藤沢工場内に新設される電動開発実験棟「The EARTH lab.」(イメージ)
2030年のCN対応車フルラインアップに向け、2026年に稼働開始へ
いすゞ自動車(本社:神奈川県横浜市、社長COO:南真介)は11月29日、2030年のカーボンニュートラル(CN)対応車フルラインアップに向けた車両開発を加速させるため、藤沢工場内に電動開発実験棟を新設したことを明らかにした。
同社は、商用電動車に最適なシステムやコンポーネントを開発するための実験・評価設備を導入する計画で、2026年6月の稼働開始を目指す。いすゞはCN社会の実現に貢献するため、いすゞグループは、2030年までに全車種に電動化商品を展開することを掲げている。
その主力を担うと期待されるバッテリー電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCEV)は、従来の内燃機関車と大きく異なるコンポーネントで構成されており、今後、商用車に最適な電動車両の開発を更にスピーディーに進めるためには、いすゞが自らシステムやコンポーネントを評価・開発し、より高い次元の車両開発へとつなげることが不可欠となる。
そこで今回、藤沢工場内に電動コンポーネント開発のための新たな実験・評価設備を導入することにしたという。
新設する電動開発実験棟には、バッテリー・モーター・EVシステム・熱マネジメントなどの実験・評価設備を採用。バッテリーの特性を詳細に把握することにより、最大限のパフォーマンスを発揮させるバッテリーマネジメントを実現。
更にバッテリー・モーターなどのEVコンポーネントを組み合わせた状態で機能を最適化すると共に、システム全体の熱マネジメントの最適化が実現可能としていく。
加えてFCEVシステムの実験・評価設備の活用により、システムレベルで高度なエネルギーマネジメント及び熱マネジメントの最適化を行い、航続距離と走行性能の改善にも寄与する拠点とし、これらの機能を電動開発実験棟に導入することで、よりスピーディーな電動車両の開発を実現させていく構えだ。
今回の電動開発実験棟についていすゞグループは、「今年5月に、CNや物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進するため、1兆円のイノベーション投資を公表。今回の電動開発実験棟の新設もその一環と位置付けています。
来るべきCN社会に向け、電動開発実験棟の新設と最新鋭の実験・評価設備の導入を通じて、CN対応車の開発体制強化およびその普及・促進を図ってまいります」と話している。
電動開発実験棟の概要は以下の通り
名称:電動開発実験棟「The EARTH lab.」
(「EARTH」は「Electric Automotive Research and Test Headquarters」の略)
場所:藤沢工場 第1・第2実験棟跡地
面積:建築面積;約5,700㎡、延べ床面積;約27,000㎡
高さ:約40m(地上5階建)
投資総額:約400億円
稼働開始時期:2026年6月(計画)
主な実験・評価設備:バッテリー・モーター・EVシステム・熱マネジメントの各実験・評価設備ほか
主な仕様・特徴:
– 屋上および側壁に太陽光パネルを設置
– 実験棟内の各設備から回収した排熱を空調に利用することによりCO2排出量を削減
– バッテリーの実験・評価設備の電力回生により、同設備の消費電力を削減