは「自動車の電動化、エネルギー利用の効率化、及び再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、世界的な高級電磁鋼板に対する需要の増加が継続することを見据え、今後も更に資本を投入し、無方向性電磁鋼板と方向性電磁鋼板の供給能力を増強していきます。
また今後も、国内製造体制の強化を継続し、世界トップクラスの製造実力を向上させると共に、CO2排出量削減に寄与するエコプロダクトの供給を拡大していく事で、持続可能な社会の実現に貢献して参ります」と話している。
増強概要
<21年4月発表>
総投資額 : 約490億円
稼働時期(予定) : 2024年度上期
製造能力(予定) : 高級無方向性電磁鋼板の製造能力を現行比2倍に増強
<今回発表>
総投資額(予定) : 500億円規模
稼働時期(予定) : 2026年度中
製造能力(予定) : 電動車主機モータ用トップグレード無方向性電磁鋼板の製造能力を現行比3倍に増強(前回公表分含む)