JFEスチールは、カーボンニュートラルに向けた移行期(トランジション期)を踏まえ、西日本製鉄所(倉敷地区)での革新電気炉(高効率・大型電気炉)の導入を検討してきた。
そこで同転換にあたり、GX経済移行債を活用した政府支援策「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業(事業Ⅰ(鉄鋼))」に応募し、2024年12月20日に採択された。今後は、補助金交付の手続きを受けた上で、2024年度内での機関決定を予定している。
併せて同社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた超革新技術の開発を推進するべく、「GI基金事業/NEDO製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」に関する実証試験を行うべく、カーボンリサイクル試験高炉や小型試験電気炉などの各種試験設備を東日本製鉄所(千葉地区)で建設。開発設備を同一地区へ集中して建設することで、超革新技術の効率的な開発を推進していく構えだ。
具体的には現在検討中の電気炉で、自社独自開発技術に加え、GI基金事業で開発を進めている高品質化・高効率溶解技術などの革新プロセス技術を適用させていく。また、これらの技術導入と低炭素還元鉄の活用により、世界最大規模の電気炉を導入し、既存の大型電気炉では製造し得なかった電磁鋼板や、高張力鋼板などの高品質・高機能鋼材の大量供給体制を世界初で実現させることを目指すという。
JFEグループでは、「2021年5月に〝JFEグループ環境経営ビジョン2050〟を策定し、気候変動問題への対応を経営の最重要課題と位置付け、その解決に向けた取り組みを強力に推進しています。今後も、様々な超革新技術の開発を複線的に推進していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります」と話している。
設備投資の概要
建設場所: JFEスチール西日本製鉄所(倉敷地区)
投資規模: 3,294億円 (うち政府支援上限額:1,045 億円)
投資内容: 革新電気炉、炉外精錬設備、冷鉄源物流設備、岸壁整備、受配電設備 など
生産能力: 年間200万トン程度
生産開始: 2028年度1Q