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2025年3月24日【企業・経営】

現代自動車グループ、米国内の産業領域へ210億ドルを投資

坂上 賢治

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現代自動車グルーは3月24日、2025年から2028年に掛けて米国国内に向けて210億米ドルの大規模投資を行うことを発表した。このコミットメントは、製造能力の拡大、未来の技術の進歩、米国に於けるエネルギーインフラ強化を目指す姿勢を示すものだとしている。

 

今投資は、1986年に米国市場に参入して以来、自社グループがこれまで投下してきた約205 億ドルの投資をさらに拡大するものとなる。より具体的には、当地に於ける自動車の生産能力を強化するため総額90億ドルを投資し、米国で現代自動車、起亜自動車、ジェネシスの自動車ブランド全体で年間120万台の生産能力を確立させる。

 

上記を踏まえた上で、より高品質の自動車を提供するという顧客中心のアプローチを強化するべく、アラバマのヒュンダイ・モーター・マニュファクチャリングやジョージアのキア・オートランドなどの生産施設の改善にも投資する。

 

またグループの生産施設の拡張に続き、バッテリーパックなどの電気自動車(EV)のコア部品を含む自動車部品の現地化率を高めて自動車クラスターを形成する他、グループの物流を強化して強固なサプライチェーンを確保すると共に、米国での鉄鋼生産に投資するために総額60億ドルを割り当てる。

 

更にグループの鉄鋼子会社である現代製鉄は、年間270万トンの鉄鋼生産能力を持つ電気アーク炉(EAF)製鉄所をルイジアナ州に建設する。この施設は、米国の豊富な鉄スクラップを使用して低炭素鋼板を生産し、外部の不確実性に対応するグループの機動性と柔軟性を高めることを目的としている。

 

加えて自動運転、ロボット工学、人工知能(AI)、先進航空モビリティ(AAM)などの分野でもイノベーションを推進し、米国企業との戦略的パートナーシップを拡大するために60億米ドルを投資する。

 

上記を踏まえた取り組み概要は以下の通り

 

  • (1)ボストンダイナミクスと連携し、ロボット部品の米国エコシステムを拡大し、量産体制を確立
  • (2)NVIDIA と提携し、自動運転やロボット工学など、将来のモビリティに向けた AI ソリューションの開発を加速
  • (3)グループのAAM事業の米国子会社であるSupernalと共同で、2028年までにeVTOL機の商用化に向け研究開発を推進
  • (4)現代自動車との戦略的提携の一環としてウェイモにロボタクシーを供給し、アプティブと自動運転サービスを共同開発
  • (5)ベンチャーキャピタルやその他の資金調達メカニズムを通じて、モビリティ、ロボット工学、AIに特化した米国のスタートアップ企業を支援するための潜在的なスタートアップ企業への投資

 

 

グループの 60億米ドルの投資の一環では、新たなビジネスチャンスにも挑戦するべく以下のエネルギーインフラプロジェクトにも投資する。

 

  • 現代建設とホルテックインターナショナルが小型モジュール炉(SMR)技術で戦略的協力
  • 再生可能エネルギーの利用を促進するインフラの整備
  • インフラ拡大のためIONNA EV充電アライアンスに投資

 

これらの投資を通じて、当グループは2028年までに米国で14,000人の新たな直接フルタイム雇用を創出する。結果、全体的な経済効果として、関連業界全体で100,000人以上の直接的および間接的な雇用機会が創出される。

 

なお当社グループは、着工からわずか2年半でジョージア州史上最大の経済開発プロジェクトとなったヒュンダイ・モーター・グループ・メタプラント・アメリカの完成を記念し、今週後半に米国ジョージア州でグランドオープンの式典も開催する予定だ。

 

同社では、「当社グループは米国とのパートナーシップを深め、米国の産業リーダーシップに向けた共通のビジョンを強化していきます。グループの投資と努力により、米国での事業がさらに拡大し、米国の労働力が拡大されることになります。これまでの米国のパートナー、従業員、コミュニティに感謝します。私たちは皆さんと共に立ち、共に未来を築くことを誇りに思います」と述べている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。