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組み立てが開始された主翼部分
本田技研工業傘下のホンダ エアクラフト カンパニー( HACI / Honda Aircraft Company )は、米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市内の生産工場で、HondaJetシリーズの新型小型ビジネスジェット機「HondaJet Echelon( ホンダジェット・エシュロン )」の型式認定用テスト機の製造を開始した。
このHondaJet Echelonは、世界で初めてノンストップでのアメリカ大陸横断を可能とするライトジェット機で、HACIでは2026年の初飛行を目指して開発が進められているもの。このライトジェット機とは、最大離陸重量が12,500ポンド以上、20,000ポンド未満の双発エンジンを搭載した機体を指す( ベリーライトジェットの一つ上 )カテゴリーとなる。
機体名の「Echelon」とは自然界でも渡り鳥にみられる「梯形編隊飛行」を意味し、航空機では高効率な空力性能を実現する飛行パターンとして燃費や二酸化炭素排出量削減などに効果があると言われていること。併せて「Echelon」はフランス語で梯子の“段”の意味もあり、現在ではプレミアムカテゴリーを指す言葉として使われることから、HondaJetブランドの最上級モデルという意味を込めて命名したという。
HACIに於ける新型小型航空機「Echelon」の開発工程は、2025年2月にHondaJet Echelon型式認定用テスト機の最初の製造工程である主翼の組み立てを開始し、製品化に向けた大きなマイルストーンを達成した。
システム統合検証施設の稼働開始セレモニー
また、今後のHondaJet Echelon型式認定用テスト機の製造、および将来の量産開始を見据え、HACIの生産工場内にHondaJet Echelon専用の生産ライン開設を進めており、2024年末には、各工程で使用する主要設備の搬入を完了している。
更に2025年1月には、システム統合検証施設( Advanced Systems Integrated Test Facility )内のフライトシミュレーターによる初飛行を行い、飛行制御システムなど、主要な航空機システムの検証を開始した。これを踏まえ今後は、型式認定用テスト機の初飛行および型式証明取得に向けた取り組みを加速していく。
なお同社は、2050年までにすべての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルの実現を目指している。
そうしたなかで今回の新型航空機を開発している理由は、競合のライトジェット機より20%、上位カテゴリーの中型ジェット機( 最大離陸重量が20,000ポンド以上、35,000ポンド未満の双発エンジンを搭載した機体 )に対しては40%以上( ニューヨーク ― ロサンゼルス間などのアメリカ大陸横断時の飛行距離で比較した場合 )燃費を向上させることで、航空業界のカーボンニュートラルの実現に貢献したいため、同社では今後もHonda独自の革新技術を通じて新たな価値を提供し、空での移動の喜びを広げていきますと結んでいる。
HondaJet Echelonの仕様
航続距離( NBAA IFR Range, 1乗員+4乗客 ) ※ : 2,625ノーティカルマイル
最大定員 : 乗員1名+乗客10名または乗員2名+乗客9名
最大巡航速度 ※ : 450ノット
最大運用高度 ※ : 47,000フィート
※ は目標性能
ホンダ エアクラフト カンパニー( Honda Aircraft Company, LLC )概要
設立:2006年8月
出資形態:American Honda Motor Co., Inc. 100%出資
代表者:取締役社長 山﨑 英人( やまさき ひでと )
所在地:米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市